シネマトゥデイ

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中山 治美

中山 治美

略歴: 茨城県出身。スポーツ紙記者を経てフリーの映画ジャーナリストに。週刊女性、GISELe、日本映画navi、goo映画、スカイパーフェクトTV(ぴあ)、朝日新聞webサイトおしごと博物館内で「おしごとシアター」などで執筆中。いつの間にやら映画祭を回るのがライフワークとなっている。お気に入りはオランダ・ロッテルダム国際映画祭とスペインのサンセバスチャン国際映画祭。

近況: 本サイトで「映画で何ができるのか?」と「ぐるっと!世界の映画祭」を連載中。また、編集に携わった塚本晋也監督・著「『野火』全記録」(洋泉社)、DVDマガジン「石原裕次郎シアター」(朝日新聞社)が発売中デス。

サイト: https://www.oshihaku.jp/series/00007

中山 治美 さんの映画短評

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  • 妻の愛、娘の時
    そこはかとなく惹かれる百恵顔
    ★★★★★

    主題は、地方と都市の格差が広がる中国社会がもたらした家族の悲劇だろう。
    夫の亡骸を、本妻と別宅の家族とが奪い合う。
    それをコミカルにして娯楽色を強めたのは、直球批判で当局を刺激しない為の、監督の強かさか。
    じゃあ、素直に笑えるかというと難しい。
    救いは、両家の仲裁役兼、観客が感情移入しやすい役として活躍するラン・ユエティン演じる孫娘の存在。
    これが山口百恵似の憂さと色気があって、彼女を見続けているだけで飽きない。
    長髪を本役のためにシルヴィアが切らせて百恵度が強まったというから、さすが役者の生かし方を知っている。
    自身の夫役に田壮壮監督を起用したのも含め、”名女優、名監督なり”。

  • 1987、ある闘いの真実
    「カメ止め」を抑えて観客賞受賞の圧倒的パワー
    ★★★★★

    「カメ止め」を抑えてウディネとカナダ・ファンタジア国際映画祭で観客賞を受賞。
    社会派ドラマが万人にウケる娯楽作より支持されるとは驚き。だが、作品の熱量は「カメ止め」を超えていると言っても過言ではない。
    そもそも基本たる脚本が秀逸なのだ。
    独裁政権の中で生まれた対立を、各キャラクターの立場と個性を明確にしながら群像劇としてのうねりを作り上げていく。
    政治や権力の横暴に作品で抗ってきた韓国映画界の伝統が生きているのだろう。
    ちなみに本闘争のその後を追ったドキュメンタリー『Courtesy to the Nation』もあり、腐敗に加担していた政治家が朴槿恵政権を支えていたという。日本公開希望。

  • ヒトラーと戦った22日間
    ヒトラーとは直接戦ってないけどね
    ★★★★

    ナチスがテーマだが、主たる製作国も、監督・主演もロシアというのが今までと違う
    捕虜にしたソ連兵まで絶滅収容所に送られており、その彼が中心で起こしたソビボル絶滅収容所蜂起事件を描いている。
    ともすれば英雄伝になりがち。
    だが映画としての見せ場も用意しつつ、あの地で最後まで生きようとしていた人たちの人生を浮かび上がらせるドラマ部分とのバランスが良い。
    その冷静な演出の根底に流れているのは静かな怒りか。
    要因は、蜂起したその先にあった事実を知らしめるエンディングテロップを読めば納得だ。
    戦争の残虐さは言わずもがな、容易に巻き込まれて鬼畜と化する人間の恐ろしさを改めて知らしめている。

  • 普通、ドキュメンタリーで一人を追うのは、その人物の核心に迫っていくものだ。
    ところが本作は、人生を美術で犠牲にした人とかナルシストとかケチとか。恋多き女性で敵味方が多いのか、証言者によってバラバラなのが斬新。
    だが、これだけは言える。
    男性社会の美術界で道を切り拓いた革命児であり、戦時中にユダヤ系画家と作品を守ったヒロインであり、何より美術愛好家だったのだと。
    デ・ニーロの両親をはじめ多くの画家たちのパトロンだったワケだが、財力があったとしても人を育てるのは生半可な気持ちではできないだろう。
    同時に彼女を追うことで、現代美術史と鑑賞法も見えてくる。現代美術入門編としても最適な1本だ。

  • サニー 永遠の仲間たち
    浮き彫りになった日韓の映画作りの差
    ★★★★★

    友情物語としては及第点。だが、圧倒的に韓国版の方に心を揺さぶられる。
    それは筆者が韓国版と同世代というだけではあるまい。誰に向けて作っているか?という根本的な差ではないだろうか。
    韓国版が自国の情勢も描きつつ、ボニーMや『ラ・ブーム』など世界共通のヒットアイテムを通して青春を回顧させる普遍的な内容になっているのに対し、日本版はターゲットを限定。
    同じく各国でリメイクされている映画『怪しい彼女』もオードリー・ヘプバーンを上手く世界を繋ぐアイコンとして活用していたが、それも海外を含めた幅広い観客を意識してのことだったのだろう。
    本作は図らずしも、今の日本映画界の現状を写しているのである。

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