被爆死者の遺品と対話する有意義な時間

2013年7月27日 中山 治美 ひろしま 石内都・遺されたものたち ★★★★★ ★★★★★

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ひろしま 石内都・遺されたものたち

 写真家の石内都さんは2007年から、広島平和記念資料館に収蔵されている被爆死者の遺品をフィルムに収める「ひろしま」シリーズを手がけている。本作は、撮影風景からカナダ・バンクーバーで開催された展示会まで追ったドキュメンタリーだ。目を引くのは、女性たちが身につけていたレースのワンピースや水玉のブラウスといった衣服たち。石内さんは、防護服の下でこっそりおしゃれを楽しんでいたであろう女性たちの青春を見事に切り取っているのだ。バンクーバーの展示会でも、ただ単に「美しい」と、この写真に魅了されている若い女性がいた。哀しい現実を突きつけるばかりが、戦争の悲惨さを伝える手段ではない。戦時中にも確実にあったであろう被爆死者の輝かしい時に思いを馳せ、彼らの人生を想像してみる。そんな有意義な思考の時間を与えてくれるドキュメンタリーである。

中山 治美

中山 治美

略歴:茨城県出身。スポーツ紙記者を経てフリーの映画ジャーナリストに。日本映画navi、全国商工新聞、スカイパーフェクトTV(ぴあ)、BANGER!、朝日新聞webサイトおしごとはくぶつかん情報館内で「おしごと映画」を執筆中。いつの間にやら映画祭を回るのがライフワークとなっている。お気に入りはオランダ・ロッテルダム国際映画祭とスペインのサンセバスチャン国際映画祭。

近況:本サイトで「映画で何ができるのか?」と「ぐるっと!世界の映画祭」を連載中。また、編集に携わった塚本晋也監督・著「『野火』全記録」(洋泉社)、DVDマガジン「石原裕次郎シアター」(朝日新聞社)が発売中デス。ライフワークの旅の記録をまとめたブログはこちら。https://tabisutekaisyu.amebaownd.com

サイト: https://www.oshihaku.jp/series/00007

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