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思わず声をあげそうになる驚きのS6前半パートの最終話

今週のベター・コール・ソウル

キムとジミー
ついにキムとジミーのハワードを陥れる計画に決着が!「ベター・コール・ソウル」シーズン6より - AMC / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ついに迎えたシーズン6前半パートの最終話。何か大きな動き&仕掛けがあるだろうと予想はしていても、思わず声をあげてしまいそうになるクリフハンガーで幕を閉じた。(文・今祥枝)

※ご注意 この記事は「ベター・コール・ソウル」シーズン6についてのネタバレが含まれる内容となります。視聴後にお読みいただくことをおすすめします。

今週のベター・コール・ソウル~シーズン6第7話

 第7話「計画と実行(Plan and Execution)」では、じっくりと時間をかけて描いてきたキム(レイ・シーホーン)とジミー(ボブ・オデンカーク)のハワード(パトリック・ファビアン)を陥れる計画が実行に移され、全貌が明らかになった。サンドパイパー老人ホーム集団訴訟の調停会議の日(Dデー)を迎えた前回、ラストで車をUターンさせたキムはジミーらの元へ戻り、大至急腕にギプスをはめた偽カシミーロ(本物は集団訴訟の調停人)を仕立てて写真を撮り直す。

 公園のベンチで偽カシミーロがジミーに接触して封筒を受け渡している写真は、ハワードが雇った私立探偵ジェニドウスキ(レニー・ロフティン)によって、調停会の直前にハワードに手渡される。この私立探偵を雇わせることこそジミーたちの計画の重要なパートだった。用意周到にワナにはめられたハワード。薬物依存症であるかのように瞳孔が開く薬をまんまと盛られ、サンドパイパー事件の関係者らが集まり電話越しに依頼人たちが傍聴している中、ハワードは写真と同一人物だと思い込んでいるカシミーロ本人に向かって「今日和解交渉を進めるのは無理」だと告げる。

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ハワード
ジミーらの用意周到なワナにはめられてしまったハワード。「ベター・コール・ソウル」シーズン6より - AMC / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ハワードは調停人カシミーロに対してジミー・マッギルまたはソウル・グッドマンを知っているか、公園で封筒に入った推定2万ドルを受け取ったのではないかと問い詰めるが、もちろんカシミーロはなんのことかわからない。ハワードが秘書ジュリー(オードリー・ムーア)に持ってこさせた証拠写真を取り出すと、そこには公園のベンチでカシミーロとは似ても似つかない男性にフライングディスクを手渡しているジミーの姿が。ハワードがジミーにだまされたと言い訳をするが、同席していた弁護士クリフ(エド・ベグリー・Jr.)にとってこの交渉が失敗したことは明らか。サンドパイパーの代理人リッチ(デニス・ボウトシカリス)は和解額を引き下げたが、クリフはそれを受け入れるように依頼人を説得するしかないという。つい笑ってしまうおかしみもあるシークエンスだが、ハワードの道化っぷりが痛々しい

 一方、ドイツでガス(ジャンカルロ・エスポジート)の秘密の麻薬製造工場の情報を得てアルバカーキに戻ってきたラロ(トニー・ダルトン。マンホールから排水溝へもぐり、麻薬製造工場が地下にある「ブレイキング・バッド」でもおなじみのクリーニング工場を観察する。そこからサラマンカ・ファミリーのボス、ヘクター・サラマンカ(マーク・マーゴリス)に電話をするが、取り次がれているときにガスに盗聴されていることに気づき電話を切る。怒りをあらわにしながら、すぐに電話をかけ直すラロ。「朗報を聞かせたかったが証拠は見つからなかった。だが安心してくれ、当初の計画に戻る。今夜、奴を驚かせる」と言い、毒を盛られた後遺症で話すことのできないヘクターが激しくベルで抗議するも「元気で」と別れの言葉を告げる

ヘクター・サラマンカ
気力は十分のサラマンカ・ファミリーのボス、ヘクター・サラマンカ。「ベター・コール・ソウル」シーズン6より - AMC / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ラロの動きを警戒していたマイク(ジョナサン・バンクス)は盗聴した電話の内容を伝えにガスのもとへ。地の利を生かすために、警護を厳重にした自宅でガスが一人でいるとラロに思わせるように提案する。だが、ガスは一歩先を読んでいるようで麻薬製造工場のことを気にするのだった。お互いの先手を読み合うガスとラロの駆け引きは見応えがある。

 エピソードの終盤。家で祝杯をあげながら、ジョージ・キューカー監督の『ボーン・イエスタデイ』(1950)を一緒に観ているキムとジミー(この映画のタイトルや内容が示唆しているかもしれないことについては深掘りのしがいがありそうだ)。そこに予想通り、ハワードが乗り込んでくる。ジミーがドアを開けると、風が吹き込みろうそくの炎がゆらりと揺れる。不吉な兆候だ。

ラロ
自身の暗殺事件の黒幕ガスへの復讐を企てるラロ。「ベター・コール・ソウル」シーズン6より - AMC / Photofest / ゲッティ イメージズ

 それにしてもハワードに関しては、ここまでの痛い目にあうのは不当だと多くの人が思うのではないだろうか。第6話でハワードの私生活がしっかりと描かれていたが、妻との関係は冷え切っており、ハワードもまた人生に苦しむ一人の人間であることが改めて伝わっていた。一方で、ハワードがキムたちにぶつける言葉の数々がキレっキレで視聴者の心もえぐられる。そんなふうにすっかりこの3者の複雑な人物像に入り込んでいると、ここでまたもろうそくの炎がゆらり。ハワードの背後からゆっくりとラロが姿を現す瞬間、息をのむ。まさかこのハワード VS キム&ジミーの図にラロが加わるとは! ふっと訪れた恐怖に鳥肌。逃げるタイミングを失ったハワードは、容赦無くラロに撃ち殺されるのだった。監督と脚本を手がけたトーマス・シュノーズの見事な手腕にほれぼれ!

 シーズン6後半パートは本国では7月11日の放送予定で日本は前半パートと同じなら翌12日の配信となるが、このような終わり方で7月まで引っ張られるとは。果たして、ハワードの死体をジミーたちはどのように処理するのか。ここからラロはどうやってガスとの対決になだれこむのか? またナチョ(マイケル・マンド)、ハワードと「ブレイキング・バッド」に登場しないキャラクターたちは死により退場したが、ラロ、そしてキムの生存率はどのぐらいあるのだろうか。キムはジミーよりも先に例の“ベスト・クオリティ・掃除機”を利用して、どこかで密かに生きているという可能性もあり得るのか。そして米国のドラマ公式ツイッターでも予告しているウォルター・ホワイト(ブライアン・クランストン)とジェシー・ピンクマン(アーロン・ポール)は、どのような形で登場するのか? 後半パートを心して待ちたい。

Netflixシリーズ「ベター・コール・ソウル」シーズン1~6独占配信中

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