『追憶』小栗旬&柄本佑 単独インタビュー

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『追憶』小栗旬&柄本佑 単独インタビュー

仲の良い俳優同士の共演は恥ずかしい!

取材・文:イソガイマサト 写真:上野裕二

映画『駅 STATION』『鉄道員(ぽっぽや)』などの傑作を世に送り出してきた名匠・降旗康男と撮影の木村大作がタッグを組んだ映画『追憶』。幼少期を一緒に過ごした3人がある殺人事件をきっかけに25年ぶりに再会する本作で、容疑者と被害者の役で初共演を果たした小栗旬柄本佑が、お互いの印象から主人公の刑事を演じた岡田准一との撮影、二人の日本映画のレジェンドが指揮を執る撮影現場を振り返った。

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知っている人との芝居は緊張する

小栗旬&柄本佑

Q:小栗さんと柄本さんは今回が初めての共演ですが、お互いの印象を教えてください。

小栗旬(以下、小栗):たっくんと共演している友人は何人かいて、僕らはその友人の誘いで何度か食事をしたり、飲む機会はあったんです。そのあとに、この『追憶』の撮影に入って。最初は、アロハを着て自転車を漕いでいる人、という印象でした(笑)。

柄本佑(以下、柄本):そうでしたね。僕もスーパーですれ違ったときに、「スゴい! 小栗旬がスーパーにいる。普通にパパだ!」と思いました(笑)。

小栗:たっくんは、独特の空気を持った人だと思いますね。准一くんは、たっくんの芝居を「伝統芸能だ」って言っていましたけど、確かに父親が柄本明さんでなければ培っていない雰囲気や脈々と受け継がれている芝居の形みたいなものがある。だから職人みたいな、俺らの世代にはなかなかいないムードを持った俳優さんだと思います。

Q:撮影現場では、岡田さんとのシーンのときも小栗さんとのシーンのときも、柄本さんは手が震えていたそうですね?

柄本:緊張していましたね。

小栗:俺らは勝手に同世代みたいな気分でいるけど、たっくんは意外と若いんですよ(笑)。

柄本:そうなんですよ(笑)。先輩との共演だから、そりゃ緊張しますよね。ただ小栗さんは本当に兄貴的な存在で、懐が深いから、どんな芝居でも受け入れてくれる。それで、僕も「じゃあ、こんなふうにやってみようかな」っていろいろと試すことができたんですけど、やっぱり緊張しますね。先輩だからというのもあるけれど、一緒にお芝居をする前に会ったことがある人だったから……そういう人の方が緊張しません?

小栗:そう(笑)?

柄本:現場の俺をついに見られてしまうという動揺もあって、緊張するんですよね。

小栗:確かに、俳優同士が仲良くなり過ぎると、芝居をするときに恥ずかしくなる(笑)。「なんでこの人と芝居をしているんだろう?」ってなるので、好きな俳優さんとは程よい距離感が一番良いと思いますね。

柄本:そうなんですよね。

小栗:僕も今は、生田斗真と一緒に芝居をするなんて考えられないですから(笑)。

岡田准一に抱きついてびっくり!

小栗旬&柄本佑

Q:柄本さんは岡田さんとも初共演ですよね。

柄本:初めてです。岡田さんは太い幹のような方で、どこか屋久杉のような自然界の産物みたいな印象でしたね。

小栗:屋久杉? いい例えだね~(笑)。

柄本:武道も追求されているし、的確な形容詞が今見つかったなと思いました(笑)。

Q:小栗さんは岡田さんのことを以前「侍みたいな人」と言われていましたね。

小栗:そうですね。もののふ(武士)です。准一くんとは昔、NHKの新春ドラマ「大化改新」(2005)で共演しているんですけど、久しぶりに一緒にやってみて、身体の中に入りきらないエネルギーを持っている人だなという印象を受けました。でも、すごく自然にお互いがその場にいられましたね。

Q:小栗さんの演じられた啓太と岡田さん扮する篤が25年ぶりに再会するあの岬のシーンでは、二人で話し合って、セリフを変えていったみたいですね。

小栗:はい。空いている時間に「どうしようか?」って相談をしたんですけど、あるとき、准一くんから「『俺たちはもっと早く会うべきだった』というセリフを入れたい」という話が出て。「じゃあ、岡田くんが一番良いと思うところでそのセリフを言ってください」というやりとりをしながらあそこは作っていきました。

Q:柄本さんの岡田さんと芝居をした印象は?

柄本:僕はラーメン屋と飲み屋のシーンなどで一緒にお芝居をしましたけど、テストを1回やってすぐに本番という撮影だったから、現場での印象はあまりなくて。ただ、僕が岡田さんに後ろから抱きつくシーンを撮ったとき、抱きついてみて、やっぱり身体がデカいなと思いました(笑)。体格はそれほど大きくないけれど、身が詰まっている感じがしましたね。

小栗:詰まっているよね~。岩みたいな身体をしているもんな。

柄本:それに、撮影のことや撮影の大作さんのことなども研究されていて、いろいろなことを知っているし、現場での佇まいがとても軽い感じがします。重厚なお芝居をしていても、緊張と弛緩の間をちゃんと行ったり来たりできて、撮影の合間は本当に柔らかい物腰の方だなと思いました。

小栗:本当にナチュラルな人。難しそうな感じが一見するけど、本当に自然な人ですね。

日本の祭りのようなレジェンドたちの撮影現場

小栗旬&柄本佑

Q:『追憶』は降旗康男監督、撮影の名手・木村大作という二人のレジェンドとの仕事でしたが、どんな刺激をもらいましたか?

小栗:本当に日本の古きよき映画の現場って感じでした。1枚の画でそのシーンを成立させようという現場のムードがあったし、完成した作品を観たときも、画の強さを感じました。

柄本:撮影所を経験された監督やカメラマンの現場を体験できる機会はどんどん少なくなっていくけれど、映画ファンとしてはやっぱりそういう現場を経験したいし、観たいと思っていたから、すごく楽しかった。

小栗:それに、いろいろなものを感じることができました。准一くんも言っていましたけど、降旗監督は僕らが想像もつかないようなことを想像しながら作られていると思うので、すべて作戦通りに動かされているんじゃないかな? って感じることはありましたね。

柄本:何にも言わないですけどね。

小栗:そうそう。

柄本:昔は映画制作に携わる人のことを「活動屋」って言っていたけれど、本物の「活動屋」に触れられたなという実感がありました。げきが飛んでいる現場って活気があって、映画を作っているなっていう感じがしていいんですよね。しかも、それが富山や能登半島という遠い地だったから、なおさらよかった。

小栗:毎日がお祭りムードだったよね。本当に日本の祭りっていう感じでした。

柄本:そうですね。その中心に降旗監督があの哲学者的な佇まいでいて、それとは対照的に、大作さんがあのデカい声で士気を高めている。昔の映画はこうやって撮られたんだなっていうのを肌で感じることができたし、そういう現場を見られて本当に幸せでした。


小栗旬&柄本佑

取材日前日が舞台「髑髏城の七人 Season花」の初めての2公演日だった小栗旬は、柄本に「疲れていますね」と言われて最初こそ「疲れている」と思わず本音をもらしたが、すぐに自分を立て直して、柄本をイジりながら楽しいトークを展開。柄本もそんな小栗に敬意を払いながらも、フレンドリーに撮影を振り返り、そのやりとりから、二人の絶妙な距離感が伝わってきた。映画『追憶』には、彼らに岡田准一を加えた3人の生々しい息遣いと体温が、レジェンドたちの手でしっかりと焼きつけられている。

映画『追憶』は5月6日より全国公開

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