『万引き家族』城桧吏 単独インタビュー

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『万引き家族』城桧吏 単独インタビュー

注目されるのはうれしいけど少し恥ずかしい

取材・文:高山亜紀 写真:高野広美

カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した是枝裕和監督の『万引き家族』。城桧吏リリー・フランキー演じる父親と血ではなく犯罪でつながる息子・祥太役で、国内外問わず多くの人々の胸を打つ名演を見せている。ダンスとゲームが大好きないまどきの男の子が自分とはまるで境遇の違う男の子役にどう取り組んだのか。クランクアップ時にはもうここに来られないと思うと涙が止まらなかったという思い出深い撮影を振り返る。

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思い出のカンヌの街

城桧吏

Q:まずは、パルムドール受賞おめでとうございます。

ありがとうございます。取れたらすごくうれしいなと思っていました。是枝監督が「すごくいい感じにできた」と言っていたので、実を言うと、賞を取れるんじゃないかという予想はまあまあ、ありました(笑)。

Q:カンヌはどうでしたか?

楽しかったです。街がきれいで、にぎわっていました。みんな親切で、歩いていたら、映画を観た人から声をかけられて、ちょっとびっくりしました。注目されて話題になるのはうれしいんですけど、少しだけ恥ずかしい気持ちもあります。

Q:学校のお友だちからは何かリアクションがありましたか?

「すごいね」「カンヌ、どうだった?」とか、なかには「カンヌ賞、取れてよかったね」って言う子もいました。そしたら、別の友だちが「カンヌって場所のことだよ」って。みんなよく知っていて、「フランスでしょ? フランスパン食べた?」って聞かれたから、「食べてないけど、クロワッサンは美味しかったよ」と答えました(笑)。

Q:みんなに「映画を観て」って言ったのでしょうか。

言っていません。ちょっとだけ恥ずかしいんです。「観るね」って言ってくれる人もなかにはいるので、観てもらえたらうれしい気持ちはあるんですけど(笑)。一歳からの幼なじみは先行上映で観たらしくて、「観たよ。よかったよ」って言ってくれました。

Q:完成した映画を観た時はどんな気持ちでしたか?

自分が出ているなあと思って、不思議な気持ちでした。何も考えずに自分のことだけをずっと見ていて、その次にほかの人を見ていたら、またすぐ自分が出てきて……。大きなスクリーンに自分が映っているのは、やっぱり不思議でした。

Q:映画を観て泣いてしまいましたか?

その時は泣きませんでした。撮影している間はリリーさんとの最後のシーンが本当につらくて、泣くのを一生懸命こらえていました。

肩と一緒に緊張もほぐしてくれたリリー・フランキー

城桧吏

Q:是枝監督のオーディションの様子を教えてください。

台本がなくて、その場で言われたことをやるという撮影と同じ感じでした。その時からもう(妹役の佐々木)みゆちゃんと一緒で、車のなかでポテチを食べるシーンを実際にオーディションでもやりました。監督からは台詞だけを伝えられて、それを見てもらって「ありがとうございました」ってあいさつして終わりでした。

Q:監督のほかの作品はいままでに観たことがありますか?

あります。『誰も知らない』と『そして父になる』の二つです。『そして~』は観始めた時、普通の二つの家族の話かと思ったけど、子供が入れ違っていたから、自分の親も本物なのかなと考えたりもしました。僕が赤ちゃんの時も同時に生まれた人が3人いて、すぐに看護師さんが部屋に連れていったから「もしかしたら違う家の子かもね(笑)」ってお母さんが言ったんです。でも、周りの人からいつも「お母さんに超似てるね」って言われていて、間違えるわけないので「そんなわけないでしょ」って言いました(笑)。

Q:撮影現場はこれまでの作品とは違いましたか?

やっぱり台本がないことに緊張しました。でもすぐに慣れて、台本がないのも「いいかもしれない」って思いました。台詞が多いシーンと少ないシーンがあって、少ないシーンはまだ大丈夫だと思うけど、リリー(・フランキー)さんとの二人のシーンで「スイミー」(レオ・レオニ作の絵本)の話をしたりするところとか、ルアーの説明をするところなどは心配でした。

Q:リリーさんは緊張しないようにしてくれたんですか?

肩をほぐしてくれました。あと足も腕も。最初の方は、みゆちゃんと二人のシーンが多かったので、よく二人でいました。でも、後半になってくると、リリーさんと二人のシーンが多くなっていて、その頃にはリリーさんとも親しくなれていたので、よく肩をほぐしてもらったりしていました(笑)。

お気に入りのシーンは痛い記憶がいっぱい

城桧吏

Q:後半の治(リリー)と祥太(城)のシーンも印象的ですが、オープニングのスーパーで万引きする二人のシーンもよかったですね。

店員さんとお客さんにも見つからないよう、何もしてないように何もなかったように通り過ぎるスーパーのシーンで、リリーさんの「3人いる」っていう合図があるんですけど、予告編がテレビでよく流れていて、あれを見た友だちから「超かっこよかった」って言われました。

Q:一番楽しかったシーンは?

二つあるんですけど、ジャンプするところと魚釣り。どちらかというとジャンプの方が楽しかったです。魚釣りの方は撮影が冬で、手がかじかんでいて……ルアーを飛ばす時に何度も糸が手にパンと当たって、痛くて、しびれたりもしました。でも、楽しかったです。

Q:それは痛い記憶ですね(笑)。ジャンプのシーンはどうでしたか?

普段なら骨折するくらい高いところから飛んだんです。でも、怖くなかったです。下にふかふかのマットが敷いてあって、何度かジャンプして、超楽しかったです。昔から、高いところから飛び降りるのがとても好きなんです。

素顔はいまどきの11歳

城桧吏

Q:アクションが好きなのですか?

好きです。アニメのアクションものとか、やっていきたいです。「GANTZ」の実写版はヘルメットをかぶった田中星人とか、初めて観た時はすごく怖かったですけど、だんだん好きになりました。「進撃の巨人」は実写版を観てかっこいいなと思っていて、自分のなかでブームがあったんですけど、いとこから「アニメもいいよ」って勧めてもらって、観始めたらそっちもすごくはまりました。家では弟が“巨人”で、僕が“人間”で応戦しています。「進撃の巨人」の動画を観ていると、観ちゃダメって言ってるのに弟がやって来て、巨人のまねをしちゃうんですよ(笑)。

Q:弟さんも演技力ありそうですね。

すごくあります。例えばお菓子をもらえなくてすねる時とか、僕がたまにちょっかいだしちゃった時とか、「え~ん」って泣いたふりをするけど、涙が一切出てないんです(笑)。

Q:所属するスタメンKiDSの活動はどうですか?

みんなと仲良くやっています。ダンスが楽しいです。

Q:プロフィールにダンスが得意って書いてありますね。

スタメンKiDSのプロフィールには全員に特技・ダンスって書いてあるんです(笑)。ダンスによって違いますけど、メンバーの(佐藤)大志くんには勝てないかな。大志くんのダンスにはキレがあります。特技です! と言えるように頑張ります!

Q:グループ内で流行っているものはありますか?

ゲームですね。全員「スプラトゥーン2」を持っていて、離れた場所でもインターネット対戦しています。


城桧吏

観察眼に優れ、現場での人間関係もすぐに覚えてしまったという城桧吏。明るくて、賢くて、元気な彼のきらきらと輝く瞳に、是枝監督の撮影現場はどう映っていたのだろう。数週間前に会った時は「有名になりたい」と話していた彼が今回は「注目されるのはちょっと恥ずかしい」と照れくさそうにしていた。毎秒大人になっていく大切な時期。作品のなかにも、日に日に大人になっていく彼の貴重な瞬間がしっかりと収められている。

映画『万引き家族』は全国公開中

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