豪華布陣！『ハケンアニメ！』はココがスゴイ！

　吉岡里帆が主演を務め、中村倫也、柄本佑、尾野真千子が共演する映画『ハケンアニメ！』が、5月20日に公開される。日本のアニメ業界を描く本作の豪華キャスト、スタッフを紹介する。（編集部・梅山富美子）

「ハケンアニメ！」って？

　「ハケンアニメ！」は、小説「鍵のない夢を見る」で147回直木三十五賞を受賞し、「ツナグ」「朝が来る」などで知られる辻村深月が、雑誌「anan」で2012～2014年に連載した小説。2015年には第12回本屋大賞の3位を獲得した人気作だ。

　舞台は、市場規模が2兆5,000億円とも言われるアニメ業界。公務員出身の新人アニメーション監督・斎藤瞳（吉岡）が、憧れのスター監督・王子千晴（中村）と最も成功したアニメの称号「ハケン（覇権）」を巡り熾烈な闘いを繰り広げるさまを描く。瞳は、クセ者敏腕プロデューサー・行城理（柄本）に振り回されながら、王子は、プロデューサー・有科香屋子（尾野）に支えられながら、アニメの頂点を目指す。

　瞳は、初めての監督作品でスタッフや声優とのコミュニケーションに苦戦。行城の方針により、宣伝活動に積極的に参加しなければならないことにもフラストレーションがたまっていく。一方の王子は、過去にヒットを生み出すも、長年スランプが続いている。周囲からはヒット作を期待されるも、崖っぷちに立っている。キャリアは違えど、どちらも必死に最高のアニメを作ろうと奮闘する姿が、観る人の心を打つお仕事ムービーだ。

個性豊かなキャストたち

　瞳が監督するアニメ「サウンドバック　奏の石」を制作するトウケイ動画の宣伝プロデューサー・越谷役を古舘寛治、制作デスク・根岸役を前野朋哉が担う。瞳の味方であるはずの2人だが、ドライな行城を目の敵にしているその言動から、瞳は歯がゆい思いをすることになる。

　ほか、作画監督・河村役を矢柴俊博、脚本・前山田役を徳井優、才能あふれる原画の並澤和奈役を小野花梨、並澤が働くファインガーデンの社長・関役を六角精児、並澤と関わることになる市の観光課職員・宗森周平役を工藤阿須加が担う。

　瞳とアニメ制作の現場スタッフたちが、より高みを目指して作品を作り上げる姿は真に迫っており胸を打つ。さらに、原作の熱さそのままに、映画ならではの表現がふんだんに盛り込まれており、吉野耕平監督の手腕が随所に光っているのだ。

声優がスゴイ！

　劇中アニメのキャラクターに息を吹き込む声優陣も豪華。「ウマ娘　プリティーダービー」（サイレンススズカ役）の高野麻里佳が、アイドル的人気から支持を集める声優・群野葵を演じる。葵は、「サウンドバック　奏の石」の主人公・トワコ役を務めるのだが、演出を巡って瞳と衝突することも。実写映画に出演する高野の演技も見どころの一つとなっている。

　「サウンドバック　奏の石」では、「進撃の巨人」（エレン役）の梶裕貴がトワコと共に戦う少年リュウイチ役、「HUNTER×HUNTER」（ゴン役）の潘めぐみが熱血漢の少年タカヤ役、「あそびあそばせ」（本田華子役）の木野日菜がトワコの妹・マユ役、「BLEACH　ブリーチ」（藍染惣右介役）の速水奨が謎の“奏の石”役を担う。

　そして、「運命戦線リデルライト」で行方不明の妹を捜す主人公の魔法少女・充莉役を「魔法つかいプリキュア！」（朝日奈みらい／キュアミラクル役）の高橋李依、ライバルの謎めいた魔法少女・清良役を『劇場版　呪術廻戦 0』（祈本里香役）の花澤香菜、マスコットキャラクターのデル役を「フルーツバスケット」（本田透役）の堀江由衣、文学好きな魔法少女・詩織役を「進撃の巨人」（サシャ・ブラウス役）の小林ゆう、充莉の親友で魔法少女仲間の七菜香役を「アイドルマスター　シャイニーカラーズ」（風野灯織役）の近藤玲奈、芸能活動を行う魔法少女・圭役を「東京24区」（きなこ役）の兎丸七海、スポーツ万能で天然な魔法少女の悠樹役を「アイドルマスター　シンデレラガールズ」（島村卯月役）の大橋彩香が担当する。

　ちなみに、実写パートには、高野のほか、梶、潘、木野、速水、高橋、小林、近藤、兎丸、大橋が声優役として登場。さらに、「鋼の錬金術師」（エドワード・エルリック役）の朴路美（※「路」は「王へんに路」）が、本作のナレーションを担当する。

　本作には、アフレコシーンなどアニメ制作現場の裏側を垣間見られるようなシーンがあり、アニメファンにとって垂涎もの。人気と実力を兼ね備えた声優キャストたちの実写パートでの演技も本作ならではだ。

アニメがスゴイ

　もともと原作に登場するアニメ「サウンドバック　奏の石」と「運命戦線リデルライト」の内容は飛び飛びで書かれていたが、原作の辻村は、本作の制作陣の並々ならぬ思いに感動。映画のためにそれぞれ12話分のプロットを書き直した。迫力のあるアニメの映像と共に、アニメ自体のストーリーにも惹きこまれる内容となっている。

　劇中アニメ「サウンドバック　奏の石」の監督は、テレビアニメ「テルマエ・ロマエ」「若おかみは小学生！」などで知られる谷東監督、キャラクター原案を日清食品・カップヌードルのCM「HUNGRY DAYS」シリーズの窪之内英策、メカデザインを「機動戦士ガンダム00」シリーズの柳瀬敬之が担当した。

　王子が監督する「運命戦線リデルライト」は、「プリキュア」シリーズ、『劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』』で知られる大塚隆史が監督、「デュラララ!!」「ハイキュー!!」「魔法少女まどか☆マギカ」などの岸田隆宏がキャラクター原案と、本当に「ハケン（覇権）」を狙うような豪華布陣がそろった。

　ものづくりに情熱を傾けることのすばらしさが、作品のいたるところに詰まっている本作。初志貫徹し、一生懸命になれる仕事にまい進する瞳たちに、羨望の眼差しを向けるだけではなく、明日も頑張ろうと背中を押される1本となっている。