シネマトゥデイ

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猿渡 由紀

猿渡 由紀

略歴: 東京の出版社にて、月刊女性誌の映画担当編集者を務めた後、渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスターのインタビュー、撮影現場レポート、ハリウッド業界コラムなどを、日本の雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿する映画ジャーナリスト。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

猿渡 由紀 さんの映画短評

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  • 女と男の観覧車
    コニーアイランドのビジュアルと音楽がいいニュアンスをプラス
    ★★★★★

    1年に1本のペースで映画を作り続けるウディ・アレンは、アイデアには事欠かないものの、完成作は「良いものになったこともあるし、ならなかったこともある」と自分でも認めている。今作は、その真ん中あたりの存在か。決して彼の代表作にはならないが、最悪でもない。アラフォー女の勘違いを描くストーリーを引っ張っているのは、主演のケイト・ウィンスレット。いつもすばらしいウィンスレットは、ただイタイだけの女になりがちなこの役にも、きちんと奥行きを与えている。50年代のコニーアイランドを舞台にしたカラフルなビジュアルと音楽も、そうでなければ暗くなりすぎる話に、良い感じでファンタジーの要素をプラスする。

  • インクレディブル・ファミリー
    誰もが共感できる家族の語。同時上映の短編も最高
    ★★★★★

    1作目が公開されたのは、「アイアンマン」の4年前。引退させられたスーパーヒーローという設定は、それ自体が新鮮だった。今は飽きるほどスーパーヒーロー映画がある時代。そんな中に飛び込んできたわけだが、嬉しいことに、この14年ぶりの続編は、ほかと全然違う大傑作だった。テクノロジーの進化のおかげでアクションはもっと楽しく、ミッドセンチュリーモダンを意識したビジュアルデザインもかっこいい。だが、今作の最高の強みは、イクメンになろうとがんばるパパ、家庭を心配しながら仕事するママ、男の子のことで心を悩ませる娘など、誰もが共感できる家族の話の部分だ。同時上映の短編も最高で、合わせての5つ星。

  • スターリンの葬送狂騒曲
    「すごいものを見た」と思わせられる、強烈な風刺喜劇
    ★★★★★

    政界を舞台にした風刺コメディは、イヌアッチ監督がお得意とするところ。だが、エミー常連の「Veep」などと違い、これは史実にもとづいている。その意味で、これまで以上に大胆だ。権力争いに心を奪われ、国民、あるいは身近な仲間にまで平然と残虐な仕打ちをする官僚たちの行動は愚かの極みで、たしかに見方によってはコメディになりえる。その素材を、彼ならではのテンポの速い会話と、それらのセリフを絶妙なタイミングで言ってみせる芸達者な役者の力で料理してみせたのが、このドタバタ喜劇。思いきり笑い、唖然とし、最後は「すごいものを見た」と思わせられる、強烈な映画だ。

  • 万引き家族
    日本が世界に誇れる大傑作
    ★★★★★

    「誰も知らない」で母親に置き去りにされ社会の陰で生きる子供たちを描き、「そして父になる」で“本当の親子の絆とは”と問いかけた是枝裕和監督。その流れを受け継ぎつつ、フィルムメーカーとしてさらに成熟した彼が送り出したのが、この映画。日常的に万引きをする貧しい人々の話であることはタイトルからも明らかだが、今作が語ることはもっと広く、数多く、奥が深い。たとえば「生んだ母親と一緒にいるのが一番幸せなのか」など、今作が触れるのは国境を超えた事柄だ。今、世界で現実の人々が直面している問題を、センチメンタルになりすぎることなく、信ぴょう性たっぷりに投げかける、まさに世界に誇れる大傑作である。

  • ワンダー 君は太陽
    優しく、正直な目線から語られる良質な感動作
    ★★★★

    いかにもお涙ちょうだい、あるいは説教くさい映画になりそうな設定だが、温かいハートと、正直な視点のもとに語られるこの作品は、その安っぽいパターンにおさまっていない。人と異なる顔に生まれた少年とその両親の苦難に終始するのではなく、高校生の姉や少年のクラスメートの内面に触れることも、話に層を与えている。「見た目だけで判断するな」ということを教える、ぜひ若い人たちに見てほしい作品だが、この10歳の少年はあくまでメタファー。大人たちはきっと、ここからさらに多くのことを感じとるはずだ。非常に良質な感動作。

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