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イッキ観する人が続出!「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」は何が面白い?

ザ・グローリー
Netflixシリーズ「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」独占配信中

 Netflixで昨年12月30日から配信がスタートした韓国ドラマ「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」。配信以来、日本では「今際の国のアリス」シーズン2などの人気作を抑えて「今日のTV番組TOP10」の1位をずっと走っているほか、世界全体の視聴時間を示す「グローバルトップ10」(1月2日~8日)のテレビ・非英語部門でも1位を獲得。観始めたら止まらず一気観したという声も続出している。一体「ザ・グローリー」の何が多くの人を惹きつけるのだろうか?(大山くまお)

「ザ・グローリー」とは?

ザ・グローリー

 「ザ・グローリー」は、高校時代に苛烈ないじめに遭って身体と心に消えない傷を負った主人公が、18年後、自分をいじめていた同級生たちに復讐の牙をむくという物語だ。

 復讐に人生を賭けたダークヒロインにふんするのがソン・ヘギョ。韓国で最高視聴率41.6%を記録した大ヒット作「太陽の末裔 Love Under The Sun」などに主演して“ラブロマンスの女王”と呼ばれてきたが、本作では笑顔を完全に封印。口角を下げた無表情で加害者たちを地獄へと突き落としていく。脚本は「太陽の末裔」でタッグを組んだキム・ウンスクが務めている。

 「復讐」といえば「梨泰院クラス」や「夫婦の世界」をはじめ、多くの作品でテーマとして扱われる韓国ドラマのお家芸。本作はそれをさらに推し進め、「恋愛」や「成功」など他の要素を排した非常に純度が高く、エッジの効いた復讐劇を見せてくれる。

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あらすじは?

ザ・グローリー

 ムン・ドンウンは高校時代、同級生の男女5人組に激しいいじめを受けていた。暴言、嫌がらせ、殴る蹴るの暴力は日常茶飯事。性的な辱め、ドンウンの部屋への不法侵入など、いじめは際限なくエスカレート。もっとも陰惨なのは、高熱のヘアアイロンをドンウンの素肌に押し当てるというものだった。富裕層に属する加害者たちは教師や警察、そしてドンウンの親にも手を回して、彼女の訴えを完全に封じ込めてしまう。四面楚歌のドンウンは黙って学校を去るしかなかった。

 18年後、加害者の男女5人組は、お天気キャスターになって建設会社の社長と結婚したり、親のゴルフ場を引き継いだり、親の支援を受けて画家としてデビューしたり、客室乗務員になったりと、この世の春を謳歌していた。体中にヘアアイロンの傷痕をつけたまま、たったひとりで苦難の人生を歩んだドンウンは、偶然知り合ったDV被害者のおばさん(「トッケビ ~君がくれた愛しい日々~」や「椿の花咲く頃」などのヨム・ヘラン)を味方につけ、周到に準備を重ねた復讐を開始する。

ザ・グローリー

 夢も笑顔も失ったドンウンの目的はただ一つ。自分に加害していた連中に社会的な死を与えることだ。そのために、彼らの弱みをつかみ、対立をあおり、囲碁のように相手が大切にしているものを一つ残らず取り上げようとする。ドンウンはこう宣戦布告する。

 「目には目を、歯には歯を、骨折には骨折を、傷には傷をもって償う。そんなの、あまりにもフェアプレーでは? 皆さん」

 ドラマは全16話で構成されており、現在公開中のパート1が前半の8話、後半の8話は3月より配信される予定。前半ではドンウンへの激しいいじめと、ドンウンによる復讐の仕掛けが描かれている。パート1の終盤では、ドンウンに思いを寄せる朗らかな若き医師チュ・ヨジョン(イ・ドヒョン)も複雑な過去を抱えていることが判明。復讐の糸が絡まり合って、怒涛のパート2へと雪崩込んでいく。

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「いじめ」と「格差社会」

ザ・グローリー

 いじめは日本と同じく、むしろそれ以上に韓国では大きな社会問題になっている。学生時代のいじめを告発されて社会的地位を失った芸能人やスポーツ選手は後を絶たない。陰惨なヘアアイロンによる暴行も、2006年に実際に起きた事件と酷似している。2004年に「学校暴力の予防及び対策に関する法律」を制定するなど国を挙げて対策を始めたものの、効果は薄かった。本作でのいじめも2004年に行われている。

 「ザ・グローリー」では、いじめの背後に激しい貧富の差が生まれた格差社会があることも描き出している。貧しい家に生まれたドンウンは、それだけで富裕層による嘲笑といじめの対象になった。ドンウンの味方になるべき教師や警察、ドンウンの親までもが加害者の財力に屈してしまう。ドンウンが「なぜ私をいじめるの」と悲痛な抗議の声をあげると、5人組のリーダー格、パク・ヨンジンはこう言う。「5文字で言うと“社会的弱者”」。また、格差は絶対に埋まらないということをドラマでは「白夜」と「極夜」という言葉で表現する。富裕層は日が沈むことはなく、貧困層は日が沈んだままという意味だ。

 国を問わず、閉鎖空間である学校でのいじめは何らかの形で多くの人が体験している。いじめの理不尽さといじめから逃れられない社会構造を描いている「ザ・グローリー」を観て、ドンウンに共感する人も少なくないだろう。

 なお、高校時代のドンウンを、巨大な貧富の差を描いた映画『パラサイト 半地下の家族』で富裕層の家の長女役だったチョン・ジソが演じている。

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「ザ・グローリー」が発するメッセージ

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 「ザ・グローリー」には、いくつものメッセージが込められているように感じる。たとえば、男女5人組によるいじめには、何の理由もない。強いて言えば、ドンウンの家が貧しかったからというぐらいだ。いじめは理不尽で悪意に満ちたものであり、「いじめには被害者にも落ち度がある」という物言いを完全に否定している。また、いじめのリーダー格・ヨンジンと再会したドンウンの「悪人は生きてるのに、なぜ私が? 生きてるからまた会えた」という言葉からは、いじめから逃れるために死を選んだりしないという強い意思を感じさせる。

 いじめを受けていたドンウンは、復讐のために血のにじむような努力を重ねて実行に移す。特別な財力も腕力もない彼女の武器は、知性と行動力、そして強靭な意志の力だ。黙って耐えていたり、泣き寝入りしたりするだけでは人生は何も変わらない。復讐が大きなエネルギーを彼女に与えていることがわかる。しかし、復讐はやはりネガティブなものだ。彼女は復讐に「栄光(=グローリー)」がないことを自覚している。復讐が成し遂げられた後、一体何が残るのか。これも今後「ザ・グローリー」が発するメッセージだろう。

 多くの人が共感するテーマを緻密な脚本と演出で描く「ザ・グローリー」。これ以上、観る者の心をヒリヒリさせるドラマはそうない。必見の作品だと言えるだろう。

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