シネマトゥデイ
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森 直人

森 直人

略歴: 映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「朝日新聞」「キネマ旬報」「テレビブロス」「週刊文春」「週刊プレイボーイ」「メンズノンノ」「Numero TOKYO」「映画秘宝」などでも定期的に執筆中。

近況: 4/27(木) 新宿k's cinemaにて、『光と禿』(スギム a.k.a. クリトリック・リス主演)21:10の回 上映後に青木克齊監督とトークします。執筆参加した『映画の必修科目16 激動!イギリス映画100』(洋泉社)などが発売中です。

サイト: http://morinao.blog.so-net.ne.jp/

⇒映画短評の見方

森 直人 さんの映画短評

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  • 映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ
    ボーイ・ミーツ・ガール、「出会い」についての考察
    ★★★★★

    石井裕也 meets 最果タヒ、の出会いから立ち上がったひと組の男女のお話。渋谷・新宿のゲリラ撮影が主となる「都市の映画」、ではあるが、二人をつなぐのは街への親和性ではなく違和感だ。一千万人の中から同じ周波数をキャッチして引き合う運命の糸を数値的な正確さで見せてくれる。

    キーワードとなるのは「嫌な予感」。これは石井の初期作品『反逆次郎の恋』(06年)に近い。だがどんどん悪くなる世界でも、ひとつの縁が明日をもたらす。ギリギリの希望かもしれないが、それさえあれば生きていける。「どうでもいい奇跡」等について言葉を交わす宮下公園のシーン――どこか街頭演劇のような抽象性をまとった二人の光景が美しい。

  • フリー・ファイヤー
    ハイ・ライズならぬハイ・ボルテージのシチュエーション活劇
    ★★★★

    J.G.バラード物の前作『ハイ・ライズ』がタワーマンションという「縦」の空間だったのに対し、これは「横」。工場跡で巻き起こる密室劇のギャング・アクションだ。今回は監督B・ウィートリーのオリジナル脚本で、徐々に出力の目盛りを上げながら90分を一気呵成に駆け抜ける。『レザボア・ドッグス』の倉庫場面を培養した趣だが、全ては“カオスを明晰に演出する”監督の技を発揮するための説話構造といった感じ。

    さらに「70年代」も『ハイ・ライズ』との共通項。車から流れるジョン・デンバーの曲(「緑の風のアニー」など『バック・ホーム・アゲイン』のカセットテープ)の伸びやかな調べが新たな不穏と暴力を運んでくる様は出色!

  • 光と禿
    この機会、観逃し厳禁作です!
    ★★★★★

    MOOSIC LAB 2016の大人気作――特に観客賞と主演男優賞はダントツだった本作が祝ピン公開! しかもクリトリック・リスのニューアルバム発売記念というタイミングで必見度は増すばかりだが、これは単純に観ないと損の面白さ!

    物語はボーイ(おっさん)・ミーツ・ガール。時にミュージカル……となれば『ラ・ラ・ランド』の名を出すのもやぶさかではないが(笑)、実はチャップリン『街の灯』ベース(さらに『モダン・タイムス』も)。そして何より、アクの強い芸人・俳優だった渥美清を寅さんという国民的キャラに仕立てた巨匠の技を彷彿させる、スギム氏の見事すぎる「微温化」が肝だ。監督・青木克齊の手腕と深い愛に拍手!

  • ノー・エスケープ 自由への国境
    メキシコとアメリカの国境、壁はなくともこの男がいる!
    ★★★★★

    「ここはマイ・ホーム(俺の国)だ!」と不法移民たちをライフル&猟犬で狩りまくるカウボーイスタイルの白人男。まさにトランプ時代の暗黒到来を正確に見据えた傑作だ(2015年作品!)。88分の緊迫感は只事ではない。監督はアルフォンソJr.のホナス・キュアロン(81年生)。作劇法としては「砂漠」という広大な密室を「宇宙」でやっていたのが脚本参加の『ゼロ・グラビティ』ってことになる。

    トランプ汁を濃縮したエキセントリックな差別主義者に扮するJ・ディーン・モーガンがマジで怖い。前半は『懲罰大陸USA』を連想し、後半は『眼には眼を』に近づくが、サム・ペキンパーがいま生きていたら撮りそうな一本とも言える。

  • 美女と野獣
    隠し味はコクトー
    ★★★★

    もし監督がB・コンドンでなかったら、本当に単なるアニメ版の実写コピーで終わっていたかも(ジョン・レジェンド&アリアナ・グランデの歌唱など素晴らしいですが)。ゲイキャラクターの付与はあくまで一例で、コンドンが自分の『美女と野獣』の原点と言及するジャン・コクトー版のタッチが流れ込んでいる事が大きい。セット撮影のアートワークなど具体的な影響も認められる。巧いバランスのマイナーチェンジだ。

    コンドンの強みはミュージカルの心得はもちろん、クラシック映画の教養と人物描写の陰影に長けている点。『フランケンシュタイン』の監督J・ホエールの晩年に迫る傑作『ゴッド・アンド・モンスター』と並べたくなった。

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