宇宙の広大さと、今、此処が交差する

2015年10月5日 平沢 薫 光のノスタルジア ★★★★★ ★★★★★

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光のノスタルジア

 通常「ドキュメンタリー」という語から連想される映画とは、異なる。画面にはそこにあるものが映し出されるのだが、この映画が描こうとするものは、画面には映し出されない。画面は、壮大な宇宙の営みと、小さな人間の営みとを、並列に並べてみせる。「光のノスタルジア」のチリの砂漠には、何万年も前に発せられた宇宙からの光が届き、独裁政権が多数の死体を遺棄し、それぞれを追う人々がいる。「水のボタン」のパタゴニアの海には、ビッグバンに起原を持つ水があり、独裁政権が捨てた死体のボタンが沈み、海を奪われた先住民が住む。どの光景も圧倒的な強度で目の前に迫り、あるときは美しく、あるときは恐しく、けして叙情には流れない。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」「Movie Walker」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況:「マルコヴィッチの穴」「アダプテーション」の脚本家チャーリー・カウフマン監督・脚色の「もう終わりにしよう。」@Netflix、映画だけ見ても面白いが、イアン・リードの同名小説(ハヤカワ文庫)を読むと、カウフマンがこの小説をどう読んだのかが見えてきて面白さ倍増。

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