シネマトゥデイ

シネマトゥデイ

猿渡 由紀

猿渡 由紀

略歴: 東京の出版社にて、月刊女性誌の映画担当編集者を務めた後、渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスターのインタビュー、撮影現場レポート、ハリウッド業界コラムなどを、日本の雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿する映画ジャーナリスト。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

猿渡 由紀 さんの映画短評

全301件中1~5件を表示しています。 Next »
  • レベッカ
    後半の変更がさらに白々しくさせる
    ★★★★★

    38年に出版され、40年にヒッチコックが映画化したストーリーは抜群に面白い。それをリリー・ジェームズとアーミー・ハマーの美男美女でリメイクするとあれば、外さないはず。と思ったのだろうが、これが退屈なのである。緊張感を一生懸命作り出そうとする役者の演技がどうにも不自然で、衣装やセットがアップデートされているのに古く感じさせる。これは役者でなく監督のせい。主人公の女性を何もしないで待っているだけにしたくなかったのか、最後に探偵もどきの行為をさせるのも、白々しさをプラスしている。40年代版では彼が彼女を本当に愛しているというのがわかったが、そこも弱い。不必要だったリメイク作品だ。

  • 朝が来る
    深く、丁寧に語られる、優れたヒューマンドラマ
    ★★★★

    河瀬監督の映画の中でも、最も完成度の高い作品だと思う。生みの母と育ての母はもちろんのこと、ほかの登場人物もすべて深く掘り下げられている。ゆっくりと、焦らず、本題に至るまでの背景、たとえば不妊における夫側の苦しみや、中学生の恋の純粋さなどを丁寧に語ることで、より感情移入させ、深く引き込んでいく。時間が交錯する展開の仕方も、ミステリー感を高める上で効果的。時にドキュメンタリーを見ているかと錯覚させるリアル感、日本の自然の美しさ、光と影を有効に使うところなどは、いかにも河瀬監督らしい。国境を越えた、優れたヒューマンドラマだ。

  • シカゴ7裁判
    アーロン・ソーキン、監督として大きく成長
    ★★★★

    早口で畳みかけるような、役者にとって美味しい長いセリフは、ソーキンのトレードマーク。監督デビュー作「モリーズ・ゲーム」は、その“見せ場”のやりすぎで作り物っぽくなったが、今作ではそれがちょうど良い具合に生きている。前作より大規模で登場人物も多い作品を、焦点を失うことなく、感動的にまとめたのは見事。50年前の話を、「BLM」運動が起こり、トランプが「法と秩序」を叫んでは人々を抑圧しようとするこのタイミングで語ったのもすばらしい。司法のあり方を問うパワフルな傑作。余談だがエディ・レッドメインが演じるトム・ヘイデンはジェーン・フォンダの2番目の夫となる人である。

  • ザ・ハント
    政治的メッセージはあからさまだが不毛
    ★★★★★

    ホラーというジャンルに、さりげない社会性とユーモアを混ぜ込んだ「ゲット・アウト」は大成功例だったが、同じブラムハウスが送り出す今作は同じことを目指して失敗した。タランティーノ映画や「ハンガー・ゲーム」に影響を受けているかと思われる冒頭は、目を覆いたくなる残酷さ。そして政治的なメッセージはあからさまながら不毛だ。たしかにアメリカは今、極端に二分割されているものの、こんな身も蓋もない描写からは、会話も生まれない。ソーシャルメディアの害についても投げっぱなしという感じ。唯一良いのは、主演のベティ・ギルピン。「GLOW」でブレイクした彼女は、映画の主演女優として立派に通じると証明された。

  • ザ・グラッジ 死霊の棲む屋敷
    才能ある人たちが無駄に使われているのは見ていて辛い
    ★★★★★

    作られる意味のなかったリメイク映画は過去にもあるが、これもそのひとつ。呪われた人や家、恐怖現象など、どれも前に見たことがあるものばかり。音でびっくりしたり、ビジュアルに対して純粋に気持ち悪いと感じたりはしても、迫りくる怖さはない。そのせいで、たった1時間半の上映時間がやたらと長く感じる。この手の映画に完璧なリアリティは求めないものの、細かいところで不自然と思える部分もある。ラストも全然サプライズではない。残念なのは、デミアン・ビチル、ジャッキー・ウィーヴァー、ジョン・チョーなど、才能ある人たちが無駄遣いされていること。彼らにとっての恐怖体験は、何よりもそれだっただろう。

全301件中1~5件を表示しています。 Next »
[PR]
おすすめ特集
映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
楽天市場
スポンサード リンク