シネマトゥデイ

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森 直人

森 直人

略歴: 映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「TV Bros.」「メンズノンノ」「週刊プレイボーイ」「Numero TOKYO WEB版」「映画秘宝」などでも定期的に執筆中。

近況: 6月19日(火)新宿ピカデリー シアター4のウディ・アレン特集上映にて、『ミッドナイト・イン・パリ』上映前トークイベント、20:00より菊地成孔さんの聞き手を務めます。BSスターチャンネルの無料放送番組「GO!シアター」、6月は『ワンダー 君は太陽』『天命の城』『焼肉ドラゴン』についてコメントしています。執筆参加した『世界のカルト監督列伝』『鬱な映画』『漫画+映画!』『新世紀ミュージカル映画進化論』『究極決定版 映画秘宝オールタイム・ベスト10』(いずれも洋泉社)が発売中です。

サイト: http://morinao.blog.so-net.ne.jp/

森 直人 さんの映画短評

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  • オンリー・ザ・ブレイブ
    たまにはオールドスクールな米映画の男料理を
    ★★★★

    火は獣だ、という警句が『バックドラフト』にあったが、本作でも同様の喩えが出てくる。だがその荒れ狂う野性味はまた別種の怖さだ。シカゴを舞台に都市型の建物火災を描いた先行作に対し、こちらはアリゾナの山火事。「火をもって火を制す」というやり方からしてアトラクションにはならぬ獰猛さ!

    消防隊員はハードロックやカントリー音楽を愛する田舎の白人男たち。エリートチームにバカにされる屈辱を乗り越え、叩き上げの実力で英雄になる。『セッション』『ビニー』に続くマイルズ・テラーの青二才ぶりもいい。これもまた西部劇の遥かなヴァリエーションだろう。あるいは作業着としてのジーンズを思わせる頑丈で古風なアメリカ映画。

  • 正しい日 間違えた日
    ホン・サンス流儀を象徴するような二部構成のダメ恋愛コント
    ★★★★★

    お騒がせカップル、ホン・サンス×キム・ミニの初コラボ(2015年作)。この監督の世界観をコンセプチュアルな形式で際立たせた傑作だ。同じ男女の一日の出会いの顛末をツーパターン提示する。W・アレンの『メリンダとメリンダ』に似た試みながら、コインの表裏のような前後編として描く二部構成。

    実際、我々の日常や人生は同じパターンの、ちょっとしたヴァリエーションの繰り返し。同じ人は同じような事をするし、自分の行動原理なんてだいたい決まってる。でも些細な掛け合わせで一日の結果は変わる。それを連鎖させていくうちに、個々がオリジナルな人生を歩んでいる事に気づく。卑小な日常の中に真実性を見出す鮮やかな眼と手腕!

  • 菊とギロチン
    瀬々敬久のオッペケペー節
    ★★★★★

    全編に瑞々しい初期衝動があふれる自主企画。『友罪』とこれの連打は強烈。大杉栄の影響下にあるギロチン社の若き革命家たちに対し、創作の多い女相撲一座は伊藤野枝の魂を託したものか。アナキズムとフェミニズムが、震災後の日本社会で手を取り合って理想の世界を夢見るお話。女相撲の力士たちに関しては、70年代ロマンポルノ映画のストリッパーってこういう「下層の闘士」的な描かれ方をしていたように思う。

    『華の乱』(深作)や『マルクス・エンゲルス』(ペック)との併映を組みたくなる叙事詩的風格。一見「敵」の自警団、在郷軍人分会にも寄り添う姿勢に真骨頂を感じた。瀬々イズムを全部ぶっこんだ三時間強のプロテストソング。

  • 万引き家族
    真の意味でパワフル
    ★★★★★

    傑作『フロリダ・プロジェクト』のショーン・ベイカー監督が来日した時、最も刺激を受けた一本に『誰も知らない』を挙げていた。今回はまるで再び彼から是枝監督にバトンが手渡されたかのような連動ぶり。やや判り易く貧困を可視化する方向に舵を切り、本当の家族とは何か?との問いを反転させ、既成の社会通念に囚われないチームの可能性を提示する試みだ。

    初期(あるいは山崎裕の撮影による)是枝映画の端正さに比べると、芝居のアンサンブルは「ガサガサ」した生命力を伝えるもの。それを近藤龍人の驚異的なカメラが美に昇華する。監督はより大粒の、胸にガツッと直接響くものを志した。役者全員最高。雪景色は大島渚の『少年』を連想。

  • 孤狼の血
    僕は東映実録版『ラ・ラ・ランド』だと考えています
    ★★★★★

    筆者の中ではこれ『ラ・ラ・ランド』と「意味」は同じなのである。チャゼルも白石和彌も、20世紀の映画遺産(ミュージカル/東映実録路線)のジャンルや形式総体を「これ一本」でアップデートしている事。また、かつて撮影所システムから生まれた映画の形を、実質インディに近い状態で作る困難を引き受けている事において。

    簡単に言うと「新古典派」だが、既成の枠組みをあっけらかんと拝借する姿勢をどう扱うか――この点が一番重要な評価の分かれ道だと考えている。ただし開き直りとも取れる舵の切り方は、映画の本来性が終わっちゃう、との切迫感に基づくもので、誰かがやらねばいけない。故に最大限のリスペクトと星数を捧げます!

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