シネマトゥデイ

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平沢 薫

平沢 薫

略歴: 映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」等で執筆。著作に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況: 「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス」@Netflixを視聴中。ホーンティング・ハウスものだけどひと捻り。子供時代に呪われた館で過ごした子供たち5人が、そのトラウマを抱えたまま大人になり、彼らの「現在」と「子供時代」が並行して描かれるという趣向。さらに、同じ出来事が別の人物の視点から描かれて、別の意味が見えてきたり。クリエイターは「ジェラルドのゲーム」のマイク・フラナガン。彼は現在、スティーブン・キングの「シャイニング」続編、「ドクター・スリープ」を撮影中。

平沢 薫 さんの映画短評

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  • ヴェノム
    ヴェノムは"形"で自分が何者なのかを宣言する
    ★★★★

     ヴェノムの真髄をその形状、変形ぶり、動きによって表現する---映画がR指定にできなくなった時、本作が選んだ戦略はこれだったのではないか。
     黒く禍々しく凶暴なものが、夜の闇の中で異様な形に膨れ上がっていき、一気に解き放たれる。その時、それは嫌悪を招く邪悪な姿と化して強大な殺傷力を発揮し、暴力というものの愉悦に浸って、細長い舌を喜びにはためかせる。闇の中で鈍く光を放つ質感や、変形後の短い一瞬、歌舞伎の見得のようにその姿を誇示するという演出もヴェノムに似合う。禍々しいのにどこか笑えるテイストは健在。課せられた制約の中、ヴェノムが、自身の"形"によって自分が何者なのかを宣言してみせる。

  • search/サーチ
    ユニークな映像手法が、ストーリーとテーマに直結
    ★★★★

     タイトルは、娘の"捜索"とネットの"検索"、両方を意味している。父親が娘の行方不明の真相を追う謎解きミステリーで、それだけで面白いのだが、その謎解きをネットですることで面白さが倍増。
     "すべてパソコン画面の映像で展開する"という宣伝文句は本当で、そのうえ、それが映像手法として面白いだけではなく、ストーリーとテーマの双方に密接に結びついているのだ。
     ネットのSNS、動画、検索などによる調査であることが、ストーリーに大きく絡む。そして謎解きの中で、ネットで分かること、陥りやすいことが描かれて、現在のネット社会についてのメッセージにもなっている。

  • テルマ
    冷たく静かな世界で、少女の何かが目覚める
    ★★★★

     主人公が幼い頃から彼女の内部に在り、しかし両親によってずっとその存在を否定するよう仕向けられてきたあるものが、彼女が実家を離れたことを契機に、少しずつ出現し始める。それは一体何なのか。と、物語の基本は定番だが、それが描かれる世界の冷えた大気と静寂は、この映画独自の味わい。
     氷の張る湖、雪の降り積もる森。窓のガラスさえ冷たい。その冷えた世界の中で、湖、プール、浴槽と、"水"のモチーフがループしていく。その冷気の中で、少女の内部から出現しようとするものが持つ熱が際立つ。
     そして、主人公がその何かの正体を知ったときに到達する場所は、定番を度外視したもの。最後の彼女の眼差しが冷たく熱い。

  • エンジェル、見えない恋人
    夢を見ているような映像が見えないものを見せてくれる
    ★★★★

     ずっと夢を見ているような感覚に陥る。映像が、つねに柔らかな明るい色彩のままぼんやりとした質感なので、目が覚めかけているときにこれは夢だとどこかで認識しながら見ている夢のように見えてくる。ベルギー幻想派という単語を連想してしまうのは、ベルギー生まれの監督がベルギーで撮ったことと、姿が見えない少年の存在を認める2人の女性、彼の母と恋人がどちらも妖精のような容貌だからかもしれない。
     姿を消すのが得意なマジシャンに恋する娘。彼女が生む姿が見えない男の子。彼が出会う目の見えない少女。そんな"見えない"ものに溢れた物語を、観客の"見る"という体験に翻案する大胆な試みが静かに結実している。

  • スモールフット
    異文化間交流をアニメならではの楽しさいっぱいに描く
    ★★★★★

     人間が"未確認生物ビッグフット"と呼ぶイエティから見たら、人間は"スモールフット"。そんなタイトルからも分かる通りテーマは深く、"異文化間の交流"という、移民問題をも連想させるタイムリーなもの。なので、イエティと人間の間で言葉が通じないというアニメには珍しい設定。同じシーンをイエティの視点、人間の視点の両方から描いて、すれ違いぶりで笑わせながら、それが人間同士の間でもあることに気づかせる。さらに、伝説=その社会固有の固定概念についての物語にもなっている。もちろん、アニメならではの楽しさは満載。ゼンデイヤが声を担当するイエティの族長の娘が空想世界を飛び回りながら歌う"想像力"の歌が気持ちいい。

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