シネマトゥデイ

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今月の5つ星

名優フィリップ・シーモア・ホフマンの遺作『誰よりも狙われた男』、デンゼル・ワシントンが相手を19秒で瞬殺する元CIA工作員にふんするアクション『イコライザー』、デンマークの鬼才ラース・フォン・トリアーが放つ新たな問題作『ニンフォマニアック』2部作など、必見の秋映画がズラリ!

『FRANK -フランク-』

『FRANK -フランク-』
©2013 EP Frank Limited, Channel Four Television Corporation and the British Film Institute

ドーナル・グリーソンが主演俳優に劣らぬ名演で対抗
マイケル・ファスベンダーふんする巨大な張りぼてのかぶり物を決して脱がないミュージシャン・フランクと彼のインディーバンド、そして新加入の青年ジョン(ドーナル・グリーソン)が織り成す不思議なコメディー。かぶり物の顔に感情を持たせるマイケルの演技には目を見張るが、天才フランクに憧れる控えめな青年が、次第にフランクを操り、世間受けする曲を歌うよう強要していくさまを体現したドーナルも一歩も引けを取らない。顔つきが怖くなりすぎてちょっとビビるほど。内気な21歳の若者が、人生の価値を知る3人の子供の父親になるまでを演じた『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』しかり、変化を表現するのがうまい。マイケルの体を張ったシュールなコメディアンぶりに笑わされる前半から一転、どうしても理解できないこともあるということ、物語の主人公は必ずしも自分ではないことを描く後半はほろ苦い余韻を残す。(編集部・市川遥)

映画『FRANK -フランク-』は、10月4日より公開

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『ニンフォマニアック Vol.1』『ニンフォマニアック Vol.2』

『ニンフォマニアック』
©2013 ZENTROPA ENTERTAINMENTS31 APS, ZENTROPA INTERNATIONAL KOLN, SLOT MACHINE, ZENTROPA INTERNATIONAL FRANCE, CAVIAR, ZENBELGIE, ARTE FRANCE CINEMA

デンマークの問題児が暴く「性」の真理は驚くほど単純でいて、深い
2011年にナチスを擁護する発言をしてカンヌから追放となったデンマークのお騒がせ監督、ラース・フォン・トリアー。過激な性描写で物議を醸した『アンチクライスト』や自身のうつ病体験に基づく『メランコリア』など、観る者の感情移入を度外視した問題作を放ってきたトリアーの新作は、「ニンフォマニアック=色情狂」のヒロインの物語。全身傷だらけで路地に倒れていたジョー(シャルロット・ゲンズブール)が、助けてくれたインテリ紳士セリグマン(ステラン・スカルスガルド)に語りだす、8章から成る性の体験談には、不快感をもよおす人もいるかもしれない。ひたすらセックスに明け暮れたティーンから20代までの“発情期”を描くVol.1ではただただあっけにとられ、Vol.2に突入すると、唯一愛した男にだけ肉体が反応しない皮肉の「負の連鎖」に翻弄(ほんろう)される。ヒロインが、その悩みを解決するためにセラピーでの荒療治を経て悟った真実は、驚くほど単純でいて深い。トリアーと3度目のタッグを組み、怪演を見せたシャルロット・ゲンズブールの勇気をたたえたい。(編集部・石井百合子)

『ニンフォマニアック Vol.1』は10月11日より、『ニンフォマニアック Vol.2』は11月1日より公開

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『イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所』

『イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所』
©2014 Warner Bros. Ent. and Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights Reserved.

クロエが体現する思春期ならではのジレンマが泣ける
生きていくか、それとも逝くか。これは、交通事故で家族を一度に失い、自身も昏睡(こんすい)状態にある中で、生と死の選択を迫られた一人の少女の物語。演じるのは、人気若手女優クロエ・グレース・モレッツだ。『キック・アス』『キャリー』など強烈なキャラクターのイメージで知られるクロエだが、今作でふんするのは恋や将来に悩む普通のティーンエイジャー。誰もが共感することのできる思春期ならではのジレンマが描かれている。生きていくにはあまりにもつらい現実を前にしたミア(クロエ)に掛けられる言葉の一つ一つが胸に染み、中でも「つらいなら頑張らなくてもいい」と声を掛けるおじいちゃんとのシーンは涙なくして観られない。チェロに夢中の地味な女の子とイケてるミュージシャンのカレという設定には「少女漫画か!」とツッコミを入れたくなるが、恋人のアダム(ジェイミー・ブラックリー)がミアの部屋であるサプライズをする場面は思わず胸キュン。(編集部・中山雄一朗)

映画『イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所』は10月11日より公開

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『誰よりも狙われた男』

『誰よりも狙われた男』
©A Most Wanted Man Limited / Amusement Park Film GmbH (C) Kerry Brown

ラストシーンの悲哀に満ちたフィリップの表情は圧巻
今年2月に急逝した名優フィリップ・シーモア・ホフマンの最後の主演作である本作。『裏切りのサーカス』の原作者ジョン・ル・カレが、911以降のドイツを舞台にテロ対策組織のスパイたちのリアルな諜報(ちょうほう)戦を描き出した傑作ミステリーが原作であるだけに、心理戦や途切れることのない緊張感には思わず舌を巻く。脇を固めるレイチェル・マクアダムスウィレム・デフォーロビン・ライトニーナ・ホスら実力派俳優陣が、それぞれの役割を整然とこなしているからこそ、複雑でありながらも一定の秩序と緊張感を保った作品に仕上がっている。タイトルが指し示す「誰よりも狙われた男」は果たして誰なのか。その答えは映画の世界に入り込んでいた観客を見事に裏切り、スクリーンの外に存在する現実を突き付ける。ラストシーン、筆舌に尽くし難い悲哀を帯びたフィリップの表情は、どんなセリフよりも観客の心を震わせるだろう。(編集部・吉田唯)

映画『誰よりも狙われた男』は10月17日より公開

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『イコライザー』

『イコライザー』

マフィアたちを秒殺するデンゼルのアクションに大興奮!
荒唐無稽(むけい)な設定も一流の演技で説得力を持たせてしまう、デンゼル・ワシントンの最新アクション。本作で演じるマッコールは、すご腕のCIA工作員だったが汚い仕事に嫌気が差してドロップアウト、ホームセンターに勤務しながら夜は読書にふける生活を送る、知性派のデンゼルにピッタリの役どころ。そんな隠遁(いんとん)生活を楽しむマッコールだが、毎夜読書にふけるカフェで出会った娼婦(しょうふ)の少女がポン引きに半殺しにされるやいなや、正義の心が爆発。元締めのもとに直行すると、襲ってきた複数人のマフィアをたった19秒で皆殺しにしてしまう。この場面は、デンゼルのいぶし銀の演技とアントワーン・フークア監督のリアリティーに徹した演出によって、まるで舞踏のような美しさを醸し出しており、アクション映画ファンは必見。さらにホームセンターが舞台のクライマックスでは、マッコールのDIY(Do It Yourself=自分でやる)精神がさく裂! 電動ドリルやカマを駆使して悪党どもを血祭りに上げて行く様子は快感必至。クロエ・グレース・モレッツのセクシーな娼婦(しょうふ)姿も見どころ! 文芸作品が増えがちな秋口にあって、一服の清涼剤となるハードボイルドエンターテインメントとなっている。(編集部・入倉功一)

映画『イコライザー』は、10月25日より公開

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