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虐殺器官 (2015):映画短評

虐殺器官 (2015)

2017年2月3日公開 115分

虐殺器官
(C) Project Itoh / GENOCIDAL ORGAN
平沢 薫

大胆な脚色がいさぎよい

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 原作のどこを抽出して、どこを切り捨てるか。本作はその判断が、大胆で潔い。映画のストーリーは、原作の持つ世界情勢を巡る物語に焦点を絞って抽出された結果、今、原作刊行時にも増してリアルに迫ってくる。
 そしてもうひとつ、本作は、原作にある「言葉についての物語」という要素を映像化することを試みているのではないだろうか。登場人物たちはとにかく「言葉」を大量に放つ。主人公を含む兵士たちは外的操作によってある種の感情を感じることが出来なくなっているという設定も手伝って、自分が生物であるという感覚を人々が忘れた世界、言葉だけが繁殖していく世界の有り様を描こうとしているようにも見える。

この短評にはネタバレを含んでいます
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