シネマトゥデイ

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森 直人

森 直人

略歴: 映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「TV Bros.」「メンズノンノ」「Numero TOKYO (Web)」「映画秘宝」などでも定期的に執筆中。※illustrated by トチハラユミ画伯。

近況: YouTube配信番組『活弁シネマ倶楽部』でMC担当中。11月30日より、竹内洋介監督(『種をまく人』)の回を配信中。ほか、渡辺紘文監督&雄司さん(『普通は走り出す』など大田原愚豚舎の世界)、瀬々敬久監督(『楽園』)、今泉力哉監督(『アイネクライネナハトムジーク』)、二ノ宮隆太郎監督(『お嬢ちゃん』)、大森立嗣監督(『タロウのバカ』)、樋口尚文監督(『葬式の名人』)、映画ジャーナリストの徐昊辰さん(『SHADOW/影武者』&『帰れない二人』について)、田中征爾監督(『メランコリック』)、大崎章監督(『無限ファンデーション』)、安里麻里監督(『アンダー・ユア・ベッド』)、深田晃司監督(『よこがお』)、江口カン監督(『ザ・ファブル』)、長久允監督(『ウィーアーリトルゾンビーズ』)、工藤梨穂監督(『オーファンズ・ブルース』)、三宅唱監督(『ワイルドツアー』)、佐向大監督(『教誨師』)、片山慎三監督×松浦祐也さん×和田光沙さん(『岬の兄妹』チーム)、二宮健監督(『チワワちゃん』『疑惑とダンス』)、広瀬奈々子監督(『夜明け』)、緒方貴臣監督(『飢えたライオン』)、関根光才監督(『太陽の塔』『生きてるだけで、愛。』)等々を配信中。アーカイブ動画は全ていつでも観れます。

サイト: https://morinao.blog.so-net.ne.jp/

森 直人 さんの映画短評

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  • フォードvsフェラーリ
    真のプロフェッショナルは「競争」を意に介さない
    ★★★★★

    実際のお話は一匹狼達 vs フォード社の重役陣。『ラッシュ/プライドと友情』的なW天才の世界にこってり乗っているのが「個と組織」の主題だ。『レッドライン7000』を持ち出すまでもなく、これは完全にホークス映画のチューンナップ。例えば山田宏一さんの『ハワード・ホークス映画読本』を開くと「あらっぽい喧嘩から友情が生まれ」「それぞれ自分にしかない知恵と力でたたかう」など本作に相当する文が続々出てくる。

    M・デイモンとC・ベイルが素手で取っ組み合いしてコカコーラで乾杯する単純な美しさ。マンゴールド監督の「20世紀アメリカ映画」を21世紀に橋渡しする作業は万全。「そこに映画がある、それが映画なのだ」!

  • テッド・バンディ
    人は見た目が9割、だって!?
    ★★★★★

    我々はこうも「イメージの良さ」に翻弄されるのか。自分が抱いた「好感」を修正するのがいかに難しいか。通例の犯罪映画とは全く異なったアングルから、ハンサム・温厚・知的という三種の神器(?)で世間を欺いた連続殺人鬼の恐ろしさを体感させる。これは監督のジョー・バリンジャーがNetflix『殺人鬼との対談』で事件を検証・分析し尽くしたからこそ高度に実現できたアプローチだろう。

    『メタリカ:真実の瞬間』や『クルード~アマゾンの原油流出パニック~』など正攻法なドキュメンタリー作家が選んだ、真実のミスリードへと感情が入り込んでいく話法は非常に達者。水を得た魚のごときザック・エフロンの“快演=怪演”も凄い!

  • 羊とオオカミの恋と殺人
    男の子よ殺人鬼と踊れ
    ★★★★

    これは凄い。朝倉加葉子監督は本作で「ホラー・イニシエーション」のフォームを完成させたかもしれない。『女の子よ死体と踊れ』(15年)でクソな現実に晒されていたのはゆるめるモ!の面々だが、今回は無職の男子(杉野遙亮)。ヴィトゲンシュタイン全集の隣に空いた壁の穴から始まる女子大生兼殺人鬼との恋を通し、生の実感を掴んでいくボーイ・ミーツ・ガールである。

    PG12という枠のせいか、主人公は大学生相当ながらジュブナイル物のような清廉さがある。カッターナイフを手にした福原遥のスプラッターダンスは素晴らしく美しいが、個人的には前半のワンシーン、彼女の「走る感じ」が見事にレザーフェイス的だったのがツボだった。

  • 海抜
    蒼い光を放つ原石
    ★★★★

    昨年のTIFFの際に観たのだが、ダークホースと言える渋い力作で驚いた(そのあとドイツのニッポンコネクションで受賞)。城西国際大学メディア学部の卒業制作で、高橋賢成監督をはじめクルーは全員当時学生。作風は‘80年前後のATGを彷彿。焦燥感を伝える粗い画質の映像自体に詩情があり、何より青春映画を超え、多重化した「悔恨」の物語であることに慄いた。

    1999年から3.11を挟んでの時代の推移も、古いモデルのガラケーを使うなど最小限の工夫で表わすのに成功している。もしここに社会それ自体の位相やリアリティの変動が連結していれば本当に凄かった。この監督、しつこく撮り続けてくれたら骨太の人材になる気がする。

  • リンドグレーン
    ちゃんと「生身のリアル」があるサブテキスト
    ★★★★

    ピッピにロッタちゃん、やかまし村……北欧の元気な子供の生命力に満ちたリンドグレーンの世界に「可愛い」「癒やされる」など凡庸な接し方をしてきた筆者には驚き!(&不明を恥じるばかり)。意外に泥臭い波乱の青春期が描かれる。むろんそこには、なぜ彼女は物語を紡ぎ出すようになったのか、という作家の秘密や原点に向かう問いかけがある。

    内容的にはオーソドックスな伝記映画に、女性の自立の主題を装填した系譜とも言えるが、新星アルバ・アウグスト(『ペレ』のビレ・アウグスト監督の娘)の芝居が素晴らしい。少女期から恋愛期、母としての葛藤まで顔つきや佇まいが生々しく変わっていく。「女の一生」を演じられる役者!

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