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『群青 愛が沈んだ海の色』長澤まさみ&佐々木蔵之介 単独インタビュー

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『群青 愛が沈んだ海の色』長澤まさみ&佐々木蔵之介 単独インタビュー

どんな状況でも希望の光は差すもの、それを見つけてほしい

取材・文:阿部奈穂子 写真:秋山泰彦、高野広美

美しい沖縄の青い海を舞台に、最愛の人を失った父と娘の、悲しみと再生のドラマを描いた感動作『群青 愛が沈んだ海の色』。沖縄で一番人口の少ない島・渡名喜(となき)島で約1か月間にわたってロケが行われ、その迫力ある大自然がスクリーンいっぱいに広がる。本作で親子を演じた佐々木蔵之介長澤まさみに、ロケ先でのエピソードやお互いの印象などを聞いた。

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民宿を借り切っての合宿生活

長澤まさみ&佐々木蔵之介

Q:ロケ先の渡名喜(となき)島は那覇からフェリーで約2時間もかかるとか。東京から飛行機で那覇に行くのと同じくらいの時間がかかるんですね。

佐々木:そうなんですよ。最初、渡名喜(となき)ってどんな場所なんだろうって、まったく予備知識がなかったんです。小さな地図には載っていませんし。でも僕たちが着いたとき、フェリーターミナルに「ようこそ! 群青」って大きな垂れ幕がかかっていて、いよいよ来たという感じがして、本当に感動的でした。実際、島に入ると、映画に出てくるあの美しくて豊かな自然がドッカーンとあって。ここで撮影させてもらえるんだ、ここが舞台なんだと思うと、とても幸せでした。

長澤:わたしは生い茂るフクギの木の壁、台風よけの家の囲いがとても印象的でした。都会になっちゃった沖縄本島では、なかなか見られない光景ですから。

Q:長澤さんが島に着いたとき、佐々木さんが面白い歓迎をしてくださったとか?

長澤:ええ。わたしはほかのキャストの方より1週間以上遅れて島に着いたんです。皆さんのところにごあいさつしに行ったとき、全員そろって、蔵之介さんが東京から持ってきたパン焼き器で焼いたパンを食べていたんですよ。「そんなに食べ物、大変なのかな」って、行った初日に不安にさせられました(笑)。

Q:島では4軒の民宿を借り切って、スタッフとキャストが合宿のように生活していたそうですね。長澤さんも民宿に泊まられたんですか?

長澤:わたしが泊まった民宿は島で一番きれいな宿だったらしくて、すごく男性陣にうらやましがられました。どこの民宿も、エアコンを使うときには、100円玉を入れて、その時間だけ動く仕組みになっているんですが、わたしが泊まった民宿は100円で4時間。男性陣の民宿は100円で3時間だったそうです(笑)。

Q:それはカルチャーショックでしたね。

長澤:ええ。でも、島には商店がないので、島の人はネットショッピングで食材とか日常商品を買っていると聞いたんです。ハイテクなんだと驚きました。

佐々木の目力の強さで、父親の威厳を表現

長澤まさみ&佐々木蔵之介

Q:佐々木さんは本作で、島一番のウミンチュ(漁師)として皆から一目置かれているけど、寡黙で深い悲しみを背負っている龍二を演じられました。龍二は男性としてとても魅力的ですよね?

佐々木:確かに魅力的ですが、この大きな自然の中で、龍二の感情の動きをどのように見せていけるのかが大きな課題でした。龍二は愛する妻と出会い、結婚し、娘をもうけますが、病気で妻を失い、ある事件をきっかけに娘の心も失ってしまいます。あの大自然の中で、少ないセリフでどれだけ心が動かせるか、存在感を表せるか、その辺が難しかったですね。

Q:父親役というのも珍しいのでは?

佐々木:あんなに大きな娘を持つ親の役は初めてですね。でも、順撮りで撮影しましたからね。いきなり長澤まさみちゃんの親になっちゃったというわけではなくて。妻との出会いからずっとあって、赤ちゃんができて、だんだん大きくなっていってという具合に。だから自然と感情移入ができました。

Q:長澤さんは、父親役の佐々木さんについてどんな印象を持たれましたか?

長澤:蔵之介さんって目力がすごくあるじゃないですか。その目力の強さががっちりとして意思が強い、頑固なお父さんの威厳を感じました。でも、ただ頑固なだけではなく、包容力と優しさもあるお父さんでしたね。

Q:佐々木さんも、長澤さんみたいに美しい娘がいたら、映画の龍二のように結婚に反対してしまいそうですよね?

佐々木:長澤さん、本当にかわいかったからね。嫁には絶対出さんぞって(笑)。いやいや、そんなことないですよ。映画の中でも、龍二が結婚に反対したのは娘を手放したくないとかではなくて、「結婚はまだ早いよ」ということだったんです。

長澤がお父さんをアッシー代わりに!?

長澤まさみ&佐々木蔵之介

Q:長澤さんは、実際のお父さまとはどんな感じの親子関係なのですか?

長澤:父とは結構、仲良しですよ。わたしが小学校4年生くらいのときに、「どこどこ行って」とお父さんをアッシーのように使っていました(笑)。父は今、大学でサッカーを教える仕事をしているんですが、あまり怒らないし。優しいですね。

Q: 凉子という役は、最初は元気で活発な女性だったのに、ある事件をきっかけに心を閉ざしてしまい、そこから徐々に再生していくという難しい役でしたね。

長澤:凉子の気持ちの流れをつかむのがすごく難しかったです。大切な人を亡くすということは、確かに相当ショッキングな出来事ですが、なぜ凉子はこれほどまでに心を病んでしまったのだろうと、彼女の気持ちを汲み取るのが一番の課題でした。

Q:ところで本作の監督・中川陽介さんはベルリン国際映画祭招待作品となった『青い魚』でデビューして以来、一貫して沖縄が舞台の映画を撮り続けていますが。一緒に仕事をしてみていかがでしたか?

佐々木:監督は沖縄を愛していますね。そしてこの作品のことも誰よりも愛していました。本番でセリフを全部言い終わっても、カットがかからないことが何度かあって。「何なんだよ」と思っていたら、監督がモニターを見て泣いてしまって。カットをかけるの忘れてるんですよ。本当によく泣いていました。自分が書いたこの脚本が映像化されて、今、起こっていることが本当にうれしいみたいで。僕らとしても、監督が喜んでいる姿を見るのがすごくうれしかったですね。

Q:沖縄を知り尽くした監督だからこそ、撮影場所の選び方などもひと味違ったんでしょうね。

佐々木:渡名喜(となき)島って、今まで撮影隊が入ったことのない場所だったそうです。沖縄の人でも渡名喜(となき)を知っている人はあまりいないくらい。監督はどこかの民宿に泊まったとき、そこのオヤジさんから「渡名喜には古いままの沖縄があるよ」と教えてもらったとか。でも今となっては、この島がとても大きな存在になっているし、この島の自然のおかげで僕たちは映画を撮れたんだと思います。まさに、島の大自然と地元の人たちと一緒に作り上げた作品ですね。後は、監督の情熱とね。

Q:最後に本作の見どころをお願いします。

長澤:どんな状況でも、すべての人に希望の光というのは差してくるものだと思います。この作品を観た後に、自分なりの希望の光を見つけてもらえたらと思っています。

佐々木:やはり、美しい島の中で展開される父と娘のドラマでしょうね。お互いに大きな悲しみを背負っていて、それは誰も代わってやることができない。近くにいて見つめることしかできない。そんな父と娘の切なさや愛情が、スクリーンを通じて伝わるとうれしいですね。


長澤の言うように、強い目力で熱心に映画についてや、芝居について語ってくれた佐々木。しかも最後に「すみません、もっと要領良くお話しできれば良かったんですが」という優しいお言葉までちょうだいし、感動してしまった。一方、長澤は明るく飾らず、ロケのエピソードを冗談交じりで話してくれた。そして「わたし、結構、ひょうきんと言われているんです」と同性から見てもウットリするようなさわやか笑顔を見せてくれた。そんな話題の二人が父と娘を演じた本作。沖縄の美しい自然とともに、二人の親子ぶりは必見だ。

【佐々木蔵之介】
スタイリスト:勝見 宜人(Koa Hole)
ブランド名:ROBERT GELLER(M INC) / PIERRE HARDY(ステディ スタディ)

(C) 2009「群青」製作委員会

『群青 愛が沈んだ海の色』は6月27日より有楽町スバル座ほかにて全国公開

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