平沢 薫

平沢 薫

略歴: 映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「Movie Walker」「日経エンタテインメント!」「DVD&動画配信でーた」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況: 南ロンドンで暮らすアフリカ系男女5人が、突然、超能力を持ってしまったら、を描く英国ドラマ「SUPERCELL /スーパーセル」全6話@Netflix を視聴開始。よくある設定だけど、舞台が南ロンドンで、彼らがティーンではなく、子供もいたりする20代なところが新鮮。

平沢 薫 さんの映画短評

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  • デッドプール&ウルヴァリン
    まさかあのキャラが!? のサプライズは予想以上
    ★★★★★

     実は"旧FOX系マーベル映画とMCUの融合"という重要な役割を担う作品だが、その大仕事を従来のデッドプールの世界を微塵も変えることなく実現したところが胸アツ。この役割に絡んで、前2作以上に、現実の出来事を踏まえたメタなギャグが増えているのも楽しい。ウルヴァリンのシリアスな魅力を活かす匙加減も絶妙。コミックそっくりのポーズなど、コミックファンへの目配せも怠りない。

     予告編からカメオ出演の大量さは予想していたが、まさかこのキャラが!? というキャラが何人も登場、こういうサプライズでファンを喜ばせるところも、すでにきっちりMCU流。これらの噂を流させずに実現したマーベルの秘密保持能力にも脱帽。

  • 時々、私は考える
    主人公が夢想する静謐な世界が美しい
    ★★★★★

     人とうまく接することができない主人公が陥る、夢想の情景が美しい。彼女は無意識のうちに、自分が生きていないのと同じ状態だと感じているので、彼女の脳裏には、しばしば自分が死んでいる風景が浮かび上がってくる。そこは森の中だったり、海辺だったりするが、いつも静謐で、落ち着いた色調が美しく、時間が止まっている。その世界の空気は日常生活にも浸み出していて、彼女はその静かさを乱さないように暮らしている。

     そんな彼女が、ある出来事により、他人と接するための努力を始める。それを阻むのは、彼女自身がずっと隠してきた深い傷だということも分かる。それでも歩もうとする彼女の姿が静かな映像で描かれて胸を打つ。

  • ツイスターズ
    ディザスター映画の醍醐味を大音響で体感
    ★★★★

     正々堂々たるディザスター映画。『ミナリ』のリー・アイザック・チョン監督は、この映画で観客が見たいものは何なのかを、見誤らない。冒頭から、何度も、さまざまなタイプの竜巻が襲来し、それを現象として遠くから描写するのではなく、それに巻き込まれた人間がその時に陥る状況、身体が体感するものを描く。彼らが吹き飛ばされまいと鉄製の建造物にしがみついている時、気づくとこちらも歯を食いしばっている。その臨場感に、音響効果が大きく貢献している。

     この監督のこと、人物の性格や人間関係の描写は必要なだけある。デイジー・エドガー=ジョーンズ演じる主人公の大声を出さない性格も、エンディングの光景も魅力的。

  • 劇場版モノノ怪 唐傘
    ただ紋様と色彩に酔いしれるのみ
    ★★★★

     ただ紋様と色彩に、陶然と酔いしれるのみ。デザインや色彩は、日本の伝統紋様や襖絵、浮世絵が原点なのだが、そのままではない、かなり変格の和風。しかも、細かな紋様が画面の隅までびっしり描き込まれている。画面の全体的なタッチが2007年放送のTV版「モノノ怪」と共通なのは、監督が同じ中村健治だからだろう。大画面なので紋様の描き込みの密度が高くなり、永田狐子のキャラクターデザインにより、中心人物である薬売りの目元と口元がさらに色気を増した。

     大画面ならではの大きな動きも、新たな魅力。視点が立体的に動いて世界がぐるぐる回り、色彩と紋様の奔流が押し寄せて、その圧力が全身を押しつけてくるのを体感。

  • 怪談晩餐
    時代が変わると、恐怖の質は変わるのか
    ★★★★★

     ウェブで掲載されて人気を集めたホラーコミックが原作の全6話のオムニバスは、ほとんどが"現代ならではの現象"をモチーフにしているところが特徴。第1話はTikTokの"踊ってみた"、第2話は受験戦争、第3話はカジノの大当たり、第4話は居住者専用ジム、第5話はリバビリ訓練、第6話は大食い生配信と、今っぽい題材が目につく。

     それをEL7Z UPのチャン・イェウンらが出演し、『シャーク 覚醒』のチェ・ヨジュンら韓国の監督たちがどう描くかが見もの、なのだが、このオムニバスの裏テーマは「時代が変わると、恐怖の質は変わるのか」なのではないか。6話6様の物語を楽しみつつ、その問いについても考えさせられる。

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