シネマトゥデイ

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猿渡 由紀

猿渡 由紀

略歴: 東京の出版社にて、月刊女性誌の映画担当編集者を務めた後、渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスターのインタビュー、撮影現場レポート、ハリウッド業界コラムなどを、日本の雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿する映画ジャーナリスト。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

猿渡 由紀 さんの映画短評

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  • ビール・ストリートの恋人たち
    傑作小説を、最高の形で映画化
    ★★★★

    ジェームズ・ボールドウィンによる原作小説を、これ以上に良い形で映画にできる人はいないだろう。バリー・ジェンキンスは、原作の文面を随所でそのままセリフとして残しつつ、「ムーンライト」でやってみせたのと同様、とても効果的な形で静けさと光を取り込み、登場人物の感情を観る者に染み込ませていく。警察による人種差別という事柄はスパイク・リーの「ブラック・クランツマン」(やはり傑作である)でも触れられたばかりだが、あの作品の強烈さとは対照的で、そこも興味深い。ジェンキンスほど恋する人を美しく描く映像作家はいないとも、あらためて確認させられた。

  • パッドマン 5億人の女性を救った男
    これぞ、男の中の男だ!
    ★★★★★

    すべてが妻への愛から始まったところが、まず素敵。いまだに男尊女卑がひどいインドにおいて、主人公は妻のために何でもしてあげる人。生理の辛さを知った時にも何とかしてあげたいと考えるが、生理用ナプキンは高すぎる。それで自分なりに開発を始めるのだが、最大の敵となるのは、皮肉にも女性。この問題に男が首を突っ込むのは、タブーなのだ。普通ならそこであきらめるのだろうが、自分の問題でもないのに、蔑まれつつもがんばり続けるのが彼。真の男とはこういう男のこと!DVなどの深刻な問題に触れつつも、ミュージカル的要素も入った、楽しく、ポジティブで感動的な映画になっている。すべての人に見てほしい一作。

  • ROMA/ローマ
    日陰の人に焦点を当てる、詩的で私的な大傑作
    ★★★★★

    主人公は住み込みのメイド。彼女はネイティブで、雇い主の家族はメキシコ人ながら肌の色が白い。70年代のメキシコシティを舞台だが、このような格差、「隠れた人々」は、もちろん今も存在する。そんな彼女の日常を、優しい眼差しで、急ぐことなく緩やかに見つめていくのが、この映画。途中、当時、メキシコシティを揺るがせた事件がパーソナルな視点で描写されていくのも興味深い。まさに、キュアロンでなければ作れない、詩的で私的な、いつまでも余韻が残る大傑作だ。映像の美しさにも圧巻される。登場する男たちがみんな酷いのだが、自分も男でありつつそれをやってみせたのもまたかっこいい。

  • クリード 炎の宿敵
    「ロッキー」を見ていない女子も心配無用
    ★★★★

    「クリード」がすばらしいのは、「ロッキー」をきちんと継承していながら、いかにも今の時代ならではのリアリティと新鮮さがあること。それは、黒人が主人公の物語を、若く優秀な黒人監督が撮ることから生まれている。1作目でも心に響いたアドニスとビアンカの恋は、今回、さらに感動的に。あのキュートなプロポーズシーンは、全女性を興奮させるはず。今回の敵は「ロッキー4」に出てきたドラゴとその息子だが、あの映画を見ていなくても入っていけるので心配無用。ドラゴの描かれ方自体も、30年前よりずっと複雑で共感できるようになっている。もちろんボクシングシーンも迫力満点。3作目が今から楽しみ!

  • 天才作家の妻 −40年目の真実−
    男のために払った犠牲に疑問をもつすべての女性たちへ
    ★★★★

    原題は「The Wife」。シンプルだが、見終わった今、これほどふさわしいタイトルはないと思う。家族にとって最も誇らしき日に触発される主人公ジョーンの報われぬ思い。本人が選んだ人生と言われればそうだが、背後には、女性作家が差別されていた時代背景や(もっと前の時代だが『メアリーの総て』もそこに触れる)、彼女自身の自尊心の低さがある。これほどまででなくても、男のために人生を犠牲にしてきたことに疑問を持っている女性は、とくに少し前の時代には多くいたことだろう。これは正しいのかと迷いつつも理想の妻であり続ける女性を絶妙に演じるグレン・クローズに大絶賛を送る。

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