「ウォーキング・デッド：デッド・シティ」シーズン2第2話：ニーガンの目の前で…ヤバすぎる婦人の本性

　荒廃したニューヨークを舞台に「ウォーキング・デッド」の人気キャラクター、マギーとニーガンを描くスピンオフ「ウォーキング・デッド：デッド・シティ」シーズン2。第2話「のろし」では、おしとやかな婦人（ダーマ）が、残虐な本性をむき出しにする！（文・平沢薫）

※ご注意：本記事はネタバレを含みます。「ウォーキング・デッド：デッド・シティ」シーズン2第2話をまだ観ていない方はご注意ください。

このご婦人、かなりアブナイ……

　今回の目玉は、なんといっても婦人／ダーマ（リサ・エメリー）。クライマックスでは、ニーガン（ジェフリー・ディーン・モーガン）の目の前で、彼と親しくなった牢番ビクター（ローガン・シュマッカー）にヴァイオリンを弾かせ、その後、いきなり首にペンを突き刺して殺害する。その行為に至るまでの、緊迫感が徐々に高まっていく気配が、今回の山場だろう。

　その前、目の前にビクターが連れてこられたのを見て、ニーガンが当惑し、（注：今回から字幕表記が「クロアチア人」ではなく「クロアト」に変わった）クロアト（ジェリコ・イヴァネク）の顔を見て、無言のまま目で「一体、何が起きているんだ？」と問いかけるが、クロアトはこれから起きる惨劇を予感しているのか、怯えた表情でニーガンを見返すだけなので、ダーマの怖さが倍加する。ダーマはシーズン1から登場していたが、その残虐な本性が、今回初めて描かれた。

　この処刑は、ニーガンがニューバビロニアの船への爆撃を一瞬休止したことを見たクロアトが、それをダーマにチクり、ダーマがそのニーガンの行動を罰するために行なったものだろう。ダーマはニーガンに「誰を助けようとした？」と聞き、ニーガンは牢番ビクターを救うため「子供がいたんだ」と答えるが、それでもダーマが処刑をやめないのは、彼の返事が気に入らないからだろう。そもそも部屋の壁にゴヤの絵画「我が子を食らうサトゥルヌス」を飾るような人物なので、子供を特別扱いするはずもない。

　ちなみに、ダーマのゴヤやバッハについての発言は、かなり偏っている。彼女はゴヤの「我が子を食らうサトゥルヌス」について「他の画家はこの題材を避けた」と言うが、同じ題材の画はゴヤより前に16～17世紀の画家ルーベンスも描いている（かなり画風はおとなしいが）。また彼女はバッハの音楽について「私たちを前進させる代わりに後戻りさせた」と言うが、バッハには、音楽の基礎を構築してその後の音楽を先に進めたという評価もある。これらのダーマの言葉は、彼女が自分勝手な独自の価値観を持つ人物だということを示しているようだ。

　ダーマを演じるのは、73歳の米女優リサ・エメリー。ドラマ「オザークへようこそ」でも、かなり危ないオザークの住民ダーリーン・スネルを演じている。またドラマ「Marvel ジェシカ・ジョーンズ」シーズン1では、サイコパスのキルグレイブと一緒に暮らす彼の母親ルイーズを演じていた。

ニーガンは以前と同じではない？

　また今回は、シーズン2第1話で黒の革ジャンと有刺鉄線バット“ルシール”でかつての姿を取り戻したニーガンが、実は以前のニーガンと同じではないこともわかった。ニューバビロニアの船を派手な爆撃で撃退するという作戦は、かつてのニーガンらしいアイデアだが、それ以外はちょっと違う。

　クロアトが嬉しそうに、別の手下の前で、昔のニーガンの逸話を語るときも、ニーガンは表面上はクロアトに調子を合わせるものの、自慢そうでもなく、楽しそうでもない。また、先述のようにダーマから牢番ビクターを救おうとするが、これも以前のニーガンならやらなかっただろう。彼はやはり以前とは違う。

　また彼は、船への爆撃を休止した理由を、ダーマには「子供がいたんだ」と言い、それはウソではないが、実際は、マギー（ローレン・コーハン）と彼女の息子ハーシェル（ローガン・キム）を救うためだった。彼がそれを周囲に隠すのは、彼らを守るためでもあるが、何か計画があるからかもしれない。ニーガンは、マギーと協力して何かを企てるのか？　となると、シーズン2の戦いは、マギーVSダーマになるのだろうか？　

ジニーの拳銃は何のため？

　前話のラストで、共同体に残ったハーシェルは、やはり母マギーを追いかけてきて、行動を共にすることになった。2人の仲直りはめでたいが、息子がいるために、マギーの行動は制約を受けることになりそうだ。一方、マギーと一緒にニューバビロン連合軍に参加したジニー（マニナ・ナポレオン）が、拳銃を持っていることが分かった。彼女はこの拳銃で何をするつもりなのか。また、船を爆破されて少人数になったマギーたちは、これからどう行動するのか？　まだまだ先が読めない。

「ウォーキング・デッド：デッド・シティ」シーズン2はU-NEXTにて独占配信中

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