『きみと、波にのれたら』川栄李奈 単独インタビュー

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『きみと、波にのれたら』川栄李奈 単独インタビュー

切ないけど、前向きな気持ちになれる

取材・文:坂田正樹 写真:映美

海辺の街を舞台に、消防士の青年・港(みなと)とサーファーの大学生・ひな子がつづる切なくも運命的な恋の物語。4度目の声優挑戦となる女優の川栄李奈は、天真爛漫なヒロイン・ひな子をのびのびと演じ、心優しい港役を務める片寄涼太と絶妙なハーモニーを奏でている。監督は、『夜明け告げるルーのうた』『夜は短し歩けよ乙女』の名匠・湯浅政明。「切ないけれど前向きになれる」と本作をアピールする川栄が、実写演技とは違う声優の難しさ、片寄との共演秘話、さらには新たな時代「令和」に向けての抱負を語った。

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学生時代、デートをしたことがなかった

川栄李奈

Q:まず、完成作品をご覧になった感想を聞かせてください。

事故で亡くなった恋人・港(片寄涼太)とひな子が奇跡の再会を果たすんですが、とっても切ない恋愛ファンタジーになっていましたね。あまり映画を観て泣かない方なんですが、さすがにウルっときてしまいました。でもそれだけじゃなくて、観終わったあと自分に自信が持てるというか、すごく前向きな気持ちなれるところもあって、素敵な映画だなと思いました。

Q:サーフィンをしたり、花火をしたり、いろんなサプライズがあったり、前半はキラキラとした恋人描写が多かったです。どんな気持ちでひな子を演じていたんですか?

港とひな子の超ラブラブ生活があってこその物語なので、そこは観ていて、やっぱりキュンキュンしながら演じましたね。わたしの年代もそうですが、十代の女の子が観たら、うっとりしながら「ああ……いいなぁ……」ってなるんじゃないですか(笑)。

Q:実写版をやってみたくなったりしましたか……?

いやいや!(爆笑)わたし、全く泳げないので、たぶん無理です!

Q:特にどのシーンが印象に残りましたか? 川栄さんのキュンキュンポイントを教えてください。

もう全部ですね(笑)。恋人と二人でデートに出かけるということを学生時代にしたことがなかったので。ただ、しいて挙げるなら、港がオムライスを作ってくれて、1つを肩寄せ合って二人で食べるシーンかな。「(食べているときも手をつないでいられるように)左手で食べる練習をしたんだ」っていうセリフがメチャクチャ可愛かった。もし自分が男性で、あれを女性にやられたら、たまらないですよね。

Q:港が亡くなり、中盤から展開がガラっと変わります。前半がキュンキュンのオンパレードだっただけに、そのギャップに戸惑いませんでしたか?

港が亡くなってから、落ち込んで、ふさぎ気味になっているひな子に対して、伊藤健太郎くん演じる消防士の後輩・山葵(わさび)が、「先輩はもういないんです!」と言うところは、グっときましたね。現実に引き戻されるようで悲しくなりました。でも、ここから徐々にこの映画が核心に入っていくので、とても重要なシーンでもあるんですよね。

声優は本業じゃない分、より気合いが入る

川栄李奈

Q:声優の仕事は、吹き替えも入れて4作目となりますが、手応えはありましたか?

アニメの画と台本をいただいて、湯浅監督から、「ひな子はとにかく元気で、こういう子で……」と大まかな説明を受けたんですが、わたしは普段しゃべるときテンションが低いので、なるべく声を張ったり、活発な感じを出したりはしましたね。ただ、いつものお芝居と違っていたのは、自分が「頑張って元気にしなくちゃ!」というよりは、元気な画に引っ張られながら声を当てていく感じだったので、とても自然でやりやすかったです。

Q:声は1日で録り終えたそうですね。相当準備をして臨んだのでしょうか。

声のお仕事をやらせていただくときは、口が動く秒数を確認して、台本に書くようにはしています。ただ、準備もそうなんですが、声優は本業ではない分、より気合いが入るというか、選んでいただいた以上、いつも以上にしっかりやらないと、という強い気持ちが一番大きいですね。

Q:俳優と声優の違い、あるいは声優ならではの難しさはありますか?

自分の身体を使って演じる実写と違って、アニメはすでにできているものなので、そこに声を合わせる作業になるわけですよね。先ほども言った口が動く秒数も大切なんですが、一番考えなければならないのが、声を入れるキャラクターの気持ちを考えること。アニメをじっくり観ながら、「なるほど、こういう気持ちなんだ」「こういうテンションなんだ」ということを頭で考えながら臨む、というところが大きな違いかもしれません。

Q:川栄さんが演じたひな子も含めて、全体的に声の印象はいかがでしたか?

一人で自分のパートを録ったのですが、ほかの方の声が入ってなかったので、完成作品を観たときは「おおー!」って感動しましたね。なるほど、みんながつながっていくとこういう風になるんだ、という驚きがあってすごく楽しかったです。

歌は苦手……サビが難しすぎて笑っちゃった

川栄李奈

Q:劇中、ひな子と港が楽しそうに笑いながら歌うシーンがありますが、どんな雰囲気で収録されたのでしょう。

最初は別録りの予定だったんですが、二人で録った方がラブラブ感が出ていいんじゃないかということで、一緒に収録することになったんです。そしたら、片寄くんが「原曲のキーが高すぎるから」と言っていて、わたしが慌てちゃった感じですね。キーがイマイチよくわからなくて、「あれ? これで合ってるのかな?」「合ってるよ」とか話していて。サビとかもすごく難しくて、あまりの複雑さに笑っちゃったんですよね。それがそのまま使われていて、しかも長い尺だったのでメチャメチャ恥ずかしかったです(笑)。

Q:歌が苦手だったとおっしゃっていましたが、今回はその「歌」がキーポイントになっています。その辺りは、やはり苦戦しましたか?

今回は、歌わないと始まらないという部分がありましたからね。でも、やっぱり苦手意識があるので、声のセリフよりも「ああ、歌かぁ……」という思いはありました(笑)。ただ、片寄さんにいろいろアドバイスをいただいたのでありがたかったです。

Q:片寄さんとの共演の印象を教えてください。

歌は一緒に録ったんですが、声は別々だったので、実はコミュニケーションを密にとる前に収録が終わった、という感じなんです。本作が終わったあとでドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」でご一緒したので、そこからよくしゃべるようになりました。映画で共演しているのに、なんか新鮮な感じがしましたね(笑)。

たくさん引き出しのある女優になりたい

川栄李奈

Q:以前、脇で輝くことで自分らしさを出したいとおっしゃっていましたが、それは今も変わらないですか?

そうですね、今も脇役とか主役のお友達役が多いですし。こういうお仕事もご縁だと思っているので、選んでいただいて、その作品に出られる、ということ自体がすごく嬉しいんですよね。だから、主演だから、脇役だから、というこだわりも今はありません。

Q:とはいえ、今作や『恋のしずく』でも主演を務められました。座長を担うことで、何か学んだこと、目覚めたことはありましたか?

しいて言えば、主役は脇役よりもセリフの量も多いし、出番も多いので、人一倍大変だということは実感しました。だから、(脇役目線で言えば)そういう主役の方々をいかにサポートできるか、ということを真剣に考えるようにはなりましたね。

Q:最後に、「令和」という新しい時代に向けて、川栄さんの今後の意気込みを聞かせてください。

自分が平成生まれ、平成育ちで、昭和生まれの方に「昔」のイメージを持っていたんですが、今度は令和の人に「平成生まれは昔の人」って思われる日が来るのかなと思うと、自分ももっと大人にならなきゃって思いました。お芝居の面では、AKB48を卒業して、いろいろな役をやらせていただきましたが、もっともっと経験を積んで、たくさん引き出しのある女優になりたいですね。


川栄李奈

2年前にインタビューをしたときと、女優に対する考え方、仕事への取り組み方が、全くブレていないことに驚いた。本作を含め主演映画も経験し、少しは発言が大きくなっても不思議ではないが、川栄はまるで鉄の掟を課しているかのように「主演も脇役も関係ない。ご縁があっていただいた仕事を一生懸命やるだけ」を繰り返す。言葉だけなら簡単だが、それを実践し続けているからこそ、川栄の周りには、いつもチャンスの花が満開に咲いているのだ。

(C) 2019「きみと、波にのれたら」製作委員会

映画『きみと、波にのれたら』は6月21日より全国公開

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