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シーズン序盤でまさかのナチョの急展開に号泣!?

今週のベター・コール・ソウル

ナチョ
ラロ襲撃を手引きしサラマンカ・ファミリーから追われるナチョはどうなる? Netflixシリーズ「ベター・コール・ソウル」シーズン1~6独占配信中

 待望の「ベター・コール・ソウル」ファイナルとなるシーズン6の序盤で、早くも神回との呼び声も高い大傑作回が登場! 茫然自失となる第3話を振り返ります。(文・今祥枝)

※ご注意 この記事は「ベター・コール・ソウル」シーズン6についてのネタバレが含まれる内容となります。視聴後にお読みいただくことをおすすめします。

今週のベター・コール・ソウル~シーズン6第3話

 ラロ襲撃によって追い詰められたナチョ(マイケル・マンド)の、またもスリリングな逃亡劇から幕を開ける第3話「万事休す(Rock and Hard Place)」は、廃棄された石油トレーラーに隠れ、タンクの底に残った油の中に潜って双子の殺し屋から逃れる冒頭から、テンションが張り詰めている。自動車修理工場の親切な所有者に電話を貸してもらい、父親との最後となるであろう会話を交わすナチョ。一瞬のやわらいだ表情が切ない。「ブレイキング・バッド」に登場しないキャラクター、ナチョの命運は、おそらく誰もが暗い予想をしていたに違いないが、この展開と第3話のタイトルからして、これほど早く現実になろうとは……。

 父親との通話の後、マフィアのボス・ガス(ジャンカルロ・エスポジート)に電話し、父親の安全と引き換えにガスの筋書きを受け入れるナチョ。しかし、彼はガスを信頼しておらず、元警官のマイク(ジョナサン・バンクス)が父親の身の安全を保証する。その後、ナチョはきちんとプラスチック(金属は武器になるため)のフォークとナイフを使って、最後の晩餐を味わう。計画の決行は明日。マイクはナチョに酒を注ぎ、空になった自分のグラスをテーブルにダンと置く。

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ナチョ
父を守るためにナチョが選んだこととは……。「ベター・コール・ソウル」シーズン5より - AMC / Photofest / ゲッティ イメージズ

 運命の日。ガスと彼の部下がナチョを捕まえて連れてきたように見せかけ、ナチョが自分をラロ(トニー・ダルトン)暗殺として雇ったのはペルーのカルテルの一味であるアルバレスだとウソの告白をする。だが車いすに乗ったサラマンカ・ファミリーのボス、ヘクター(マーク・マーゴリス)はそう簡単にはだませず、毒を盛られた後遺症のため話す代わりにベルをリンリン鳴らしてガスへの疑惑を訴える。ウソに説得力を持たせるため、ナチョは一世一代の大芝居を打つ。ヘクターたちのことをサイコパスだと言って憎しみをあらわにし、ついにはヘクターの心臓の薬を入れ替えて今の不自由な体にしたのは自分だ、殺すつもりが命を助けたのはガスだと告げて、相手を逆上させることに成功。ガスに対する疑惑から気をそらせた。もっとも、ここに不在のラロが証拠を探しているはずなので気は抜けないのだが……。

 ナチョは隠し持っていたガラスの破片で手縄を切り、自分を取り押さえていたメキシコ・カルテルのドン・エラディオとガスの連絡係であるファン・ボルサ(ハビエル・グラヘダ)から銃を取り上げ人質に取る。離れたところから、ライフル銃で狙いをつけているマイクが見つめる中、ナチョは自分の頭を銃で撃ち抜く。ヘクターがことキレたナチョに銃弾を撃ち込む時に映る足元の地面には、血のついたガラスの破片が。ここでアバンタイトルで青い花の根元の砂漠に落ちていたガラスの破片の意味が判明する仕掛けと、マイクの配慮がなんとも心憎い。ちなみに筆者はガラスの破片はマイクと前の晩に酒を飲んだグラスだと考えたが、ガスが割ってゴミ箱に捨てたものをナチョが拾ったとする説が有力。また、この終盤をめぐっては複数の解釈があり得ることを追記させていただく。

マイク
Netflixシリーズ「ベター・コール・ソウル」シーズン1~6独占配信中

 ナチョの死は、シーズン1第6話で警察官である息子の命を救えなかった贖罪(しょくざい)として、若いナチョを救いたいと思っていたマイクにとっても、さらなる悲痛な出来事でもあった。現地の批評家らからも指摘がなされているが、マイクにとっての「ブレイキング・バッド」でのジェシー(アーロン・ポール)はナチョの鏡像であり、この苦い経験から「ブレイキング・バッド」でなんとしてもジェシーを生かしたかったのだというマイクの胸の内が透けて見える。この一分の隙もない 見事な演出を見せた、「ブレイキング・バッド」&「ベター・コール・ソウル」の申し子であるゴードン・スミスについては山ほど語ることがあるがここでは文字数が限界なので泣く泣く割愛。

 そんな中、ジミー(ボブ・オデンカーク)とキム(レイ・シーホーン)もまた、引き返せないところまで来てしまった。ジミーは旧友ヒューエル(ラヴェル・クロフォード)の助けを借りて、弁護士ハワード(パトリック・ファビアン)の車に細工をする。一方、検察官スザンヌ・エリクセン(ジュリー・パール)はキムにホルヘ・デグズマンとラロが同じ人物であると判断したと告げる。

ジミーとキム
Netflixシリーズ「ベター・コール・ソウル」シーズン1~6独占配信中

 エリクセンはジミーには弁護士としての矜持(きょうじ)があるのでキムから正しいことをするようにと促すが、キムは「彼はジミーではなくソウルだ」と答える。カルテルの仲間になるか、密告者になるか。キムは明らかに引き下がる様子はなく、それはジミーにも伝わっているのだろう。ヘクターのおいのギャング、トゥコ(レイモンド・クルツ)やナチョとの関わりからラロへと連なるジミーのカルテルの仲間入りへの道筋も、悲しいかなここで完璧に円環が閉じた感がある

 しかし第3話の主役はナチョだ。演じるマイケル・マンドには心からの拍手を! 彼が丁寧に積み重ねてきた抑制の効いたナチョのキャラクターであったからこそ、このラストの感情を爆発させる大芝居が絶大なインパクトを発揮して記憶に残る名シーンとなった。などと冷静に分析してみたものの、いまだ心は穏やかではない。

Netflixシリーズ「ベター・コール・ソウル」シーズン1~6独占配信中

お詫びと訂正:初出時の情報に一部に誤りがありました。訂正してお詫び致します。

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