シネマトゥデイ

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中山 治美

中山 治美

略歴: 茨城県出身。スポーツ紙記者を経てフリーの映画ジャーナリストに。週刊女性、GISELe、日本映画navi、Kiite! 、朝日新聞webサイトおしごと博物館内で「おしごとシアター」などで執筆中。テレビ好きが高じて朝日新聞でTVコラム「よこしまTV」を月1回連載しております。

近況: 本サイトで「映画で何ができるのか?」と「ぐるっと!世界の映画祭」を連載中。また、編集に携わった塚本晋也監督・著「『野火』全記録」(洋泉社)も発売中デス

サイト: https://www.oshihaku.jp/series/00007

中山 治美 さんの映画短評

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  • 猫が教えてくれたこと
    ”猫可愛がり”は禁物です
    ★★★★★

    イスタンブールなら「岩合光明の世界ネコ歩き」でも訪問しているし、
    猫から人生哲学を学ぶなら名著「大事なことはみーんな猫に教わった」がある。
    ネコノミクス爆発中の日本では新鮮さに乏しい。
    それでも79 分間、対峙していると考えさせられることが多々あるだろう。
    誰かに危害を加えられることなく猫が闊歩している街の豊かさと、それが日本でも可能か?という現実を。
    なので欲を言えばもう少し地域猫を世話する仕組みや、
    この街ですら失われつつある文化であるという未来の話にもう少し踏み込んでくれたら。
    小さく弱き命を社会で守り育んできた歴史と精神。
    猫、いや、この街から学ぶべきことはもっとあると思うのだ。

  • ソフィア・コッポラの椿姫
    衣装と舞台美術の力で、スタイリッシュに変貌
    ★★★★★

    月夜に照らされた大階段からヴィオレッタがゆっくりと降りてきて、蝋燭に火を灯した瞬間に物語が始まる--。
    幻想的な冒頭からグッと引きこまれる。
    そして明らかになったステージは、ガーリーなS・コッポラのイメージとも、従来のオペラとも違う。
    ヴァレンティノの衣装も、『ダークナイト』のネイサン・クロウリーの舞台美術も、スタイリッシュ。
    第2幕の仮面舞踏会のシーンなんて、黒を基調に流行のシースルーを取り入れたドレスだ。
    落ち着いた空間だからこそ一層引き立つキャストの歌声。
    中でもフランチェスカ・ドットとロベルト・フロンターリの二重唱は鳥肌モノだ。
    伝統にあぐらをかかないこの挑戦。
    いずれ伝説となるか。

  • ブランカとギター弾き
    祝!新藤兼人賞・金賞受賞
    ★★★★★

    映画賞シーズンだが本作の扱いは難しい。
    日本人監督だが製作は伊。
    なので外国映画に分類されてしまう。
    そこに新人監督対象の新藤兼人賞受賞の朗報。
    逆に言えば日本人離れした視点と作風が本作の最大の魅力でもあるのだが。
    世界を放浪してきた監督ならではの社会を見つめる視点が良い。
    フィリピンのスラム街で生きるために罪を重ねてきた少女が、盲目のギター弾きとの出会いで変わる。
    現地に溶け込み、2人から芝居を超えた感情を引き出した手腕は高く評価されるべきだろう。
    何より、スラム街のイメージを覆すような暖色系のトーンに統一した映像が美しい。
    日本の自主映画監督が学ぶべきものが、本作にはたくさん詰まっている。

  • 人生はシネマティック!
    『ダンケルク』鑑賞者は必見!
    ★★★★

    『ダンケルク』後だと一層味わいを増す。
    同作は”史上最大の撤退作戦”の困難さと恐怖を甦らせてはいるが、意義までは描いていない。
    プロパガンダ映画の製作を巡る政府と映画人の攻防戦を描いた本作から、人々がどのように受け止めたのか当時の空気を感じ取ることができるだろう。
    そう、映画は戦意高揚に利用された暗い歴史を持つ。
    そんな状況下で文才とユーモアで、密かな抵抗を試みた女性脚本家のなんと魅力的なことか。
    『幸せになるためのイタリア語講座』の監督らしい女性への応援歌でもあり、戦時中でも映画の灯を絶やさなかった先輩たちへのオマージュでもあり。
    全編を貫く優しさと愛が、心をじんわり温めてくれる作品だ。

  • 密偵
    優秀な監督は、安易な抗日映画ブームにのらない
    ★★★★

    一見、流行の日本統治下モノ。
    だがパク・チャヌク監督『お嬢さん』も本作のキム・ジウン監督も、
    観客にカタルシスを与えるような安易な抗日映画にしていないところに映画作家としての矜持を感じる。
    それも歴史の一部と捉え、
    「義烈団」VS.日本警察が攻防戦を繰り広げる中、生き抜くために日本警察の部下となった主人公の葛藤を描く。
    『ラストスタンド』のジウン監督らしくアクション多めだが、逆に言えば、シリアスな題材でも、
    極上の娯楽サスペンスに仕上げてしまう腕を持っているのが韓国映画界の逞しいところ。
    ソン・ガンホに触発されるかのように異彩を放つオム・テグらの熱演も作品をグレードアップさせたと言えるだろう。

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