シネマトゥデイ

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斉藤 博昭

斉藤 博昭

略歴: 1963年神奈川県藤沢市生まれ。高校時代は映画研究部に所属。1997年よりフリーランスのライターとして映画誌、女性誌、情報誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。得意ジャンルはアクション、ミュージカル。最も影響を受けているのはイギリス作品です。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。

近況: 来日したギレルモ・デル・トロに2日連続でインタビュー。お菓子を食べ続けるギレルモの腹回りが気になって気になって…

サイト: https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohiroaki/

斉藤 博昭 さんの映画短評

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  • タクシー運転手 ~約束は海を越えて~
    不条理に対抗する一般市民の勇気がストレートに胸を揺さぶる
    ★★★★

    自国の軍隊に、無辜の一般市民が殺された光州事件。その不条理さを再現する目的は、ソウルのタクシー運転手とドイツ人ジャーナリストという「外部」の視点にしたことで見事に達成された。作品を盛り上げるためのやや過剰な展開もあるが、その過剰さが気にならないほど、われわれ観客も事件の渦に巻き込まれる作りだ。

    報酬目当てだった運転手が、人間としての本能や使命感にめざめる。その過程をここまで劇的に表現できるのは、韓国でもソン・ガンホ以外にいないだろう。それほどの名演技の瞬間が何度か訪れる。光州の新聞記者が真実を伝えられない苦しさも挿入され、時代や状況は違うが『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』と重なる。

  • ラッカは静かに虐殺されている
    真実を伝えること。それが生きること
    ★★★★

    米軍などによる新たな攻撃で、深刻を極めるシリア情勢。ある意味でタイムリーな作品だが、フォーカスするのはシリアの勇士たちのジャーナリズム精神である。ISが制圧したラッカでの映像には何度も目を覆いたくなるが、全体的には冷静な視点が貫かれ、この監督の前作『カルテル・ランド』のような、作品としての激しさは抑えられている。

    決死の思いでラッカに残って現実を伝える覚悟。国外で拠点を作ってもつねに命を狙われる恐怖。それらがタイトルに重ねるように、静謐に、じわじわと迫ってくる。なぜこのような運命に生まれたのかと嘆きつつ、使命感を受け止め、仲間の死に思わず全身が震え出す彼ら。その瞬間、こちらの背筋も凍り付く。

  • 孤狼の血
    東映の血は、新たなエキスを注入して受け継がれる
    ★★★★

    懐かしの東映のロゴから、一気に『仁義なき戦い』の空気へと回帰し、冒頭の養豚場でのリンチの壮絶を極める演出で早くもギアはトップに入る。白石和彌監督は『日本で一番悪い奴ら』でも、沸点を超える男たちの生きざまを見せ切ったように、やはり東映の水が合う。観終わった瞬間、壮絶さはカタルシスに昇華していた。

    一見、ミスキャストのように浮いている松坂桃李だが、その浮いている感じがストーリーと合致していく過程に身震いする。作品における彼の立ち位置と、役者としての個性が、『仁義なき』の世界より、『インファナル・アフェア』のムードに近づけた感も。むしろ他に明らかにミスキャストがいるが、作品にはカスリ傷程度かと。

  • パシフィック・リム:アップライジング
    監督が狙ったのはキングギドラかもしれないが…
    ★★★★★

    夜から太陽光の下へ。恐怖から爽快へ……。デル・トロが創造したダークな雰囲気を、デナイト監督は意図的に変革し、戦いの場をより見やすく演出。唐突に笑わせるシーンをぶっ込むのも、監督の個性の発揮だ。KAIJUに関しては、監督が好きだというキングギドラを思わせる「合体感」が表現されるが、前半の短い回想に現れる王道型が、純粋に怪獣マニアの心をくすぐったりして、そこはちょっと残念。その意味で今回は完全にイェーガー=ロボットへの愛が炸裂し、イェーガーが人間を救う瞬間などに、カタルシスが喚起される。ロボット愛はガンダムでも表現されるが、この登場のしかたはやや謎。全体では敢闘賞。

  • クソ野郎と美しき世界
    勢いとチャレンジ精神と、やっつけ感と物足りなさと…
    ★★★★★

    企画から完成が短期間だったため、随所で作品を撮る「勢い」が伝わる。ただし、全体的に「やっつけ感」が際立つのも事実。明らかに笑いをとろうとする会話や演出がうまく機能せず、ややサムくなるケースが多発し、稲垣パートでの「ヒロインの魅力」や香取パートの「(ファンなら知ってるが)彼にとっての歌の必要性」という、設定における重要部分の描き方不足など、構成がチャレンジングなだけに、もう少し綿密に作れば傑作になった可能性も。

    本人と同じ役名や、新たな門出にエールを送るまとめ方など、今では絶滅しつつある「アイドル映画」の定型も踏む今作。その意味で3人のファンには★★★★、それほどでもない人には★あたりか。

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