シネマトゥデイ

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平沢 薫

平沢 薫

略歴: 映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」等で執筆。著作に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況: 2019年に新シーズンがスタートする「ゲーム・オブ・スローンズ」や「ストレンジャー・シングス」の予告編が登場して、ワクワク。

平沢 薫 さんの映画短評

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  • ROMA/ローマ
    目の前に広がる世界の豊穣さが沁み込んでくる
    ★★★★

     映し出される世界の豊穣さが沁み込んでくる。廊下を水で洗う、洗濯物を干す、という日常的な所作から、人々の集団が走る、海の波が満ちて引く、などの大きな波動まで、画面に映し出されていく多様な動きが、すべて等価で豊かさに満ちている。中流家庭に住み込みで働く女性クレオは、世界をそのようなものとして感じているのだ。画面を見ながら、その感覚を共有することが出来る。
     アルフォンソ・キュアロンが監督・脚本・撮影を担当、彼の個人的体験を反映させて、1970年代初頭のメキシコシティ、ローマ地区のある家で暮らす人々を描く。人々の年齢や人種、階級などに差異はあるが、彼らが感じる喜び、悲しみ、愛に変わりはない。

  • バスキア、10代最後のとき
    その頃のニューヨークの熱気を体感
    ★★★★★

     10代のバスキアを描くドキュメンタリーだが、彼だけではなく、彼がいたその頃の空気を描く。監督は、ジム・ジャームッシュ監督のパートナーでもあるサラ・ドライヴァー。彼女が当時NYに住んでいた友人たちの協力を得て、彼ら自身の体験や記録映像を交えて描く画面からは、70年代末~80年代初頭のNYの気配、アートと音楽とフィルムのシーンが混然一体となっていき、アーティストたちがフォームにこだわらなくてもいいのだと確信して動き出す、その頃の熱気が立ち上ってくる。
     ちなみに当時の映像や写真にはパティ・スミスなど著名人が多数写っているが、字幕は出ないので画面に目を凝らそう。

  • メアリーの総て
    「フランケンシュタイン」執筆秘話を"女性の自立"視点で描く
    ★★★★★

     これまで小説「フランケンシュタイン」執筆裏話は、ゴシック小説の誕生という観点から描かれがちだったが、本作は"女性の自立"という視点から描く。監督は「少女は自転車にのって」の女流監督ハイファ・アル=マンスール。1818年、18歳のメアリー・シェリーがこの小説を書き始めた背景に、父親の影響、既婚者との恋愛、幼い子供の死、当時の社会通念との軋轢などを配置して、それらが彼女にこの小説を書かせるというストーリーは、ドラマチックで分かりやすい。それでいて、あの小説に込められたものはそれだけではないのではないかとも思われて、「フラケンシュタイン」という作品の持つ力を再認識させられる。

  • グリンチ
    グリンチの愛犬マックスからも目が離せない
    ★★★★★

     実写版映画もあった名作絵本のアニメ映画化だが、ポイントは製作会社がミニオンズで有名なイルミネーション・エンターテインメントだという点。色彩もいつものイルミネーション作品の色。さらに、動物たちが主人公の「ペット」「SING/シング」を大ヒットさせた同社らしく、得意の"キュートな動物たち"を本作にもたっぷり投入。グリンチには執事のような犬マックスがいて、この犬がグリンチに負けない存在感を発揮。さらに彼らは、巨体のトナカイとも同居することになる。この犬やトナカイの活躍が、犬好き、動物好きにはたまらないはず。名作絵本を題材にしつつ、しっかりイルミネーションならではのアニメになっている。

  • 宵闇真珠
    音楽を味わうように、色彩を味わう
    ★★★★★

     音楽を味わうように、香りを味わうように、色彩を味わう映画。自分を幽霊だと思っている少女と、自分を廃墟のようだと言う男、そんな2人の出会いも色彩の中に溶けていく。その色は題名の「宵」「真珠」のようにぼんやりと柔らかく、明るく澄んでいるが網膜にやさしい低刺激性。基調色は、奇妙に明るい宵のような青。撮影・共同監督のクリストファー・ドイルが90年代に撮った極彩色のアジアとは色彩はまったく違うが、色で魅了するところは変わらない。
     その色と一緒に漂う、静かでやわらかな音楽を手掛けたのは、イギリスの2人組、ラング・ダート。浮遊感のあるアンビエントのような音が色と溶け合っていく。

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