シネマトゥデイ

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平沢 薫

平沢 薫

略歴: 映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「キネマ旬報」「映画.com」等で執筆。著作に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況: Amazonビデオで「フィリップ・K・ディックのエレクトリック・ドリームズ」を視聴中。1話完結のシリーズだが、ひょっとしてこのシリーズは、各話がどこかに映画「ブレードランナー」のオマージュを入れる、というのが密かな必須事項になっているんじゃ? そんなことを思いつつ配信スタートした「オルタード・カーボン」を見始めたら、街の景観が「ブレードランナー」にそっくり。

平沢 薫 さんの映画短評

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  • シェイプ・オブ・ウォーター
    愛が水のように形を変えながら満ちていく
    ★★★★

     ヒロインが、彼女が出会った不思議な生き物を愛する理由を手話で表現するとき、それがズシンと腑に落ちる。そうなのだ、これまでもデル・トロ映画ではずっと、モンスターなのは人間で、どこかが周囲と違う者たちはみな純粋だった。生まれつき声を出すことができないヒロインが、自分の愛するものの命を救うことを決意する。すると、彼女同様どこか異なる部分のある人々が、彼女に協力していく。そういう物語が描かれていく世界は常に、今回は少し緑が強い、いつものデル・トロの青緑色に覆われていて、まるで水の中のようにも見える。その薄暗りの中で、モノクロのミュージカル映画流の古風なロマンチシズムが、ほのかな光を放つ。

  • ウイスキーと2人の花嫁
    スコットランド気質が楽しいスコットランド万歳映画
    ★★★★★

    「キングスマン:ゴールデン・サークル」でも、マーリンが出身地スコットランド産のウィスキーへの誇りを発揮する場面があったが、本作はそんなスコットランド人のスコッチ礼賛かつスコットランド万歳映画。49年の同名原題映画のリメイクで、村中の人々が、当局の目を盗んで沈没船からウィスキーを手に入れるために一致団結するという、ホラ話のようなストーリーだが、それが実話なところも、さすがスコットランド。監督も脚本家も主要出演者もスコットランド出身で、ロケ地もスコットランド。ひねったジョークも、官憲には素直に従わない気質もスコットランド流。若者たちよりも、偏屈な老オヤジたちがイイ味で魅力的なのもこの話に似合う。

  • 長江 愛の詩
    画面に身を委ねると、長い船旅が始まる
    ★★★★★

     スクリーンに映し出されるものに身を委ねるだけで、どこまでも続くかのような長い船旅に出ることになる。アジア最長の大河を、海に注ぐ河口から山奥の水源まで、小さな船で遡っていく。その旅は、長大な距離を移動する旅であると同時に、壮大な歴史を遡る時間の旅にもなっている。船が途中で停泊するたびに、そこにはまるで異なる世界がある。主人公は土地ごとに同じ顔をした女性に出会うが、彼女は同じではない。そのうえ、メタファーは単純ではない。主人公には迷いがあること、彼が旅をしながら亡父の書いた詩集「長江図」を読むこと、この船旅にはある事情があること、それらが層をなして重なり、物語が大河の波のように交錯していく。

  • 今夜、ロマンス劇場で
    50年代映画のプリンセスの可憐と気品が甦える
    ★★★★★

     監督は「綾瀬はるか史上、一番美しい綾瀬はるかを撮りたい」と意図したとのこと、それは実現できたのではないか。50年代映画のプリンセスの可憐さと清潔な気品が、現代という時代からも、現実という場所からも切り離されたところに創り出されて、まばゆい光を放つ。ヒロインの造形は予告編やポスターを見れば一目瞭然、「ローマの休日」「パリの恋人」など50年代のオードリー・ヘプバーンのイメージで、25着に及ぶ衣装もみな50年代ファッション。そこに日本のお転婆お姫さま映画「狸御殿」シリーズの雰囲気がプラスされているのも楽しい。ポスターを見てきっとこうだろうと予想した通りの物語が、そのまま描かれていくのが気持ち良い。

  • ロープ/戦場の生命線
    恒常的な疲労感を"やれやれ"でかわして歩き続ける
    ★★★★★

     複雑に絡み合った困難な状況の中、何度も襲ってくる徒労感を"やれやれ"と"トホホ"で受け流して、今していることを投げ出さずに続けていくこと。それを実践する人間たちを、暑く乾いた埃っぽい土地に描いていく。
     1995年のバルカン半島、停戦合意直後の紛争地域。国際援助活動家たちが、井戸の死体を除去するためのロープを探すがそれが難しい。武装勢力だけではなく、国連の部隊すらその妨げになる。そんな場所にルー・リードの歌が流れて似合う。映画の原題は彼の代表曲の一つ「パーフェクト・デイ」だ。監督は脚本家出身、ドキュメンタリー監督経験もあり、細かな出来事の巧みな連鎖と、映像のリアルな質感に活かされている。

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