『夜は短し歩けよ乙女』星野源 単独インタビュー

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『夜は短し歩けよ乙女』星野源 単独インタビュー

とことん悪い人の役もやってみたい

取材・文: 柴田メグミ 写真:高野広美

京都を舞台に描かれる、ファンタジックでユニークなベストセラー青春恋愛小説をアニメーション映画化した『夜は短し歩けよ乙女』。『MIND GAME マインド・ゲーム』の湯浅政明監督のもと、脚本の上田誠、キャラクター原案の中村佑介、主題歌に ASIAN KUNG-FU GENERATION なる、テレビアニメ「四畳半神話大系」の最強チームが再実現した。本作でアニメ声優として単独初主演を飾った星野源が、湯浅アニメの魅力、自身のブレイク現象や多岐にわたる活動について語った。

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観客やリスナーとしての感覚を大事に

星野源

Q:アニメ声優のお仕事は何度かされていますが、いかがでしたか?

とっても楽しかったです。今回の収録では、スタッフの皆さんとガッチリと濃い時間を過ごしました。“先輩”のキャラクターを、一緒に探りながら創ってくださった感覚があります。何度でもやりたいと思っていたので、6時間も7時間もずっと絶叫しっぱなしで(笑)。すごくハードでヘトヘトになりましたけど、本当に楽しくて。この機会をいただけて、うれしい気持ちでいっぱいです。

Q:『MIND GAME マインド・ゲーム』を観賞して以来、湯浅監督を敬愛されているそうですが、星野さんから見た湯浅アニメの魅力は?

イマジネーションの豊かさと、アニメーションならではの快感がすごいと思います。『MIND GAME マインド・ゲーム』で特に好きなのは、言葉で説明せずに映像の積み重ねでメッセージを伝えているところです。湯浅さんのセンスが色濃く出ていて、右脳で観る感じが、自分にはすごく心地よいです。今回も、クライマックスに先輩の心の中を表現するシーンで、画やアニメーションの力をすごく感じました。アフレコも、映像を観ながら声を入れられたことが、すごく楽しかったです。早く劇場で観たいと思いました。

Q:試写室ではなく、劇場でご覧になるんですね。

出演した作品は、ほとんど劇場で観ます。大きなスクリーンで観たいこともありますが、いわゆるお客さんとして観てみたいという。たとえば音楽の仕事でも、自分がリスナーだった時間、音楽を奏でる人じゃなくて好きで音楽を聴いていた時間に思っていたことが、今の活動にすごく役立っている気がするんです。当時イヤだなと思っていたことはなるべくしない(笑)。いつまでも視聴者やリスナーだったときの感覚が抜けないんですね。でもその感覚が自分には大事だと、すごく思います。

Q:劇場で本作を観るにあたって、特に楽しみにしていることは?

京都の街の雰囲気もすごくステキだし、ミュージカルもあるし、アクション的なシーンもあるから、大きい画面で画の力を堪能したいです。しかも本作は声からキャストの皆さんが楽しく演技していたというのが伝わってくるので、大きい音で聴けるのもうれしいです。

乙女たちよ、恋をしよう

星野源

Q:映画のタイトルにちなみ、星野さんなら世の乙女たちに「何をせよ」とのメッセージを送りたいですか?

僕は「ゴンドラの唄」という、このタイトルのもとになっている歌が大好きなので、やはり(その曲の歌詞にある)「恋せよ乙女」でしょうか……。「いのち短し恋せよ乙女」って、すごく語呂がいい言葉ですよね。

Q:想いを寄せる女性の目に留まるようにと、外堀を埋めてばかりの先輩に対して、ご自身はどういうタイプですか?

僕は外堀を埋めないで、突進してしまうタイプです。うまくいくときもいかないときもありますけど……いかないことのほうが多かったですね(笑)。

Q:そういえばラジオで、「告白されたことがない。いつも自分からいく」と打ち明けていましたね。

はい。自分のオールナイトニッポンで、バカリズムさんがゲストの時でした。ほんと情けないです(笑)。

Q:そんなことないです(笑)。もし女性から告白されるとしたら、どんな告白が理想的ですか?

何でもいいです、相手にもよりますけど(笑)。「ちょっといいな」と思っていた相手から来られたら、最高ですよね。

Q:そんな星野さんの目に、先輩のキャラクターはどう映りますか?

すごく遠回りだと思いつつも、言い訳だけで終わらずにちゃんと行動している、自分と闘っている感じがします。この人なりの真っ直ぐさが、僕はすごく好きです。

Q:ヒロインの“黒髪の乙女”も、とてもチャーミングですね。

不思議な魅力があって、なんだかとってもかわいいですよね。心の中に、陰りや曇りが1点もない感じがします。先輩は曇りしかないので、彼女に惹(ひ)かれたんじゃないでしょうか。曇りがある人って、同じく曇りがある人に惹(ひ)かれがちだと思いますけど、そうじゃない太陽みたいな子を好きになる。傷をなめ合うような恋愛じゃなく、癒やしを取っ払った純粋な恋という印象がすごく強いです。その点が、舞台が夜の作品なのに、すごく明るいイメージを象徴している気がして。最後にとても清々しい気持ちになります。

やるなら、とことん悪い人

星野源

Q:夜の設定がファンタジックですが、夜にやるから楽しい! 的な、星野さんにとっての“夜ならではのお楽しみ”は?

深夜がすごく好きです。仕事がだいたい夜に終わるので、それから作曲の作業をしています。集中できるような気がして、深夜に作曲するのは楽しいですね。実際には昼も夜もそんなに変わらないと思うんですけど(笑)。街が寝静まっている感じや独特の雰囲気があるせいか、創作意欲も湧きますし、夜中に作曲したり文章を書いたりすることが、すごく多いです。最近は作曲がひと段落したときに、ひとりで叫びながらゲームをしています。

Q:俳優業に音楽や執筆活動と幅広く活躍されて、肉体的には大変ながらも、精神的に良いバランスをもたらしているのでしょうか?

そうですね。俳優に関しては、自分以外の人間になっていく、自分を消していく作業がおもしろいんです。音楽の場合は、自分の頭の中に浮かんでいる映像や風景を音や歌詞にしていくのがすごく楽しい。執筆に関しては、自分の心や自分が見た景色を文字にしていく。それぞれちょっとずつ違うので、どれも楽しいです。

Q:テレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」以前から俳優としては高く評価されていましたが、今後挑戦してみたい役柄はありますか?

今まですごく悪い人の役というのはあまりやったことがないので、楽しそうだなと思います。とことん悪い人の役をやってみたいです。


星野源

大ブレイクしながらもその実感が湧かないといい、浮足立った様子は皆無の星野源。いち観客や視聴者、そしてリスナーとしての地に足の着いた感覚だろう。また役者1本ではなく、音楽家、文筆家として世間はもちろん、自分自身さえも客観的に見ている視点も影響しているに違いない。冴えない先輩に成り切った彼の声からは、滑稽で愛おしい男の純情が浮かび上がる。

(C) 森見登美彦・KADOKAWA/ナカメの会

映画『夜は短し歩けよ乙女』は4月7日より全国公開

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