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鈴木亮平のパーフェクトな役作りの裏側 役の突きつめ方が凄すぎる!

気の遠くなるようなアクション撮影を振り返る鈴木亮平
気の遠くなるようなアクション撮影を振り返る鈴木亮平

 和田竜の同名歴史小説を実写映画化した『忍びの国』(7月1日公開)に出演している鈴木亮平が、「忍者って意外に地味で驚いた」と語った。「雇われるとどこかに忍び入り、暗殺を実行したりしますが、普段は農民。だから映画では皆、鍬や鋤を武器に戦っているし、和田竜さんの原作通り、装束も農作業用のものなんです」とそれまで抱いていたイメージとのギャップを明かしている。

【写真】『忍びの国』やっぱりすごい鈴木亮平のアクション

 これまで“カッコいい存在”として描かれることの多かった“忍び”を、本作では人を人と思わぬ人でなしの“虎狼の族(ころうのやから)”として描いている。「今回の新しさはそこですよね。忍者は“ヒドい奴ら”で、主役の無門(大野智)までひどい奴ですから(笑)。そんな中、僕が演じた平兵衛だけは違う存在だと最初は思ったのですが……」と一旦、言葉を切る。

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 鈴木が演じるのは、家族の命をも粗末に扱う忍びの生き方に疑念を覚え、故郷・伊賀を裏切る忍び、下山平兵衛。伊賀の国と無敵の織田軍が実際に戦を交えた「天正伊賀の乱」で織田軍に寝返った平兵衛を、鈴木は「原作や脚本を読んだときは人でなしの伊賀の忍びたちと対極にある“いい奴”だと思った。ところが現場で演じるうちに別の思いが生まれ、平兵衛が決して単なる“いい奴”ではないということがわかってきたんです」と驚きの言葉を口にする。

忍びの国
満島真之介(右)と兄弟の忍びにふんした鈴木亮平(左) (C) 2017 映画『忍びの国』製作委員会

 「だって弟の次郎兵衛(満島真之介)がああなったからと言って、故郷の人間全員を根絶やしにしようと極論に走る平兵衛もまた、まともな教育を受けた人間ではないと。やはり平兵衛も忍びであり、悲しい男だなと思いながら演じました」とその真意を明らかにした。

 そんな平兵衛を演じるにあたり、「平兵衛は、弟のことがあってからずっと憎しみに生きている。撮影前は、かなり精神的につらくて憂鬱になっていました。撮影に入ってからは、周りに色んなキャストの方がいるので楽しかったのですが、とはいえ憎しみを燃やし続ける役なので軽くならないよう、その点を大事に演じました」と苦労を打ち明ける。

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 同じ伊賀の民でありながら、なぜ平兵衛だけが違う考えを持つに至ったのか、という考察も中村義洋監督としたそうだ。「平兵衛は伊賀でも上の方にいる人だから、きっと諸国を渡り歩いてきて、あまり伊賀にいなかったんじゃないか、と話し合いました。そこから他国で差別や偏見を受け、忍びであることに劣等感を抱くようになったのではないかと……」と自身の中で作り上げた裏設定を説明した。

 脚本を読んで頭で理解することと、実際に現場で肉体を通してわかることは違う、とも語る鈴木。「毎回どの作品でも現場で新しい発見をしていく。今回も、実際に現場で次郎兵衛の運命を見て初めて、彼がいたからこそ平兵衛は伊賀に留まっていたのだ、ということが実感できた。そして、留まる理由を失い、伊賀の忍びを皆殺しにしようと考えるようになった平兵衛のエゴを強く感じました」と役者ならではの体験を告白した。

 史実としても残っている、織田の軍勢を手引きしたと言われる下山平兵衛という人物。その心の動きはフィクションではあるが、その時代を生きた人間と歴史の交差に思いを馳せるミステリーの面白さに満ちた本作は、歴史ファンの心をも大いにくすぐるはずだ。(取材・文:折田千鶴子)

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