シネマトゥデイ

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中山 治美

中山 治美

略歴: 茨城県出身。スポーツ紙記者を経てフリーの映画ジャーナリストに。週刊女性、GISELe、日本映画navi、goo映画、スカイパーフェクトTV(ぴあ)、朝日新聞webサイトおしごと博物館内で「おしごとシアター」などで執筆中。いつの間にやら映画祭を回るのがライフワークとなっている。お気に入りはオランダ・ロッテルダム国際映画祭とスペインのサンセバスチャン国際映画祭。

近況: 本サイトで「映画で何ができるのか?」と「ぐるっと!世界の映画祭」を連載中。また、編集に携わった塚本晋也監督・著「『野火』全記録」(洋泉社)、DVDマガジン「石原裕次郎シアター」(朝日新聞社)が発売中デス。

サイト: https://www.oshihaku.jp/series/00007

中山 治美 さんの映画短評

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  • ゴッズ・オウン・カントリー
    ”おっさんずラブ”並に萌え
    ★★★★★

    映画は時に、自分でも思ってもみなかった感情をわき立たせてくれるものだ。
    あるのは厳しい現実だけ!というような荒涼たる世界で繰り広げられる無骨な青年と、移民の季節労働者の不器用だけどいじらしい愛に、まさかのBL萌え。
    それもこれも、牧場の仕事を見事にこなして役と一体化した俳優陣の演技を筆頭に、映像、脚本、その全てが
    これが虚構の世界であることを忘れさせた結果だろう。
    かつ、漫画のようなお約束の胸キュンシーンを所々入れてくるのだから、ニクい演出をするものだ。
    英国インディペンデント賞など多数の賞を総ナメにしたのも納得。
    日本で配給会社が付かずイベント上映のみなのが心底惜しまれる力作である。

  • 生きてるだけで、愛。
    全身女優・趣里
    ★★★★

    ヒロイン寧子は、鬱の影響で引きこもり、やり場ない感情を恋人にぶつけまくる。
    原作者・本谷有希子印の面倒臭い女だ。
    だが、ただのイヤな女に終わらなかったのは、温かみを感じる衣装や美術、照明といった計算されたスタッフワークが作り上げた映像へのこだわりと、
    趣里の熱演あってこそだろう。
    些細なことに突っかかり、もがき、苦しむ彼女の姿はむしろ”生”への渇望を感じさえ、
    やり過ごすことが当たり前の世の大人たちに、あんたは懸命に生きているか!と突きつけているかのようだ。
    対して彼氏の元カノ・安堂は、絵に描いたような意地悪女で終わってしまった。彼女が元カレに固執する事情はもっとあっただろうに。それが惜しい。

  • 体操しようよ
    コミュニケーションのあり方を問うニクい仕掛け
    ★★★★★

    都心近郊では定年後の男性のコミニュティー作りを自治体が行なっている--。
    そんな時代を象徴する作品だ。
    それだけではない。
    社会から孤立しがちな人たちを、昔ながらの地域社会で繋ぐ重要性を問いかける。
    もちろん、”ご近所付き合い”にトラブルはつきもの。
    親切なお節介が鬱陶しい時もある。
    そんな時に本作では個々が本音を伝える努力をする。手紙にしたためたり、面と向かって言葉で。
    SNSでの交流が当たり前となった時代に、あえてその手法を使わない所に制作陣の本作に込めた思いを見る。
    そして再び新しい朝をラジオ体操で迎える、当たり前の日常の大切さ。
    殺伐とした世を変えるちょっとしたヒントがここにある。

  • あまねき旋律(しらべ)
    美しい歌声の向こう側に見る生きる知恵
    ★★★★★

    独特のポリフォニーが耳に入る前に、山岳民族ナガの人たちの身体能力に驚く。
    老若男女が高地で、猛烈な勢いで畑を耕しながら歌うのだ。ガチ体育会系。
    インパール作戦に独立運動と度々、戦に巻き込まれた場所柄。
    日常的に心肺能力を高める習慣があるのか。
    同様に歌は、村の安全や互いの無事を知らせる合図の意味合いもあるのかもしれない。
    思わず伝統が受け継がれてきた背景をおもんばかる。
    生を謳歌する歌が山に響く今は、まさに平穏の証。
    そして民俗学の記録としての価値はもちろん、その歌声を捉え、整音した製作陣の技術力の高さにうなる。

  • ハナレイ・ベイ
    ”泣ける”をウリにしない潔さ
    ★★★★

    子を亡くした母親サチの10年間の心の旅路を追う。
    余白の多い作品だ。その心情を安易に言葉にすると嘘が見えてしまう。
    そこで松永大司監督は、演じる吉田羊に徹底的に委ねた。
    息子が愛したハワイの大自然と向き合いながら、その死を受け入れようと模索する姿を。
    『トイレのピエタ』の時は俳優を若干強引に脚本で動かそうとする嫌いがあったが、そこは監督としての大きな成長だ。
    同情されるのを好まないサチの心情を表すかのように、観客の涙腺を誘うシーンの余韻を断ち切る編集もいい。
    賛否あるだろうが、”泣ける”を売りにする作品が多い中、サチの葛藤を簡単に感動の道具にはさせまいとする気骨さを評価したい。

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