シネマトゥデイ

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森 直人

森 直人

略歴: 映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「朝日新聞」「キネマ旬報」「テレビブロス」「週刊文春」「週刊プレイボーイ」「メンズノンノ」「Numero TOKYO」「映画秘宝」などでも定期的に執筆中。

近況: 執筆参加した『世界のカルト監督列伝』『鬱な映画』『漫画+映画!』『新世紀ミュージカル映画進化論』『究極決定版 映画秘宝オールタイム・ベスト10』(いずれも洋泉社)が発売中です。

サイト: http://morinao.blog.so-net.ne.jp/

森 直人 さんの映画短評

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  • マンハント
    ジョン・ウー御大の初期衝動が復活!
    ★★★★

    アヴァンタイトルの濃縮度が強烈! 『君よ憤怒~』のリメイク、というよりメタ視点からのオマージュを捧げたジョン・ウーのオリジナル・スタイルってことが明確に判るし、監督の実娘アンジェルスがいきなり大活躍。ギラギラした脂ギッシュなグルーヴ、舞踏的かつ劇画的なアクションの快楽。一目瞭然、ほとんどの画面に監督のサインがくっきり刻まれている。

    ここ、マジで日本か? と驚愕する大きな空間把握にはやはり痺れる。高倉健あるいは國村隼つながりで補助線が引ける『ブラック・レイン』以来、約30年ぶりとなる大阪ロケの「洋画」としても楽しんだ。この世界観に、いつもと同じ音域のまま完璧にハマる福山雅治のブレなさも凄い!

  • しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス
    「素敵」のコーティングに囚われない夫婦像を提示する
    ★★★★

    『パディントン2』『シェイプ・オブ・ウォーター』と、サリー・ホーキンスの波が来ている。昔で言う不思議ちゃん的な匂いの中に、広大な心の自由を備えた役柄が似合う彼女は、時代が求めるリベラルなキャラクターと合致しているってことか。三作中、本作は最も彼女の「芝居」が前面化したもので、伝記映画の王道の醍醐味が味わえる作り。

    モード・ルイスの「フォーク・アート」に呼応するロケーションが美しい。ドラマは意外に泥臭いところまで突っこむのだが、元々保守的で粗野な男性像からゆっくり変容する旦那役にイーサン・ホークを当てたのが技あり。また最後にモノクロフィルムで登場する実際のご夫婦がものすごく可愛らしい!

  • スリー・ビルボード
    いまさらながら文句なし
    ★★★★★

    もともと英国演劇界の旗手として登場したマーティン・マクドナーが、ここまで見事な「アメリカ映画」を撮ったことに激しく感動する。しかもその達成を支えるのは、米国のローカルな地理性に世界を覆う諸問題を圧縮する「外部」的視座だろう。ミズーリ州の田舎町に出現する『赤い影』ならぬ赤い看板が発火点となり、地獄の業火が燃え上がる。

    圧巻のマクドーマンドとロックウェルが当然にも賞賛を集めているが、キーパーソンはハレルソン扮する署長。彼がもたらす「愛」や「赦し」の観念を、負の連鎖に放り込んで鎮静化の可能性を見定める思考実験。ニューシネマがヴェトナム戦争の泥沼化を背景としていたように、まさに反トランプの沸騰だ。

  • シェイプ・オブ・ウォーター
    天才が全力を出している
    ★★★★★

    観たら分かる、傑作やん!ってヤツです。息詰まるほどのエナジーに陶然。ギレルモ・デル・トロの「ありったけ」が詰まってる(全部乗せ、とまでは言わないが)。まだ出してなかったカードを加えつつ、特に『ヘルボーイ』と『パンズ・ラビリンス』が冷戦下(象徴的な1962年)を舞台に止揚された趣だ。

    改めて思うのは、トランプへの反撃として多様性やマイノリティ賛を謳う映画人の熱が本当に高揚していること。後年振り返ったら「時代のカラー」として認知されるだろう。デル・トロはメキシコ人としてのアイデンティティについてよく語るが、保守マッチョ白人の権化にも悲哀を宿らせ、役者の中ではM・シャノンが最も圧巻というのも凄い!

  • かぞくへ
    真の意味で、ダルデンヌに拮抗する日本映画
    ★★★★

    「愚かさ」で転がすタイプの映画だが、そこに胸が苦しくなるほどのリアリティが密着している。主人公はカネの件で下手を打ち、ある種の真面目さから袋小路に向かう。脇が甘く、判断ミスを繰り返し、相談せずに一人で決め、格好のつけ方を間違う…。この不器用さは愛されキャラにも仕立てられる要素だが、本作は彼を苛烈なスパイラルに放りこむ。

    これは階層とコミュニケーションで決定される現代社会が強いるゲームなのか。その中でズタボロになっても、世界は捨てたもんじゃないと言えるのか。監督・春本雄二郎が影響を受けた先人の中にダルデンヌ兄弟を挙げていたのは納得。『サンドラの週末』と一緒に観たい。あと役者陣の顔が本当にいい!

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