なかざわひでゆき

なかざわひでゆき

略歴: 日本大学芸術学部映画学科卒、同学部大学院卒。映画・海外ドラマのライターとしてキャリア30年。TVガイド誌やオンライン情報サイトなどを中心に幅広く執筆活動中。雑誌「スカパー!TVガイドBS+CS」(東京ニュース通信社刊)で15年続くコラム“映画女優LOVE”をはじめ各テレビガイド誌で特集記事やコラムを執筆。著書は「ホラー映画クロニクル」(扶桑社刊)、「アメリカンTVドラマ50年」(共同通信社刊)など。海外取材経験も多数。旧ソ連のモスクワ育ち。

近況: 最近は今さらながらK-POPのボーイズバンドにドハマり中。一番の御贔屓はMCNDですが、NCTやTREASUREも大好き。もちろんBLACK PINKとかITZYとかEVERGLOWとかガールズにも夢中です。

サイト: http://eiga3mai.exblog.jp/

なかざわひでゆき さんの映画短評

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  • クリード 過去の逆襲
    人生の明暗を分けた男たちによる宿命の対決
    ★★★★★

     選手生活にピリオドを打ったボクシング王者クリードの前に、刑務所から出たばかりの幼馴染デイムが立ちはだかる。共に孤児院の劣悪な環境で育ち、どちらもボクシングの才能に恵まれながら、しかし全く対照的な人生を歩んだ男たちの宿命的な対決。世の中には個人の力だけではどうしようもないことがあり、人生は必ずしも平等ではない。幸運な出会いに恵まれたクリード、貧乏くじを引かされたデイム。おのずと前者は後者に負い目を抱え、後者は前者に恨みを募らせる。物語の着眼点は良い。それだけに、技巧が鼻につくマイケル・B・ジョーダンの演出が、人生の真理を描く物語からリアリズムを削いでしまったことは惜しまれる。

  • aftersun/アフターサン
    20年の時を超えて共鳴する父親と娘の想い
    ★★★★

     大人への階段を上り始めた11歳の少女ソフィと、そんな娘を心配しつつも温かく見守る31歳の父親ケイラムの、トルコの避暑地で過ごしたひと夏の出来事。やがて、離婚して普段は娘と離れて暮らすケイラムが様々な問題をひとりで抱えているらしいこと、さらにこれが20年後のソフィの回想であることを観客は気付かされる。父親と同じ年齢になり自分も家族を持った娘が、あの頃の父親の喜びや悲しみや苦しみに想いを馳せる物語。監督自身の経験を基にした非常にパーソナルな作品だが、あえて詳細な事情を説明せず観客の想像に多くを委ねることで、時を超えて共鳴し合う普遍的な親子の絆が浮かび上がる。地味ながらも新鮮な味わいのある作品。

  • 雄獅少年/ライオン少年
    圧倒的にリアルな映像美と夢物語に終わらないストーリーが感動的
    ★★★★★

     もはや実写を完全に凌駕したのではないかと思えるほど、圧倒的に写実的かつ詩的で幻想的な映像の美しさに目を奪われる中国産3Dアニメーション。改めて中国アニメの進化には驚かされるが、現代中国の格差社会を背景にしたストーリーがまた素晴らしい。貧しさゆえバカにされ虐められ続け、負け犬根性の染みついてしまった田舎の少年が、伝統の獅子舞に打ち込むことで師匠や仲間との固い絆を育み、やがて日々の過酷な試練にも屈することのない強靭な魂を覚醒させていく。真面目に生きる平凡な人々にもチャンスが与えられる社会を願う作品。夢物語のような奇跡に頼らない現実的なハッピーエンドもまた味わい深い。

  • それでも私は生きていく
    喜びも悲しみも両方ある、それが人生というもの
    ★★★★

     夫と死別して幼い娘を育てるシングルマザーが、病気で記憶力と視力を失いつつある父親の世話と、突然訪れた新しい恋愛との狭間で心をかき乱されていく。ドキュメンタリー・タッチで淡々と映し出されるヒロインの日常生活。そこから静かに浮かび上がるのは、大切な家族が苦しんでいる時に、果たして自分が幸せになっていいものだろうか?という問いだ。離婚した両親にそれぞれ別のパートナーがいて、しかしそれでも元夫婦の関係も親子の関係も形を変えて当たり前に続くという、フランスならではの自由な家族観も非常に興味深い。どこにでもいるごく普通の女性を演じるレア・セドゥがまた非常に魅力的だ。

  • 65/シックスティ・ファイブ
    異星人が太古の地球で恐竜と遭遇する『恐竜の惑星』逆バージョン
    ★★★★★

     まるで近未来の地球みたいな、高度な文明を持つ惑星ソマリス。娘の手術代を稼ぐため宇宙探査の旅へ出た主人公が、宇宙船の墜落事故で未知の惑星に不時着したところ、そこは恐竜が闊歩する白亜紀の地球だった…!という、まるで『恐竜の惑星』の逆バージョンみたいなお話。次々と襲い来る恐竜から生存者の少女を守りつつ、地球へ隕石群が衝突するまでに行方不明の脱出船を見つけ出すというプロットは極めてシンプル。正直なところ記憶に残らないタイプの娯楽映画だが、とりあえずVFXのクオリティはとても高いと思うし、未知の原始世界に取り残された恐怖とスリルも存分に味わえる。ほぼ出ずっぱりで駆け回るアダム・ドライヴァーも好演。

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