シネマトゥデイ

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私的映画宣言 サード・シーズン8月


2008年の夏休み映画はアニメ原作のものから、話題の海外ドラマやアメコミ作品まで、充実のラインナップ! シネマトゥデイでは、私的映画宣言<サード・シーズン>のライターに、今年の私的おすすめ夏休み映画を紹介してもらいました。


山縣みどり

今夏、まず観るべきは『ダークナイト』。モラルや正義、絶対悪の存在に言及した物語はアメコミ映画の枠を大きく超え、複雑な心理ドラマとなっている。芸達者なロバート・ダウニー・Jrの酒脱(しゅだつ)な演技で見せる漫画的な『アイアンマン』と好対照だ。『アクロス・ザ・ユニバース』は、デート向き。ビートルズの名曲を巧みに配置し、時代がうねった60年代のグルーブを再現したジュリー・テイモア監督の手腕にうなる。若手スターの真摯(しんし)な演技と歌唱力も好印象。ブームが続くドキュメンタリーでは『敵こそ、我が友 ~戦犯クラウス・バルビーの3つの人生~』に魅了された。“リヨンの虐殺者”と呼ばれたナチスの高官が各国の思惑を利用し、サバイバルした経緯を丹念に追った監督の執念に拍手! 予想以上に面白かったのが『デトロイト・メタル・シティ』。漫画キャラに成り切った松ケンの、モテ道から逸脱した魂の演技に爆笑。

ダークナイト
『ダークナイト』8月9日公開
デトロイト・メタル・シティ
『デトロイト・メタル・シティ』8月23日公開
TM&(C) DC Comics (C) 2008 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. | (C) 2008「デトロイト・メタル・シティ」製作委員会

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中山治美

原油高騰で、今夏は近場で過ごすという人も多いはず。ならば涼しい映画館で旅気分を味わいたい。ゴージャス世界旅行を満喫するなら『それぞれのシネマ ~カンヌ国際映画祭60回記念製作映画~』(※8月 東京、北海道、大阪で公開中、10月愛知で上映、7月4日DVD発売)。昨年、カンヌ国際映画祭60回を記念して、北野武監督ら世界の巨匠35人が「映画館」をテーマに3分間の短編を製作したオムニバス。権利の問題で今回はコーエン兄弟作などがないのはちと寂しいが、代わりにデヴィッド・リンチ監督が仲間入り。筆者が一番好きなのはブラジルのウォルター・サレス監督作。傑作なのよ、コレが。『TOKYO!』は外国監督から見た東京が舞台。おなじみの風景が、彼らが撮るとまた違って見えるから不思議。ミシェル・ゴンドリー監督のビルのすき間から撮った銀座が新鮮だ。『イントゥ・ザ・ワイルド』は、すべてを捨ててアメリカを旅した青年の記録。冒険もいいけど、無謀はダメよ! という教訓も胸に刻みたい。

TOKYO!
『TOKYO!』8月16日公開
イントゥ・ザ・ワイルド
『イントゥ・ザ・ワイルド』9月6日公開
(C) MMVII by RIVER ROAD ENTERTAINMENT, LLC and PARAMOUNT VANTAGE, A Division of PARAMOUNT PICTURES CORPORATION. All Rights Reserved.

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斉藤博昭

「納涼」目的もある夏映画として、今年最も背筋ヒヤヒヤなのがヒース・レジャーの演技かも。彼のジョーカー以外でも『ダークナイト』は約2時間半、濃密な映画的ダイナミズムに満ちていてイチオシだ。オリンピックや甲子園の興奮を持続させる大穴作品が『ひゃくはち』。男子のカッコ悪さがカッコ良さに転化するラストに泣ける! スポーツものなら『カンフー・ダンク!』もスポ根とCGのさじ加減が絶妙で素直に楽しめた。それにしてもヒーロー映画が乱立したこの夏、あえてオリジナルキャラに挑んだ『ハンコック』を応援したい。後半の展開は確かにとっちらかっているが、ウィル・スミスのおとぼけ、シャーリーズ・セロンの美しさと、スターの魅力が満喫できるのも「映画」らしくていいのでは? 小作品では『LOOK』を。フィクションとはいえ、監視カメラの映像で見せる衝撃エピソードの数々にゾクッ!

ひゃくはち
『ひゃくはち』8月9日公開
ハンコック
『ハンコック』8月30日公開
(C) 2008「ひゃくはち」製作委員会

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小林真里

お薦め映画を駆け足でご紹介! まず『ベガスの恋に勝つルール』は、ウィットに富んだユニークな脚本が秀逸な、恋愛の本質を突いた見事なラブコメディー。劇中使用曲のセンスも抜群! フィギュアスケートに続きバスケを題材にしたウィル・フェレル最新作『俺たちダンクシューター』は、スポ根映画の醍醐味(だいごみ)と笑いに満ちた快作! スタイリッシュで革新的な映像てんこ盛りのバカアクション『ウォンテッド』は、アドレナリン分泌量では今年一番! M・ナイト・シャマラン監督最新作『ハプニング』は、現実味を帯びた衝撃的なディザスター・ゴア・ムービー! 『この自由な世界で』は、イギリスが抱える不法移民という問題への辛辣な視線が向けられた、ケン・ローチ監督らしいニヒルなドラマ。最後に『グローバル・メタル』。ヘヴィメタルというフィルターを通し、中国やインド、イランなど世界が抱える社会問題を浮き彫りにした、ドキュメンタリー映画の秀作だ!

ベガスの恋に勝つルール
『ベガスの恋に勝つルール』8月16日公開
グローバル・メタル
『グローバル・メタル』8月23日公開
(C) 2008 Twentieth Century Fox Film Corporation. | (C) SEVIILLE PICTURES PRESENTS GLOBAL BANGERS PRODUCTIONS Inc.

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相馬学

何はともあれ、全米でバカ当たりしているバットマン最新作『ダークナイト』を見逃すわけにはいかない。理由なき犯罪が横行する現代的な悪と善の対立構造を見せつけ、今後のアメコミ映画の内容的な底上げを確実に強いる力作。マーベルもウカウカしてられないぞ。北京オリンピックに時期を併せた中国的娯楽編3作も夏休みに観るにはうってつけ。『ドラゴン・キングダム』のあふれるカンフー映画愛に涙がチョチョ切れ、『カンフー・パンダ』のダメキャラの奮闘にグッときて、『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』の突き抜けたアクションは何も考えずに楽しめた。スポ根劇ではコメディー『俺たちダンクシューター』が最高。バカっぷりだけでなく、負け犬たちの奮起を伝える熱血具合も妙味。オリンピックのシリアスな空気に飽きたら、ぜひこちらもチェックを。

ドラゴン・キングダム
『ドラゴン・キングダム』7月26日公開
俺たちダンクシューター
『俺たちダンクシューター』8月9日公開
(C) 2008 J&J Project LLC. | TM and (C) MMVIII NEW LINE PRODUCTIONS, INC ALL RIGHTS RESERVED.

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高山亜紀

この夏一番のお気に入りは『アクロス・ザ・ユニバース』。傑作だが、ビートルズの曲の知識がなかったら、こんなに楽しめなかったはず。同様に『セックス・アンド・ザ・シティ』はドラマを見ていたからこそ、大いに感動できた。ドラマを知らない人が観てもそこそこ楽しめるらしいが、申し訳ないけどその楽しみ方は勘違い。ヒロインたちのこれまでの恋、人生を見守り、一緒に年を重ねた、ある意味5人目の友だちであるドラマファンだからこそ満喫できる作品なのだ。よく友だちの結婚式で感極まって泣いている女性がいるが、この映画の楽しみ方はかなりそれに近い。でも、ドラマを見てない人にはドン引きでしょうな。一方、『ダークナイト』は前作観てなくても、バットマンファンじゃなくてもOK。バットマンをタイトルから外した自信もすごいが、内容はそれ以上だ。

アクロス・ザ・ユニバース
『アクロス・ザ・ユニバース』8月9日公開
セックス・アンド・ザ・シティ
『セックス・アンド・ザ・シティ』8月23日公開
(C) 2007 Revolution Studios Distribution Company, LLC. All Rights Reserved. | (C) MMVIII New Line Productions, Inc. Sex and the City(tm) is a trademark of Home Box Office, Inc. All Rights Reserved.

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鴇田崇

誰が何と言おうと『ダークナイト』! 今年の夏映画、いや2008年度はコレ1本で必要十分なほどの満足感を味わえる、非の打ちどころがない傑作だ! そのほかのアメコミ映画も観るならば、『アイアンマン』、『インクレディブル・ハルク』の順番で観るのがオススメ。上映期間の関係で難しいかもしれないけれど、“後の展開”のことでアレやコレや……。また、アンジェリーナ・ジョリーの『ウォンテッド』、『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』など今夏は元気な男の子にとっては大豊作だけれど、何より見逃してはいけないのが感動の涙でスクリーンがくもってしまう『ドラゴン・キングダム』と、ジェット・リーつながりで予想外のヒットが期待される『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』だ! 監督のロブ・コーエンには聞きたいことが山ほどあったんだがなー。

アイアンマン
『アイアンマン』9月27日公開

スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ
『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』8月23日公開
(C) 2008 MVLFFLLC. TM & (C) 2008 Marvel Entertainment. All Rights Reserved. | (C) Lucasfilm Ltd. & TM. All rights reserved.

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前田かおり

この夏は『ダークナイト』が忘れられない一作になりそうだが、そのほかではまず『インクレディブル・ハルク』。特に、緑の巨人になったら彼女と愛し合えないと心拍数を気にするエドワード・ノートンの切なる悩みや、ティム・ロスふんする特殊隊員がいい歳して、まだ強くなりたい願望を持っていたりと、男って大変……と随所に感じさせる内容に大ウケ。『アクロス・ザ・ユニバース』はありがちな青春ものだけど、ビートルズの名曲でつづると妙味。日本映画は『闇の子供たち』。救われない内容で難儀しそうな作なのに手掛ける志の高さに感動。『きみの友だち』は心の琴線にじんわりと触れてくる作品で不覚にも感涙。珍品はシンガポール映画の『881 歌え!パパイヤ』。ユル~くてベタな笑いに小林幸子ばりのド派手衣装で歌うネェーさんたちにクラクラするが、中身はお盆向き。そして9月はオヤジパワーさく裂の『アイアンマン』、セクシー男テレンス・ハワードもよろしくってよ。

インクレディブル・ハルク
『インクレディブル・ハルク』8月1日公開
881 歌え!パパイヤ
『881 歌え!パパイヤ』8月9日公開
(C) 2008 MVLFFLLC. TM & (C) 2008 Marvel Entertainment. All Rights Reserved. | (C) Courtesy of Zhao Wei Films

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今祥枝

イチオシは大好きなジャン・ベッケル監督の『画家と庭師とカンパーニュ』。何よりカンパーニュ地方の美しい景色や、のどかな田舎暮らしの描写が夏休みにぴったり。何が起こるでもない日常を大切に生きる庭師のように生きてみたいものだと叶わぬ夢。『赤い風船』&『白い馬』の詩的かつシュールな映像世界には、思いがけずガツンときた。社会派の『この自由な世界で』と『12人の怒れる男』はどちらも見応えアリ。ただし後者は、役者としてニキータ・ミハルコフ先生が出張っている点にははなはだ疑問だ。賛否両論の『イントゥ・ザ・ワイルド』は、愚かな若者に素直に涙。いかにもショーン・ペン監督らしい作品だと思う。大作系では、断然『ダークナイト』。もう一度映画館で観たい! 振り返ってみると、夏なのにホラーのお気に入りがないのは少々残念。

画家と庭師とカンパーニュ
『画家と庭師とカンパーニュ』8月2日公開
赤い風船
『赤い風船』7月26日公開
(C) ICE 3 - KJB PRODUCTION - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINEMA - RHONE - ALPES CINEMA - 2006 / WISEPOLICY | (C) Copyright Films Montsouris 1956

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