平沢 薫

平沢 薫

略歴: 映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「Movie Walker」「日経エンタテインメント!」「DVD&動画配信でーた」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況: デヴィッド・フィンチャー監督が製作総指揮に参加した、「映画という文化 レンズ越しの景色」全6話@Netflixは、脚本家、俳優、映画評論家らが映画について語るエッセイ的な映像作品。各話17分~23分の手頃な長さで、どの話もいろんなことを連想させる。

平沢 薫 さんの映画短評

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  • ドント・ルック・アップ
    アダム・マッケイ監督のブラックな味が冴え渡る
    ★★★★

     これが、今、私たちが生きている世界の状況であることを突きつけられる。恐ろしいが目を背けるわけにも行かず、コメディの形になっているのがありがたい。監督・脚本は『マネー・ショート 華麗なる大逆転』でリーマンショックの裏の金融界の異常事態をブラック・コメディに仕立てて見せたアダム・マッケイ。今度の舞台は金融界ではなく地球全体なので、新型コロナウイルスや環境問題により人々が地球全体を一つのものとしてとらえるようになった現在、ドラマがさらに身近に切迫。監督のブラックな味が冴え渡る。そんな物語にレオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス、メリル・ストリープら大物俳優たちが大挙出演している。

  • ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男
    静かに戦い続ける男が、マーク・ラファロによく似合う
    ★★★★★

     大企業の巨悪とそれに立ち向かう弱者を実話を元に描くという、ある種典型的な物語だが、戦いとその結末を描くのではなく、"戦い続けるということ"に焦点をあてたドラマ作りで魅了する。映画は、この事実に出会わなければ平穏な生活が送れただろう一人の弁護士が苦難の道を歩み続けていくさまを、静かに追う。この弁護士の、大きな声を出すことはなく穏やかな物腰で、しかしずっと一人で地道に、自分がやらなくてはならないと思うことをやり続けるという人物像が、マーク・ラファロによく似合う。もともとこの映画化企画の発案者はラファロだったとのことで、彼自身がこの人物に自分と共通するものを見出していたのではないだろうか。

  • ラストナイト・イン・ソーホー
    いかがわしくも魅惑的な夜のロンドンの匂いが漂ってくる
    ★★★★

     劇中でアニャ・テイラー=ジョイが歌う「恋のダウンタウン」は1964年の大ヒット曲。60年代後半のサイケデリックの波が押し寄せる直前、ギラギラした輝きといかがわしさに満ちたロンドンの夜の匂いが、画面から濃厚に漂ってくる。その極彩色に輝く危険な気配は、60~70年代の鮮血に彩られたホラー映画の放つ匂いと、波長が同じ。この2つの振動が溶け合って増幅し合い、動悸が高まり目が眩む魅惑的な世界を出現させる。
     これまでオタクぶりで魅了してきたエドガー・ライト監督が、そんな新境地を開拓。物語の中心となる非オタク女性2人の魅力的な人物像も、彼の新機軸。それでいてこの監督らしいキュートさは同じなのが嬉しい。

  • ジャネット
    8歳のジャンヌ・ダルクがヘッドバンギングする
    ★★★★★

     8歳のジャンヌ・ダルクが、大自然を背景に、ヘビメタのライブのようなヘッドバンギングをする『ジャネット』は、『ピンク・フラミンゴ』のジョン・ウォーターズ監督が年間ベスト1に選んだ作品。15世紀フランス、神のお告げで百年戦争で戦い、19歳で異端とされて火刑になったジャンヌ・ダルクは何度も映画化されてきたが、本作はかなりの変化球。参戦までを描く『ジャネット』、異端審問を描く『ジャンヌ』は2作ともミュージカル。2作のヒロインを演じるのは演技経験のない8歳の少女で、歌詞の意味を理解しているのか判然としないが、その眼差しを見ていると、ジャンヌ・ダルクとはこんな存在だったのかもしれないという気がしてくる。

  • GUNDA/グンダ
    じっと見つめていると、世界が別の形で見えてくる
    ★★★★

     音楽もなく、ナレーションもなく、そこにあるのは農場で生きる豚と、それを取り巻く世界のみ。それが、草の葉の尖った先端や鶏の羽毛の揺れまでも克明に映し出す端正なモノクロ映像と、そこでする音のみで映し出されていく。それだけなのに、目を離すことが出来ない。そのように何かをじっと見つめ続けるという行為を久しくしていなかったことにも気づかされる。そうしていると、世界が別の形で見えてきて、ただ牛が立ち上がるといった何でもない動きの美しさに、感じ入ってしまうようになる。見ていると、そこではよくあることなのにショッキングに感じられてしまうことが起きたりもするが、それもまた美しさの中に溶け込んでいく。

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