シネマトゥデイ

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斉藤 博昭

斉藤 博昭

略歴: 1963年神奈川県藤沢市生まれ。高校時代は映画研究部に所属。1997年よりフリーランスのライターとして映画誌、女性誌、情報誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。得意ジャンルはアクション、ミュージカル。最も影響を受けているのはイギリス作品です。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。

近況: 6月にラミ・マレックをインタビューして以来、応援し続けてきた『ボヘミアン・ラプソディ』が日本でもまさかの特大ヒットとなって心から幸せを感じています。

サイト: https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohiroaki/

斉藤 博昭 さんの映画短評

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  • グリンチ
    山の上の孤独に、うっかり同情してしまう瞬間も…
    ★★★★★

    どんなに自分中心でワガママで、ひねくれ者でも、そして許せないほど嫌がらせをしても、このグリンチにどこか同情してしまうのは、『シザーハンズ』のエドワードや『美女と野獣』の野獣と同じ果てしない孤独感が漂っているからだろう。原作ではグリンチと村の住民の外見は似ていて、ジム・キャリー版でも同じ人間が演じている共通点はあったが、今回はまったく別種の外見。より隔絶感が強調された。

    徹底して予想どおりに進む物語は、お約束的な楽しさだが、異様にデカくなる盗んだプレゼントのビジュアルや、愛犬マックスのあまりの献身ぶりなど、不覚にも心をつかまえられる瞬間がチラホラ。クリスマスに最適な一本であるのは間違いない。

  • パッドマン 5億人の女性を救った男
    おかしいと思ったら、自分で動くことを教えてくれる
    ★★★★★

    主人公の言動も、映画の作りも、ひじょうに「誠実」。クライマックスのスピーチの場面に、その誠実さが凝縮されるので心が揺さぶられるのは間違いない。映画の長さや、挿入される歌とダンスといったインド映画の定則を守りつつ、インドはおろか世界の他国でも扱うのが難しい生理用品という題材を真正面から見据えた、作り手のチャレンジ精神に敬意を表したい。

    周囲から奇異な目で見られようと、おかしいと思ったこと、誤っていると感じることがあれば、とにかく自分で何とかしようとする。このテーマが最後まで貫かれる点も気持ちよい。ただ主人公もテーマも、あまりにもブレがなく、まっすぐで誠実すぎるので、逆に共感しづらい側面もある。

  • ROMA/ローマ
    日常の風景に神は宿る…。息をのむ映像詩
    ★★★★★

    円を描くように水が排水口に流れる。その冒頭映像が「流れゆく人生」を予感させるように、住み込みメイドの主人公=「個」の目線に、大事件を含めた外の世界を絡め、人はこの世になぜ生まれてきたのかも考えさせる、荘厳なテーマが浮き出してくる。
    キュアロン監督は盟友のエマニュエル・ルベツキではなく、自ら撮影監督も兼ね、よりミニマムでパーソナルな視点を追求。カメラのゆっくりと、わずかな動きが物語を語る部分もある。終盤のあるシーンなど、いったいどう撮ったのかわからない危うさで、想定外の衝撃を受けた。モノクロなのに色彩が見える奇跡もあり、Netflix作品だがとにかく没入できる大画面で観ることを強くオススメする。

  • 彼が愛したケーキ職人
    あなたが過ごした場所をこの目で確かめたい。ただ、それだけ
    ★★★★★

    愛した人を亡くしたが、どうしてもその人をもう一度「感じたい」。その思いだけに突き動かされ、ベルリンからエルサレムへ向かったケーキ職人は、しかし強い思いを表情には一切出さず、愛した相手の触れていたものに近づく。そこには常人では決して感じられない相手の「体温」が残っていたのだろう。究極の愛の姿を描く今作が見事なのは、直接的に表現しない気持ちや、シーンとシーンの間で省略される描写、じつは事実を察知していたと思われる行動など、観る者の想像に委ねる部分の効果が異様に高いところ。目では見えない場所に、真実は宿るという作品のテーマとも重なる。想像力のさらに先を試すような、近年稀にみるエンディングに心震えた。

  • 来る
    意外なところが怖かった
    ★★★★★

    妙に心地よい音楽と、テンポの良すぎる会話や編集が生み出す不思議なムード。特定の人物に感情移入することを遮断する作り、などなど中島監督らしい世界が怒涛のごとく展開。衝撃描写もこのムードの流れで出てくるとそんなに怖くなく、ホラーが苦手な人にも安全かと。

    前半、メインキャストの演技に違和感があるが、それが親密な者同士の意思のズレや、人間の隠れた邪悪さの伏線だったりして、その部分でゾクゾクさせられた。

    「あれが来る」「あれが」とやたらセリフに出るが、実際に「あれ」と思わせぶりに連呼されるのは不自然で、やがて「あれ」の真実はどうでもよくなる。想定外な部分が面白いところが、これまた中島監督作品らしい。

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