森 直人

森 直人

略歴: 映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「メンズノンノ」「Numero TOKYO 」などでも定期的に執筆中。※illustrated by トチハラユミ画伯。

近況: YouTubeチャンネル『活弁シネマ倶楽部』でMC担当中。7月1日より、?田恵輔監督(『神は見返りを求める』)の回を配信中。ほか、小林啓一監督(『恋は光』)、大野大輔監督(『辻占恋慕』)、佐向大監督(『夜を走る』)、川和田恵真監督(『マイスモールランド』)、東盛あいか監督(『ばちらぬん』)、長久允監督(『DEATH DAYS』)、松居大悟監督(『ちょっと思い出しただけ』)、舩橋淳監督(『ある職場』)、犬童一心監督(『名付けようのない踊り』)、片山慎三監督(『さがす』)、二宮健監督(『真夜中乙女戦争』)等々を配信中。アーカイブ動画は全ていつでも観れます。

サイト: https://morinao.blog.so-net.ne.jp/

森 直人 さんの映画短評

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  • ルッツ 海に生きる
    地中海の眩い光と、生活のリアルな軋み
    ★★★★★

    マルタ共和国製作の映画は日本初上陸。冒頭から網を引く音、漁船のモーター音などが聞こえる、太陽に照らされた地中海の色彩と光溢れる体感的な映像世界。描かれるのは限定的な社会システムの中で個人が追い詰められていく辛いお話。ヴィスコンティの『揺れる大地』を始め伊ネオレアリズモの系譜を受け継ぐ傑作だ。

    語りも巧い。生活基盤に破綻が生じ、選択肢が乏しくなる。「さあ、どうする?」というサスペンスの発生はダルデンヌ兄弟に近い。さらにはブレッソン『バルタザールどこへ行く』流の人間を対象化して捉え直す「目」のショット。これがデビューのマルタ系米国人、アレックス・カミレーリ監督(88年生)は紛れもなく逸材なり。

  • パトニー・スウォープ
    カルトの帝王、ダウニーJr.のお父ちゃんは息子よりヤバい!
    ★★★★

    メルヴィン・ヴァン・ピープルズの『スウィート・スウィートバック』(71年)の2年前、ハリウッドに『イージーライダー』が登場した1969年、奇才ロバート・ダウニー(21年没)が放った低予算爆裂風刺喜劇だ。NYの広告代理店の黒人新社長による「いっそぶち壊せ!」的な大改革。アンダーグラウンドの娯楽作であり、「同胞意識」を持つジョナス・メカスも困惑しつつ賞賛した。

    冒頭ヘリからの空撮、異常なカメラワークの格好良さ、ファンキーな音楽の乗せ方など全てが才気のかたまり。本作並びにシニアの信奉者代表があのPTAであり(御大は『ブギーナイツ』と『マグノリア』に出演)、『リコリス・ピザ』は彼に捧げられている。

  • リコリス・ピザ
    ポール・トーマス・アンダーソンの最高純度
    ★★★★★

    地元サンフェルナンドバレーを舞台にしたPTAサーガの中でも究極の一本か。瞼の裏に焼き付く73年の原風景を再構築。『インヒアレント・ヴァイス』もまた近い時期のLAが舞台であり、あちらが愛と平和の幻想が終焉した憂鬱でアシッドな陰画としたら、今作は陽光溢れる甘酸っぱい個的な幻想のカリフォルニア・ドリーミングである。

    芸能界周りの風変わりな恋の次第を巡って、米英の多彩なヒット曲がバブルガム的な響きで流れてくる。タランティーノの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』やクロウの『あの頃ペニー・レインと』とも繋がる組成で、HAIMやホフマン家との長年の交流も美しく結実。アラナ&クーパーは最高だ!

  • 神は見返りを求める
    閲覧注意級の大傑作
    ★★★★★

    名作二連打『BLUE』『空白』の後にエグい真打ち登場! チャラさと深さが脅威の振幅で同時装填された?田恵輔の極北の星だ。映画監督にとって自己言及性を帯びる映像系=YouTuberを題材に、地獄の果てまで突き進むガール・ミーツ・ボーイが展開。岸井ゆきの&ムロツヨシは?田的キャラ完成形の凄みを放ち、特に今回は『なま夏』度高し。

    お話は『スタア誕生』の泥仕合Ver.。上昇するパフォーマーの女性とサポートしていた男性の下降。ガーシーchばりの反撃動画配信からコメディがホラーになり、人間存在の深淵に踏み込むジャンル的転調が起こりまくる。因果応報の法則を回す「神」の残酷。「本当にワルい若葉竜也」も出色!

  • ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行
    「肯定」の力に満ちた怒濤のシネフィリア・ドキュメンタリー
    ★★★★

    個人的に最近最も刺激を受けた一本。プロフィール写真のTシャツに「シネフィリア」の文字が躍る猛者、マーク・カズンズが2010年~21年の新しい映画の重要作111本を論評していく。セレクトは全世界網羅的。スマホ、CGや3D、VRに配信サービス、コロナ禍等の影響で、映画の形が激しく変わったここ10年の考察が展開する。

    際立つのがDJ/VJ的な「つなげる」快楽だ。クラシックにもがんがん補助線を引く。例えば『ベイビー・ドライバー』(17年)の音とリズム演出の原型的なものとして『今晩は愛して頂戴ナ』(32年)が挙がったり。『ホーリー・モーターズ』(12年)の“映画の扉を開ける”イメージの引用もいいね!

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