画面に身を委ねると、長い船旅が始まる

2018年2月12日 平沢 薫 長江 愛の詩 ★★★★★ ★★★★★

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長江 愛の詩

 スクリーンに映し出されるものに身を委ねるだけで、どこまでも続くかのような長い船旅に出ることになる。アジア最長の大河を、海に注ぐ河口から山奥の水源まで、小さな船で遡っていく。その旅は、長大な距離を移動する旅であると同時に、壮大な歴史を遡る時間の旅にもなっている。船が途中で停泊するたびに、そこにはまるで異なる世界がある。主人公は土地ごとに同じ顔をした女性に出会うが、彼女は同じではない。そのうえ、メタファーは単純ではない。主人公には迷いがあること、彼が旅をしながら亡父の書いた詩集「長江図」を読むこと、この船旅にはある事情があること、それらが層をなして重なり、物語が大河の波のように交錯していく。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」「Movie Walker」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況:「ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー」@Netflix、前作「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス」の元ネタはシャーリー・ジャクソンの「たたり」だったが、今回はヘンリー・ジェイムズの「ねじの回転」。名作を根底に置いてはいるが、今回もアレンジぶりが物凄い。

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