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【完全ネタバレ】「ONE PIECE」シーズン2徹底解説 サプライズキャラ&原作との相違点

 Netflixシリーズ「ONE PIECE」が、さらにスケールアップして帰ってきた。3月10日にシーズン2が配信されて以降、世界中のファンからの圧倒的な好評を得ている。ここでは原作漫画との相違点、実写ドラマで再構成された部分、ドラマのオリジナル要素、小ネタなどをいくつか紹介して解説する。(文・構成:大山くまお)

※本記事はネタバレを含みます。「ONE PIECE」シーズン2鑑賞後にお読みいただくことをおすすめします。

ツカミからコアなキャラクターが登場

 シーズン2は「アラバスタ編」の前半、原作の11巻から17巻にあたる部分が描かれている。

 第1話冒頭の“掴み”になっているのが、シェルズタウンの海軍支部をMr.5(キャムラス・ジョンソン)とミス・バレンタイン(ジャザラ・ジャスリン)、そしてミス・オールサンデー(レラ・アボヴァ)が襲撃する実写オリジナルの場面だ。3人の目的は第1シーズンの第1話でロロノア・ゾロ(新田真剣佑)に斬殺された先代のMr.7(ベン・ゴシモア)の死体を確認することだった。

 敵襲を知らせるのは、原作でモーガンの像を引っ掛けてしまったウッカリー三等兵リチャード・ライト・ファース)、知らされるのは原作でモーガンを倒したルフィたちに敬礼したリッパー中佐アンソニー・オセエミ)。ウッカリー三等兵は、シーズン1の第1話でナミ(エミリー・ラッド)に襲われた海兵と同一人物である。

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原作の先の部分まで取り込んで再構成

 実写版「ONE PIECE」の優れた特徴は、長大な原作の後半で明かされた部分をスムーズな形で取り込んで再構成している点である。

 たとえば第1話で、処刑直前のゴール・D・ロジャー(マイケル・ドーマン)とモンキー・D・ガープ中将(ヴィンセント・リーガン)が会話を交わす場面では、ロジャーがガープを「ゴッドバレーの英雄」「ゴールド・ロジャーを捕らえた男」と呼んでいる。ゴッドバレーは作中の歴史的事件で、原作の114巻で全貌が明らかになる出来事だが、ロジャーが因縁のガープをこのように呼ぶのはまったくおかしくない。

 ドレスローザ編で初登場するバルトロメオナホム・ヒューズ)が、第1話のローグタウンで顔を見せるのもサプライズ的な再構成の一つ。ローグタウンで処刑される寸前のルフィ(イニャキ・ゴドイ)が落雷によって助かったのを目撃したという設定があるため、この場面で登場した。処刑台でルフィが笑う場面は、シーズン1の第1話で実写版オリジナルとして描かれたゴール・D・ロジャーの処刑シーンと対応している。

 また、第1話ではもう一つサプライズが。スモーカーとの戦闘からルフィを逃した革命軍のリーダー・ドラゴンと共に登場したのが、革命軍の参謀総長・サボだ。シルエットのみの登場だが、特徴的なゴーグル付きのハット、首のスカーフからサボであることが断定できる。原作での初登場は当分先(59巻)のため、かなり早めの登場となる。

 さらにサプライズだったのが、第2話で回想として登場したブルックマーシャル・T・バッチャメン)だ。スリラーバーク編で初登場して麦わらの一味の仲間入りするガイコツ剣士だが、ここではルンバー海賊団の一員として人間の姿で登場。ルンバー海賊団のキャラコのヨーキ(リチャード・ガウ)とともに、クジラのラブーンと再会する約束を交わす。後ほど明らかになる設定だが、双子岬でのエピソードで描かれるのは実に自然だった。尾田栄一郎が作詞した「ビンクスの酒」も感動的な形で使われている。

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次々と登場する重要キャラ

 第2話からはバロックワークスの殺し屋、Mr.9(ダニエル・ラスカー)とミス・ウェンズデー(チャリスラ・チャンドラン)が登場。ミス・ウェンズデーの正体がアラバスタ王国の王女、ネフェルタリ・ビビなのは周知の通り。ビビの相棒である超カルガモのカルーは登場しないが、後に言及されているのでシーズン3では登場すると思われる。

 ビビを演じたチャンドランはインド系イギリス人。オーディションで尾田栄一郎が直接彼女を選んでいる。アラバスタ王国は古代エジプトがモデル(ネフェルタリは古代エジプトの王妃の名前)であり、褐色の肌のチャンドランが演じるのは至極当然だろう。

 ウイスキーピークが舞台の第3話は、ゾロが中心のエピソードにアレンジされた。原作にあったルフィとゾロの対決シーンは割愛されている。ゾロが王下七武海の一人、ジュラキュール・ミホーク(スティーヴン・ワード)の幻影にとらわれて、時にはアドバイスを受けている様子は、実写版オリジナルである。

 リトルガーデンに舞台を移した第4話と第5話は、ウソップ(ジェイコブ・ロメロ・ギブソン)がメインのエピソードにアレンジされた。巨兵海賊団のブロギー(ブレンダン・マーリー)の姿に感銘を受けて大きく成長する。

 ミス・ゴールデンウィーク(ソフィア・アン・カルーソ)はカラーズトラップをかけた両親を箱に押し込めて殺害したことを告白したり、ルフィの手に筆を突き立てたりするなど、原作よりも残忍さが強調されていた。Mr.3(デヴィッド・ダストマルチャン)が作るロウの家は、原作ではシンプルな四角い形だったが、実写版では瀟洒(しょうしゃ)な作りの家になっており、室内の装飾も華美になっている。これはMr.3が芸術家なのを意識した改変だ。

 ドリー(ヴェルナー・コーツァー)とブロギーが戦う前に「太陽の神ニカ」に祈りを捧げる場面があるが、「太陽の神」も「ニカ」も原作で登場するのはずっと先のこと。今後どのような展開につながるのか興味深い。

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服装にも元ネタあり

 服装にも元ネタがある。第3話でルフィが着用している「NEIGHBOURS」と記されたベースボールシャツは、「週刊少年ジャンプ」2000年10月2日号の表紙でルフィが着ていたもの。原作17巻の扉絵でも着用している。ちなみに、このベースボールシャツはグッズ化されており、Netflix公式ショップなどで購入できる。

 サンジ(タズ・スカイラー)のエプロンには「DOSKOI PANDA」のロゴが入っているが、これは東の海(イーストブルー)で流行しているブランド。メイキング映像を見ると、第1話のローグタウンに専門店が作られている。原作のサンジはほぼエプロンを着用していなかったが、アニメ化の際に「DOSIKOI PANDA」のエプロンを着用する姿が描かれた。

 リトルガーデンではゾロが縞模様のバケットハット、青いTシャツ、ピンクのハーフパンツ姿で登場したが、これは「週刊少年ジャンプ」2000年3月18日号に掲載された128話のカラーイラストが元ネタ。原作の15巻にも白黒で収録されている。サンジの服装もそれぞれカラーイラストの元ネタがある。

現実の政治を思わせる演出も?

 ドラム王国が舞台になった第6話の冒頭には、ワポル(ロブ・コレッティ)と話し合うミス・オールサンデーの場面が加えられ、ワポルがバロックワークスに支援を行っていたことが明かされた。また、支援のお礼としてワポルには悪魔の実が与えられている。いずれも実写版オリジナルの設定である。

 ルネス島海軍通信基地を訪れたスモーカー(カラム・カー)とたしぎ(ジュリア・レーヴァルト)は、Mr.11(アラン・フーリス)とミス・サーズデー(サンチア・デヴィッズ)と戦って倒す。ミス・サーズデーは原作では名前しか登場しないため、本作のために尾田栄一郎が新たにデザインした。

 ドラム王国編の冒頭近くでは、10年前の世界会議(レヴェリー)が原作より詳細に描かれている。「(反乱を起こす民がいたら)与えた物をすべて取り上げるまで」「政治とは力であってお気持ちじゃない」とワポルが尊大な態度を見せると、アラバスタ国王のネフェルタリ・コブラ(センディル・ラママーシー)は「革命もまた人々の感情の表れだ。声を上げることが許されぬ民は幸福とは言えない」と反論する。現実にいる政治家を思わせる尊大な為政者を否定し、民衆による革命やデモを称賛するコブラの言葉は、作り手の気持ちを代弁しているようだ。

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シーズン2は「受け継がれる意志」の物語

 原作に「受け継がれる意志」というサブタイトルがあったが、これはシーズン2全体の大きなテーマと言える。

 トニー・トニー・チョッパー(声:ミカエラ・フーヴァー)は、人を救いたいというDr.ヒルルク(マーク・ハレリック)の意志を受け継いだ。民間護衛団団長のドルトン(タイ・キーオ)も、国を救いたいというヒルルクの意志を受け継いでいる。Dr.くれは(ケイティ・セイガル)は、ヒルルクの意志を受け継いでチョッパーを育ててきた。ヒルルクの意志は、雪を染める桜という形で多くの人の心に届いたことだろう。

 ワポルの前でピピが父の言葉を繰り返すのも、受け継がれた意志である。ウソップはブロギーの意志を受け継いだ。病に倒れたナミを看病するサンジは、亡くなった母に弁当を作り続けたエピソードを語っていたが、これは原作コミックス84巻で明かされたサンジの過去の一部を先取りしたもの。サンジは母の意志を受け継いで優しい人間になった。シーズンを通して、海軍側のガープとスモーカー、スモーカーとたしぎ、ガープとコビー(モーガン・デイヴィス)とヘルメッポ(エイダン・スコット)の関係が描かれているのも、それぞれの「受け継がれる意志」を想起させる。

 シーズン2は、大幅にアクションとセットのスケールアップを行いながら、シーズン1と同じく原作のストーリーとキャラクターを大切にし、適切な再構成を行いつつ、小ネタやオマージュを散りばめ、大きなテーマを伝えることに成功している。実写版「ONE PIECE」がファンに受け入れられているのは、このような一つひとつの積み重ねがあるからである。「アラバスタ編」を最後まで描くであろうシーズン3(現在制作中)も今から楽しみだ。

Netflixシリーズ「ONE PIECE」シーズン1~2:世界独占配信中

(C) 尾田栄一郎 / 集英社

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