ここでもウサギが穴へと誘う

2020年5月27日 平沢 薫 ドニー・ダーコ ★★★★★ ★★★★★

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ドニー・ダーコ

 主人公ドニーの前に出現するのがウサギなのは、これもまた一種の「不思議の国のアリス」だから。ウサギは穴へと導き、ドニーは鏡を通して見つめ、洪水も起こる。ただし、彼が彷徨うのはアリスが巡った言語遊戯の森ではなく、15歳の少年が抱く/恐怖/疑惑/憤怒/欲望/の迷路。そして、これらの感情は15歳固有のものではなく、その時期に敏感に感じられた後に慣れはするが、消え去るものではないことに気づかされる。細かな伏線による作劇術も見どころ。15歳の不安定で過敏な心理に80年代のUKポップがよく似合い、後の「13の理由」「ノット・オーケー」等の思春期ドラマでの同種の楽曲の多用には、本作の影響もありそうだ。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「日経エンタテインメント!」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」「Movie Walker」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況:「CALLS コール」@AppleTV+ 、電話の音声だけで構成されたドラマだが、製作総指揮が「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルバレス監督なので技あり。「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」(13)や「THE GUILTY/ギルティ」(18)が進化して突然変異に?

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