シネマトゥデイ

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斉藤 博昭

斉藤 博昭

略歴: 1963年神奈川県藤沢市生まれ。高校時代は映画研究部に所属。1997年よりフリーランスのライターとして映画誌、女性誌、情報誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。得意ジャンルはアクション、ミュージカル。最も影響を受けているのはイギリス作品です。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。

近況: 久しぶりに日本映画の撮影現場に通っている、2019年の年明け。いろいろな意味で物議を呼びそうな作品でもあります。

サイト: https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohiroaki/

斉藤 博昭 さんの映画短評

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  • ビール・ストリートの恋人たち
    まどろむような心地よさと、シリアスなテーマの融合
    ★★★★★

    『ムーンライト』では、青・ピンク・紫の「光」で妖しい世界に誘ったジェンキンス監督は、この新作で、黄・ブラウン・ゴールド・グリーンの「アイテム」を効果的に使用。舞台は1970年代のNYハーレムながら、あえてそこに違和感のあるカラーを配置し、人物の心情を代弁させる。高度な演出! さらに会話に合わせてゆったりめのパン(カメラの水平移動)や顔のアップを多用し、そこに夢見心地な美しい音楽を重ね、進行する悲痛な事件との強いコントラストを創出するあたりも『ムーンライト』からのアップグレード。豪華な調度品を眺めながら、口当たりの良いお酒にじわじわ酔う贅沢な味わいを受け入れられるかどうか。そこが賛否の分かれ目。

  • アリータ:バトル・エンジェル
    キャメロン→ロドリゲスへの移行も納得のエンタメ的楽しさ
    ★★★★★

    冒頭、間髪を入れず物語が動き出し、その後もテンポは快調。全体の流れは完全にエンタメなムードが意識され、アリータの自己発見・再生やラブストーリー、他のキャラクターとの駆け引きなど、すべてがスムーズで見やすい。ジェームズ・キャメロンは「自分が監督したら、もっとダークでシリアスになった」と語ったが、そちらのバージョンも観てみたかった。

    ここ数年、3Dを売りにする作品が減少傾向にあるなか、今作の空間設計やアクション場面は久々に3Dの醍醐味を満喫させる。このあたりも『スパイキッズ』で早い時期に本格3Dでケレン味を発揮したロドリゲスらしい。モーターボールのシーンの臨場感とスピードだけでも体験の価値大。

  • 愛がなんだ
    愛の地獄をみた
    ★★★★★

    恋愛に限らず、二人以上の人間が関係を作れば、思いが行き違うのは必然。主従関係も生まれる。小説ならともかく、映像となって一歩間違えれば、ストーカー的おぞましい駆け引きになる危険もあった物語。しかし、演じる役者たちの恐ろしいほど的確な演技で、日常の風景として降りて来た。多くの人が経験したであろう「愛されない苦しみ」が、さり気ない会話によって、ヒリヒリと胸の痛みを伴って襲ってくる感覚。

    多用される長回しは、つねに関係性の波風を鮮やかに伝え、結末にたどり着いた後も、「愛がなんだ」と言い放ちながら、ズブズブと愛の地獄沼にハマっていく人間の本能にめまいをおぼえる。ロマンチックとは無縁の愛の傑作。

  • 翔んで埼玉
    魔夜ワールド実写化で最適キャストが必死の持ちこたえ
    ★★★★★

    魔夜峰央の世界を生の人間が演じるリスクは、GACKT、京本政樹という他に差し替え不能な最適キャストに、二階堂、伊勢谷も必死に食らいついてる感じで、なんとか持ちこたえられている。独りよがりで暴走しない演技は好感。魔夜ワールド独特のBLテイストも、男女キャストになって、別ベクトルへ導かれる妙な感覚を形成する。

    漫画の世界では痛快に感じる小ネタは実写だとドラマの中で浮きやすいし、自虐的ローカルネタの応酬も90%くらいはサムいギャグなのだが、残りの10%くらいで不覚にも爆笑してしまうので、なんとなく温かい目で観続けられてしまう。群衆場面に明らかに東京マラソンの映像を混ぜてたり、全体の勢いは楽しい。

  • 女王陛下のお気に入り
    女だから、男だからと決めたくないが女同士ゆえの濃い内容
    ★★★★★

    嫉妬や確執、騙し合い、権力、上昇志向など、人間のドス黒い、しかし本能的な欲求を、王宮ドラマに巧みに絡ませる。高貴さと低俗さの境界があやふやになっていく快感! 女王役オリヴィア・コールマンの怪演も、その快感の背中を押す。女同士だからこそ、おぞましいほどの悪趣味感も素直に楽しめるのか。これが男女だったらよくある話だし、男同士だったら逆に生ぬるくなる……など想像力も掻き立てられた。

    歴史を振り返っても、そして現在の世界を眺めても、国のリーダーの地位に立つ者がそれほど有能でなくても、何とかなってしまうのは、今作の女王を観ているとつくづく納得。監督の現代社会へのシニカルな視線が込められているのだろう。

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