第35回東京国際映画祭オープニングは二宮和也『ラーゲリより愛を込めて』　クロージングは『生きる』英リメイクに決定

　10月24日から11月2日にかけて開催される第35回東京国際映画祭のオープニング作品とクロージング作品が12日、事務局より発表された。オープニングは二宮和也主演の『ラーゲリより愛を込めて』、クロージングは黒澤明監督の名作を英国でリメイクした『生きる　LIVING』が飾る。

　オープニング作品となる『ラーゲリより愛を込めて』は、シベリアの強制収容所（ラーゲリ）に抑留された実在の日本人捕虜・山本幡男を題材にした実話。辺見じゅんのノンフィクション「収容所から来た遺書」を原作に、第2次世界大戦後、極寒のシベリアで強制労働を強いられ過酷な日々を過ごす中、日本にいる妻と約束した帰国（ダモイ）を誰よりも強く信じ、多くの捕虜たちを励まし続けた男を描く。

　クロージング作品の『生きる　LIVING』は、黒澤明の名作『生きる』（1952）を、「わたしを離さないで」などで知られるノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本でリメイクした感動作。第2次世界大戦後のイギリスを舞台に、英国の名優ビル・ナイ演じる主人公の姿を描き、オスカー候補の1本と言われるほど高い評価を受けている。

　映画祭のプログラミング・ディレクターを務める市山尚三は、オープニングを彩る『ラーゲリより愛を込めて』について「通常の日本映画のスケール感を越えた作りとそれに見合う深い感動の物語が本当に素晴らしく、ワールドプレミアとしてオープニングを飾って頂けることを非常に嬉しく思います」とコメント。また、映画祭を締めくくる『生きる LIVING』については「日本が誇る黒澤明の名作がイギリスで格調高くリメイクされ、原作の持つ感動が鮮やかに蘇りました。本作が映画の生まれた地の映画祭の終幕を飾って頂けることを誇りに思います」としている。（編集部・入倉功一）

第35回東京国際映画祭は10月24日～11月2日　日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区を会場に開催