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豊田利晃監督の新作『モンスターズクラブ』がニューヨークで好評!ユナボマーこと、セオドア・カジンスキーとは?

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豊田利晃監督
豊田利晃監督

 映画『青い春』や『空中庭園』などでおなじみの豊田利晃監督が、現在ニューヨークのジャパン・ソサイエティで行われているジャパンカッツに参加し、同イベントで上映され、好評を博した新作『モンスターズクラブ』について語った。

豊田利晃監督作品 映画『モンスターズクラブ』写真ギャラリー

 同作は、日本の山に籠って自給自足の生活をしながら企業の社長などをターゲットに爆弾を送り続ける若者、垣内良一(瑛太)は、ある日怪物や死んだ家族の幻想に悩まされ、人の死を見つめ直していくというドラマ作品。アメリカで18年間にもわたり、企業などに爆発物を送り続けてきた爆弾魔「ユナボマー」ことセオドア・カジンスキーに着想を得ている。

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 セオドア・カジンスキーに着想した過程について「ユナボマーの『産業社会とその未来』というマニフェストを読んだ時に、まるで日本の社会を言っているみたいだと思ったんです。ただ、ユナボマーを日本の舞台に置き換えて制作した映画ではないんです。でも、ユナボマーが住んでいた小屋だったり、爆弾の作り方だったり、その辺は調べましたね。もちろん、彼に関連した本やYouTubeの映像、ドキュメンタリーなども観ました」と明かした。

 セオドア・カジンスキーが持つどんな価値観に惹かれたかという質問に「僕もユナボマーのように社会に不満のある人間なんで、ユナボマーが爆弾を送りたくなるような気持ちは理解できます。幼稚な手段ではありますけれど……。彼は爆弾を送る時に、葉巻の箱に彫刻を施しているらしいです。そんな彫刻の繊細な感じに表れる表現が面白いと思ったんです。ただ、ユナボマーのストーリーをやりたいと思う前に、山小屋に一人でサバイバルの生活をしている男の話をやりたかったんです。どこか、作家サリンジャーやピアニストのグレン・グールドらに似ていて、そう人たちに僕は個人的に興味があって、ユナボマーもまたモンタナの山小屋にすべてを捨てていったために、僕にはそういうところが魅力的でした」と答えた。

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 主演を演じた瑛太とは、今作で4作目のタッグとなるが、それぞれ映画に対してアプローチの仕方は変わったのだろうか。「瑛太君のアプローチの仕方は、子どもができたりして、どこか映画を背負ってやるということに関して、恥ずかしくなくなったように見えたんです。どういう風にやりたいと、あえて僕にぐいぐい来るようになりましたね。今彼は、CMやドラマで無茶苦茶稼いでいるんで、僕は彼を無茶苦茶にしてやろうと、まず山に行け!って言ったんです(笑)。ただ、その際に気持ちをクランクインまでに作って来てほしいと思っていたためでもありました。ところが不幸なことに瑛太君の父親が自殺してしまって、この映画も家族の死が描かれているため、彼にとっても特別な映画になったのかもしれませんね……」と語った。

 映画音楽が自然に使われている点について「ギターの曲は照井利幸が作っていて、彼がBLANKEY JET CITYを解散した後、何を作って良いか模索していた時に、この曲を一人で作ってマスターリングまでしたのですが、世の中に出さなかったCDがあったんです。ただ、僕は彼とは仲がよかったために、その曲を聞かせてもらっていたんです。それが、この映画の撮影中に頭の中で流れてきたんですよ。それから彼に連絡して承諾をもらいました。一人で籠ってギターを弾いた彼と、この題材とが合っていると思います」と語る通り、映画音楽が心に刻まれていく。

 映画は、社会に属することで人にコントロールされることを嫌い、人里離れた山小屋で暮らす若者を瑛太が熱演し、本来なら曲解された若者の価値観であるはずが、鋭利なナイフのように研ぎすまされた作品に仕上がっている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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