シネマトゥデイ

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斉藤 博昭

斉藤 博昭

略歴: 1963年神奈川県藤沢市生まれ。高校時代は映画研究部に所属。1997年よりフリーランスのライターとして映画誌、女性誌、情報誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。得意ジャンルはアクション、ミュージカル。最も影響を受けているのはイギリス作品です。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。

近況: トロント国際映画祭で観た作品では、観客賞の『グリーンブック』に心底感動。イザベル・ユペールが笑っちゃうほどの衝撃演技を見せる『グレタ』はトラウマ的怪作でした。

サイト: https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohiroaki/

斉藤 博昭 さんの映画短評

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    映画も日常生活も、PC内だけで成立する怖さ
    ★★★★

    すべてPCモニター内で展開されるこの映画。よくよく考えると、買物や銀行振込、日々の娯楽やSNSを中心にした他者とのコミュニケーション…と、われわれの日常生活の大半がネットで対応できちゃうわけで、モニター内で映画が完結するのは皮肉ながら自然なこと。その現実にちょっぴり戦慄させるのも、若き天才監督の狙いか。

    パスワードを突き止めて娘のSNSにアクセスするなど、父親のスピーディなPC操作も映画のテンポに貢献し、観ていて一瞬もダレない。何より、娘の失踪事件の闇に入り込むストーリーがよく練られており、「スタイル」だけに頼っていないところが好感だ。妙に怪しげな画像など、後に生きてくる伏線もわかりやすい。

  • デス・ウィッシュ
    これこそ最盛期を過ぎたアクションスターの生きる道
    ★★★★

    『RED/レッド』や『ダイ・ハード』新作、『シン・シティ~』など近年も「それなりに」アクションスターの威厳を保ったブルース・ウィリスだが、過去の栄光にしがみつく痛々しさも伴ったのは事実。しかし今作の主人公は、天才外科医であり、もともと戦闘能力は備わっていない。メスを銃に持ち替える、ぎこちなさや戸惑いが現時点でのウィリスの肉体にフィット。観ていて無理矢理感がないのが好印象だ。最初は切実な復讐心が、やがて獲物を狙うハンターのように残虐な本能が頭をもたげ、仕事人の目に変貌するウィリスは、危険なオーラ全開! 短い出番ながら、銃砲店の女性店員のセールストーク。そのモラルを揺さぶる破壊力も脳裏にやきつく。

  • ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ
    問題も差別も寛容も、あらゆる意味で「アメリカの縮図」
    ★★★★

    ワイズマンのドキュメンタリーはその長尺から観客に体力を要求するが、題材に興味がある人が観れば時間を忘れさせる。その意味で今作はNYのある「地域」へのフォーカスなので、やや冗長に感じ、忍耐力を要求される人もいるだろう。しかしこれこそがワイズマン映画の真骨頂。一見、無駄だと感じる時間が、その場所の「空気感」を熟成し、街の住民の気持ちを共有している自分に気づく。人種やLGBTなど、ここまで多様性が凝縮された地域はアメリカでも特別ながら、逆に最もアメリカらしいと言える。撮影が行われたのは2014年。トランプ政権誕生前であり、現在では状況も変化しているはずなので、日本でももっと早く公開されるべきだった。

  • ヴェノム
    「最悪」というより、どちらかと言えば「最高」じゃないか!?
    ★★★★

    人間にとって最悪な敵キャラである、寄生する前の生命体は、その質感や動きのビジュアルが見事なまでに不気味。寄生されて突然、超人パワーを発揮し、邪悪な心に支配されていく主人公の困惑ぶりも、トム・ハーディが味わいのある演技でみせ、納得である。そしてこの一心同体によって、やがて最悪なヴェノムに観客の心まで同化させる方向にもっていく。この流れがあまりに自然で、悪がヒーローへと変貌する怪しい快感がもたらされるのだ。10年前の日本の女子高生のようなミニスカートで奮闘するM・ウィリアムズも微笑ましい限り。

    ただし、エンドロールの異様な「遅さ」と、その後の長すぎるオマケ映像で作品自体の満足感が遠のくのが残念。

  • 教誨師(きょうかいし)
    最後の主演作に、これほどふさわしい役はないだろう
    ★★★★★

    相手にするのは6人の死刑囚。本心が見えてこない彼らに、それぞれ的確な対応を試みて、心を開かせようとする。おそらく大杉漣さんが、役者人生で魑魅魍魎な相手との共演によって鍛えてきたアプローチが、この教誨師役の演技にそのまま引用されているのでは? そう考えながら観ると、おのずと目頭が熱くなる。

    死刑囚たちの個性も映画を盛り上げるうえで効果的で、漣さんと光石研のやりとりは親しさゆえの空気感にほっこりするし、烏丸せつこは、かつてドラマで演じた尼崎連続殺人の角田美代子を彷彿させる狂気的名演。

    そしてラストカットは、死刑の是非を深層心理に訴えかける。その意味で、大杉漣主演作を超えて珠玉の一本。

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