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心も裸になる…ドラマ「湯あがりスケッチ」って?

湯あがりスケッチ

 どこかノスタルジックな東京の銭湯を舞台に、それぞれに悩みやしがらみを抱えながら生きる女性たちの8つのエピソードを描くオリジナルドラマ「湯あがりスケッチ」が、映像配信サービス「ひかりTV」で独占配信されます。本作は銭湯を詳細なイラストに描き、その魅力を伝える「銭湯図解」の著者である塩谷歩波さんを原案にしています。それはまるで“観る銭湯”!? 銭湯女子もサウナーも、ちょっと入ってく? 若き日のナイーブな心を思い出させながらも、どこかほのぼの、あったか~い気持ちになれる人間ドラマなのです。

銭湯にやってくるのは、それぞれのいまを生きる8人の女性たち

湯あがりスケッチ

 主人公の澤井穂波は、建築設計事務所で気負って仕事に取り組んでいました。けれど終わらない仕事を前に呆然とし、食事や睡眠もぞんざいな日々に疲弊し、疲れ切ってしまっています。そんな彼女を友人の佐伯朋花が最近ハマっているという銭湯に連れ出します。それがこの物語の始まりです。

 その銭湯の名前は「タカラ湯」。高~い天井の脱衣所、浴室から響く桶を置く音、はしゃぐ子どもの声、おばあちゃんたちのゆっくりとしたおしゃべり。自分が大きな浴槽に浸かるころには、穂波の心はすっかり、カリカリとした日常から遠く離れたところにありました。自称“芸術家”で「演劇の新作を構想中」という熊谷多喜、そんな熊谷を「まあここは、こういう半端者がいてもいい場所なのよ」とか言ってゆる~く受け入れるタカラ湯の三代目・氏子愛之助、そしてその娘でイマドキな女子高生のゆづ葉。彼らのとるにたらないやりとりは、初めて会ったのに妙にしっくりときます。その空気感を心地よく思いながら、穂波は心からリラックス。気持ちがどんどん上向いていきました。

 「こんなにいい場所は誰かに伝えなくちゃ」と銭湯のイラストを描き始めるのは、まさにモデルとなった塩谷さんの行動そのまんま。そうして穂波は縁あって、タカラ湯で働き始めます。

湯あがりスケッチ

 都内近郊にあるあちこちの銭湯を訪れ、イラストを描いていく穂波。そこで出会うのはそれぞれに事情を抱えながら生きている女性たちです。心のどこかで夫に距離を感じてしまっている女性、かわいがってくれたおばあちゃんが認知症になり、疎遠になっているうちに二度と会えなくなってしまったことに心を沈ませる女性……。ドラマは1話ごとにゲストを迎えます。穂波は簡単に答えの出ない物思いに心を揺らす女性たちと銭湯で出会い、ほんの少しではあるけれど確かに心を通わせ、銭湯に浸かり、心も体も少しだけゆるんでいくのです。

 それはまさに「観る銭湯」、と言えるかもしれません。

揺れ動く女の子の心に寄り添う、ときに幻想的で抒情的な映像

 脚本&監督を務めるのは、岸井ゆきの浜辺美波共演の映画『やがて海へと届く』の公開も控えた中川龍太郎ときに幻想的な映像で、ゆらゆらと揺れ動くヒロインの心に寄り添います。ドラマの第1話はこんなふうに始まります。

湯あがりスケッチ

 机につっぷして、うたた寝してしまっていたらしい女の子。彼女が主人公の澤井穂波です。自分の部屋の、いつものコタツでイラストを描いていたはずなのに、目覚めたらそこは……銭湯!? 森の奥深くのようでもあって、どこか現実味がありません。湯船のある浴室に足を踏み入れるとまるで万国旗みたいに、銭湯を図解した無数のイラストが天井から張り巡らされているのですーー。

 夢のような、それでいて抒情的な映像の連続。そこから時間がさかのぼり、穂波と銭湯との出会いが描かれていきます。絶えずゆらゆらと揺れ動くカメラで映し出されるのは、夢だった建築の仕事をしながら、だからこそ夢とは遠く離れた日々に葛藤する女の子、穂波の日常です。

湯あがりスケッチ

 社会に出てまだまだ居場所を見いだせない女の子のギリギリな思い、だからこそごくありふれた銭湯での日常が響くさまに心が動きます。穂波の意識は、高~い脱衣所の天井、その上へと飛んでいきます。浴室から響く桶を置く音、はしゃぐ子どもの声、おばあちゃんたちのゆっくりとしたおしゃべりーー。

 ドラマを観る人は一瞬で、穂波の心情へとリンクしていくのです。

ノスタルジーあふれるドラマをつむぐ、キラびやかなキャスト

 昭和レトロな空気が漂うこのドラマ、けれどキャストにはキラびやかな光を放つ俳優がそろいました。

湯あがりスケッチ

 澤井穂波を演じるのは小川紗良。朝ドラ「まんぷく」に出演、映画『ビューティフルドリーマー』では主演を務め、自身による長編監督作『海辺の金魚』を自ら小説化して発表するなど、つくり手としての顔も持つ、若手注目株です。

湯あがりスケッチ

 そんな穂波がタカラ湯で出会うのは個性的なメンツばかり。銭湯の常連で劇作家志望、でも「残念イケメン」とか言われちゃう熊谷多喜に、スティーヴン・スピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』でハリウッドデビューを果たした森崎ウィン。穂波をスカウトしたタカラ湯ののんきな三代目、氏子愛之助に村上淳。その娘のゆづ葉に、アイドルグループ・さくら学院の元メンバーで、女優として活動する新谷ゆづみと、ベテランからこれからの勢いを秘めた若手まで、カラフルな布陣がそろいました。

湯あがりスケッチ

 ゲストも一筋縄ではいきません。穂波の大学時代の友人である佐伯朋花に、元乃木坂46で女優としての存在感が急激に増す伊藤万理華。穂波に「銭湯図解」の出版を持ちかける編集者、新波灯子に成海璃子がそれぞれふんします。その他、安達祐実臼田あさ美室井滋らがどんな事情を抱えたどんなキャラクターとして銭湯にやってくるのでしょう? それもまた、お楽しみのひとつです。

原案は「銭湯番頭、兼イラストレーター」の塩谷歩波さん

湯あがりスケッチ

 主人公・澤井穂波のモデルとなったのは、「銭湯図解」の著者である塩谷歩波さん。彼女の肩書は「銭湯番頭、兼イラストレーター」って、ええ!? そんなの聞いたことないけど? 89年の歴史を持つ東京・高円寺の銭湯「小杉湯」の番台を務める傍ら、実在する銭湯を実測、写真撮影、取材してイラストに描き起こした「銭湯図解」(中央公論新社)などイラストレーターとして活動しています。

 塩谷さんは早稲田大学大学院創造理工学研究科で建築学を専攻。修了後に都内の建築事務所に勤めるも、仕事に没頭し過ぎて入社して1年半ほどで体調を崩します。そんな彼女が休職中に出会ったのが銭湯でした。実家で落ち込んでいたところを、友人が連れ出してくれたと言います。

湯あがりスケッチ
写真はドラマ「湯あがりスケッチ」より

 銭湯に行くと体調がよくなる! と実感してすっかり銭湯が大好きになった塩谷さん。そこから彼女が起こした行動が興味深いところ。「こんなにいい場所は誰かに伝えなくちゃ」と、SNSに銭湯のイラストをアップ。のちに「銭湯図解」としてまとめられるこれらのイラストは、「アイソメトリック」(等角投影法)という手法で描かれます。対象物をななめ上から見下ろすような視点で描かれた図で、インテリアの俯瞰図や、家が並ぶ街並みを俯瞰したようなイラストによく使われるもの。建築を学んできた塩谷さんにとっては、ごくなじみ深い手法でした。

 そうして各地の銭湯を訪れ、レーザー測定器とメジャーを使って浴室全体や浴槽、タイルの幅まで(!)計り、緻密に正確にイラスト化しました。気持ちよさそうに湯船に浸かるおじさん、小さい子どもの髪を洗う若いお母さん、脱衣所でクタ~っとくつろぐ人びと。ただ正確に味気なく再現に終始するのではなく、塩谷さんがそこで体感したその銭湯独自の味わいまでもが伝わるように描写されています。

 ある日、そのイラストに触れた小杉湯の三代目から「うちのパンフレットを描いてほしい」と連絡が入ります。そうして銭湯番頭、兼イラストレーターという塩谷さんのいまへと繋がりました。

 この異色の経歴をもとにドラマ化したのが「湯あがりスケッチ」です。

 そして、このドラマに毎回登場するのは実在する銭湯ばかり。つまり、「あ~なんか疲れた!」ときにこの心温まる人間ドラマを観てほっこりするのはもちろんのこと。もっと癒されたい! と思ったら実際に銭湯へ行ってお湯に浸かり、本当に体まであったまっちゃうのも可というワケ。そんな実用性もあって、心と身体の健康に本当に役立っちゃうかも!? という、なかなか貴重なドラマなのです。(文・山崎麻見)

湯あがりスケッチ

「湯あがりスケッチ」は2月3日(木)より、ひかりTVにて配信スタート
毎週木曜日22時より最新話配信(全8話)

公式サイトはコチラ>>

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