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【ネタバレ解説】「デアデビル:ボーン・アゲイン」第7話:謎の敵ミューズの正体判明、ドラマならではの背景

 昼は弱者を救う弁護士、夜は悪と戦うクライムファイター・デアデビルを描くマーベルドラマ「デアデビル:ボーン・アゲイン」。2日に配信開始となった第7話「芸術のための芸術」の主役は、謎のグラフィティ・アーティストかつシリアルキラーのミューズ。不気味なマスクを被った彼の正体が、遂に明かされる。(文・平沢薫)

※ご注意:本記事はネタバレを含みます。「デアデビル:ボーン・アゲイン」第7話をまだ観ていない方はご注意ください。

ドラマのオリジナルだったミューズの背景

 ミューズの正体は、冒頭の「これまでのあらすじ」であっさり判明。第2話でデアデビル/マット・マードック(チャーリー・コックス)の恋人、精神科医ヘザー(マルガリータ・レヴィエヴァ)の著書にサインをもらい、彼女にセラピーを依頼した青年バスティアン・クーパーハンター・ドゥーハン)だった。

 ミューズについては、第1話から壁画を登場させて存在を匂わせ、第6話まで正体を明かさず引っ張っている以上、正体の暴露には何かの演出があるのではないかと思っていたら、大ハズレ。エンドクレジットのキャストリストに「ミューズ」が無かったのは「バスティアン」と表記されていたからだった。コミックのミューズは本名が不明なので、ついミューズという表記を探してしまっていた。

 ちなみに、彼の本名だけでなく、このエピソードで描かれるバスティアンの幼少時からの非自発入院歴やテコンドーの習得、ヘザーに執着するという設定は、ドラマオリジナルだ。テコンドー歴があるという設定は、彼とデアデビルとの格闘シーンのリアリティーと迫力を倍加させている。

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ミューズを演じたハンター・ドゥーハン - Stephane Cardinale - Corbis/Corbis via Getty Images

 ミューズを演じる米俳優ハンター・ドゥーハンは、ティム・バートン監督、ジェナ・オルテガ主演の人気ドラマ「ウェンズデー」(2022~)で、ヒロインに恋する保安官の息子、実は……という人物タイラーを演じて注目を浴びた俳優で、同作のシーズン2にも出演する。ドラマファンの間では以前から、今話題の俳優である彼がこのドラマに出演している以上、ミューズ役は彼だろうと噂されていた。さらに第6話配信後にアップされたインタビュー動画「Muse Scenes Explained | Daredevil: Born Again Director Interview」で、このエピソードのデヴィッド・ボイド監督がハンターの名前を出してしまっていた。

 ミューズの死は少々あっけない気がするが、ドラマ面では、キングピン/ウィルソン・フィスク(ヴィンセント・ドノフリオ)が、これを利用する。ミューズの死の真相を隠し、彼が設立した自警団制圧チームの功績にすることで、彼の自警団撲滅計画を推し進めていく。

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ラストシーンのレストランは実在する!

 原作コミックとのリンクでは、第1話から登場していたフィスクの右腕バック・キャッシュマンアーティ・フラウスハン)の経歴について初めて言及された。フィスクは彼に「ここに来る前、君は別の世界にいた。私が君を採用した理由は?」と問い、バックは「私の独特な考え方を評価してくださった」と答える。これはコミックの彼の経歴を踏まえたものだろう。コミックのバック・キャッシュマンは「Daredevil #250」(1987)で初登場。フィスクの部下なのは同じで、元は米政府の秘密工作員だった。

 また、今回は現実世界ともリンク(?)がある。ラストシーンでフィスクが食事をしている店は、ブルックリンにある実在のイタリアン・レストランBamonte’s Restaurant。ギャング時代から住民に親しまれてきた歴史ある店で、ドラマでフィスクの妻バネッサ(アイェレット・ゾラー)が部下に伝える住所「ウィザー通り32」は、この店の実際の住所と同じだ。

 さらにラストシーン、フィスクが妻に裏切られたことを知った時に流れる曲は、バートバカラックの「 (Don't Go) Please Stay」(1961)のカバー。英国リバプール出身バンドThe Cryin' Shamesが1966年にリリースしたシングルで、タイトル通り「行かないで、そばにいて」を繰り返す甘ったるい歌声は、フィスクの心情そのものだ。

 この曲もそうだが、このシリーズは第1話から挿入曲が魅力的。音楽スーパーバイザーは、ジャスティン・フォン・ウィンターフェルト。マーベルの異色ドラマ「アガサ・オール・アロング」(2024)や「エコー」(2024)、ヒットドラマ「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス」(2018)のマイク・フラナガンが手がけるミニシリーズ「アッシャー家の崩壊」(2023)や「真夜中のミサ」(2021)でも手腕を発揮している。

 さて、シーズン1は残すところあと2話。フィスクの自警団制圧チームは、デアデビルをどう追い詰めるのか。バネッサの裏切りを知ったフィスクはどう動くのか。それにつけても、精神分析医でもあるマットの恋人ヘザーは、マットの体の傷を見て、彼の戦いは一種の自傷行為ではないかと指摘する鋭さもあるのに、彼女のセラピーを受けにきたフィスク夫妻の関係を改善できなかったのは残念。そのヘザーが、デアデビルが自分の名前を呼んだことを覚えているのも気に掛かる。シーズンフィナーレに向けて、次回は何か事件が起きそうだ。

「デアデビル:ボーン・アゲイン」ディズニープラスにて独占配信中

(c) 2025 Marvel

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