形式先行ではなく、エモーションにどこまでも忠実

2015年4月22日 森 直人 Mommy/マミー ★★★★★ ★★★★★

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Mommy/マミー

ドランの処女作『マイ・マザー』のラストで使われたスタンダード画面をさらに狭め、正方形が全編の基本サイズとなる。1:1のスクエアフォーマットで、いま最も強く連想されるのはインスタグラムだろう。日常を切り取る感覚の更新。これは外界に対する「母と息子」の世界――激しい愛憎、密着と閉塞を生々しく伝える。

内容はドランの中心的な主題の延長だが、カスタマイズされた話法の“的確さ”に心底驚いた。例えば音楽。オアシスの「ワンダーウォール」なんてDJで言うと「これ掛けちゃう?」的な大ネタが、観る者の高揚を多層的に発生させる。エモーションから逆算して選び取られた形式。この明晰さは天才というより、秀才の絶頂だ。

森 直人

森 直人

略歴:映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「メンズノンノ」「Numero TOKYO 」「映画秘宝」などでも定期的に執筆中。※illustrated by トチハラユミ画伯。

近況:YouTubeチャンネル『活弁シネマ倶楽部』でMC担当中。11月21日より、佐藤快磨監督(『泣く子はいねぇが』)の回を配信中。ほか、渡辺紘文監督&雄司さん(大田原愚豚舎の世界Vol.2)、黒沢清監督(『スパイの妻』。月永理絵さんとのダブルMC)、原一男監督&島野千尋プロデューサー(『れいわ一揆』)、行定勲監督 feat.東紗友美さん(『窮鼠はチーズの夢を見る』)、足立紳監督(『喜劇 愛妻物語』)、荒木伸二監督 feat.SYOさん(『人数の町』)、城定秀夫監督&平井珠生さん(『アルプススタンドのはしの方』)、田中圭監督(『島にて』)、内藤瑛亮監督(『許された子どもたち』)、諏訪敦彦監督(『風の電話』)、想田和弘監督(『精神0』)、深田晃司監督(『本気のしるし』)、豊島圭介監督(『三島由起夫vs東大全共闘』)、入江悠監督(『AI崩壊』)、タナダユキ監督(『ロマンスドール』)、岩井澤健治監督&大橋裕之さん(『音楽』)、片山慎三監督(『岬の兄妹』)と『パラサイト 半地下の家族』を語り尽くす特番、森達也監督&河村光庸プロデューサー(『i 新聞記者ドキュメント』)、小林啓一監督(『殺さない彼と死なない彼女』)、竹内洋介監督(『種をまく人』)、渡辺紘文監督&雄司さん(『普通は走り出す』など大田原愚豚舎の世界)、瀬々敬久監督(『楽園』)、今泉力哉監督(『アイネクライネナハトムジーク』)、二ノ宮隆太郎監督(『お嬢ちゃん』)、大森立嗣監督(『タロウのバカ』)等々を配信中。アーカイブ動画は全ていつでも観れます。

サイト: https://morinao.blog.so-net.ne.jp/

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