シネマトゥデイ

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平沢 薫

平沢 薫

略歴: 映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「キネマ旬報」「映画.com」等で執筆。著作に「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況: 「ベイビー・ドライバー」の全米大ヒットがめでたいエドガー・ライト監督に来日取材。取材の前日はフジロックで大はしゃぎして、その足でロボットレストラン堪能というフットワークの軽さにも脱帽。その様子は本人がtwitterで公開中。

平沢 薫 さんの映画短評

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  • パターソン
    ジム・ジャームッシュ監督が帰ってきた。
    ★★★★★

     '80~'90年代のジャームッシュ監督作を思い出させる。自然にもっとも疲れない速度で歩いているようなリズムが同じ。昼の場面も多いのに、夜が印象に残るのも同じ。それは、監督が本作の発想を得たのが25年ほど前だったことと、関係があるかもしれない。そして、画面の触感はとても柔らかい。
     小さな町で、バスの運転手をしながらつねに詩を書いている男の、大きな出来事の起こらない毎日が描かれていく。男は詩を発表する予定もなく、それを読むのは彼の愛する妻くらいなのだが、男にはそれで問題ない。男がたゆまず詩を書き続けているので、積み重ねられていく日々の暮らしの底に、何かとても力強いものが静かに充ちている。

  • エル ELLE
    歪んでいても、大丈夫
    ★★★★★

     歪んでいても、イタくない。本作のヒロインがそれを体現してくれる。
     ヒロインは、かなり常軌を逸した行動をする人物で、硬く厚い殻で徹底防御し、無慈悲に敵を攻撃をするのだが、それでいて美しく、仕事は有能で、親友も元夫も愛人もいて、娘は普通に育って孫も生まれる。歪んでいても大丈夫、普通の生活は送れると示してくれるのだ。途中で主人公の過去が描かれて、彼女の歪みが生き延びるためのものだと推測される。歪んでも、生き延びること。そうすれば大丈夫なこともある。
     そんな人物像に説得力があるのは、イザベル・ユペールが演じているから。彼女が演じる主人公が、怖ろしく美しく魅力的だ。

  • ボブという名の猫 幸せのハイタッチ
    猫が神妙な顔をする
    ★★★★★

     猫のたたずまいを映し出して、猫の感情を読み取らせる。猫に詳しくないので、本作の猫の表現がリアルかどうか判別できないが、主人公が悩んでいると、猫が神妙な顔をする。主人公がリラックスしていると、猫が眠そうな顔をする。そのときどきの猫の表情が、ドラマのアクセントになっている。この猫は、映画の原作実話の猫本人。丸顔で手足が太い、あまり美猫ではないタイプなのかもしれないが、どんどん魅力的に見えてくる。
     主人公はロンドンのホームレスでストリートミュージシャンで、英国のビンボーな青春映画好きにもぴったりの設定。主演のルーク・トレッダウェイは「アタック・ザ・ブロック」同様、貧乏な青年役が似合ってる。

  • ベイビー・ドライバー
    快感!ポップソングとアクションがシンクロ!
    ★★★★

     全米大ヒットも納得、エドガー・ライト監督らしさはそのままで、しかもこの監督を知らない観客にも楽しめる。ポップミュージックとアクションがシンクロする楽しさはこの監督のいつもの得意技だが、それが今回は映画全編で持続。主人公がずっとイヤホンでポップソングを聴いているという設定で、その曲が全編で流れ、人の動作もカーアクションも銃撃戦も、すべてポップソングとシンクロするのだ。アクションと音楽が同期してダイレクトに身体感覚を刺激、それだけで気持ちいい。この快感を感じるのに、オタクな知識は不要。選曲も有名曲が多く、セリフで曲名を教えてくれたりもする。そのうえでギャグのセンスはいつもと同じ。それも嬉しい。

  • スパイダーマン:ホームカミング
    "スパイダーマン映画"がラモーンズのノリで生まれ変わった!
    ★★★★

     冒頭で鳴るのがNYパンクの人気バンド、ラモーンズ。この1曲で、この映画が「NYといえばラモーンズでしょ」という感性に貫かれていることを宣言。その宣言通りに、映画自体がパンクな勢い、スピードと跳躍力で疾走する。速いだけではなく、速度が軽やかさを伴う。若返ったのは主人公だけではない、"スパイダーマン映画"が若返った。
     演出も現代に合わせてアップデート。現役高校生のピーターは自撮りが大好きで、観客はアベンジャーズが絡む世界規模の出来事も、彼の自撮り目線で描かれる。それでいて"ご近所のヒーロー"というスパイダーマンの根幹は、きっちり踏まえる。ジョン・ワッツ監督、今後の動きにも要注目だ。

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