『窮鼠はチーズの夢を見る』成田凌 単独インタビュー

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『窮鼠はチーズの夢を見る』成田凌 単独インタビュー

どう演じるか考えたら負け

取材・文:磯部正和 写真:フジイセイヤ

人気漫画家・水城せとなの「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」を実写映画化した『窮鼠はチーズの夢を見る』。本作で、大倉忠義ふんする大伴恭一に思いを寄せる後輩・今ヶ瀬渉を“潤いいっぱい”に演じているのが成田凌だ。近年、出演作が途切れることなく続く成田が、「撮影が楽しいって、こういうことなんだ」と感想を述べた行定勲監督との撮影現場や、しっかり力をつけて対峙したいと熱望している俳優について語った。

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目の潤いが大切!

成田凌

Q:成田さんが演じた今ヶ瀬は、先輩の恭一に執着にも近い愛情を向けますが、どんなことを意識して作品に臨んだのでしょうか?

まず今ヶ瀬は恭一に「どのように見えているんだろう?」ということを意識しました。あとは、今ヶ瀬という人間は「どうやって演じようかな」と思ったら負けなんだろうなという気がしていたので、フラットな気持ちで臨みました。恋愛っていろいろなことを我慢しながら進んでいくものだと思うんです。なんで我慢するかというと、傷つきたくないから。でも今ヶ瀬は傷つく前提でガシガシ進んでいく。台本を読んでいても、演じていても格好いいなと思っていました。

Q:共演した大倉さんは、今ヶ瀬の目の潤いにやられたと話していました。

僕がなにかできると思ったのはそこだけですね。作品に入る前に、男性のカップルの人たちに話を聞いたのですが、総じて皆さん目が濡れているというんです。確かにまとっている空気感に湿度があるというか、湿った感じだったんです。恭一が、ものすごく乾いている人間だったので、僕が潤っていれば成立するのかなという気持ちはありました。

言葉にしてしまうと減ってしまうと思っている

成田凌

Q:メガホンをとった行定勲監督とのお仕事は初めてだったんですよね。

とてもよくお話をされる方でした(笑)。行定監督は言葉を伝えるのがとても上手。明確に答えを持っているし、それをしっかり説明してくれる一方で、僕らにも遊びの部分を持たせてくれるのですごくやりがいがあります。現場が楽しいってこういうことなんだなと思いました。

Q:成田さんは口下手なんですか?

そうですね。僕は言葉にしてしまうと言いたいことが減ってしまうという考えがあって……。くるりさんの歌に「言葉はさんかく こころは四角」というのがありますが、まさにそんな感じ。だから、どうしても会話がうまく成り立たないことがあるんです。でも行定監督とはとても楽しく現場で話ができました。

Q:行定監督の作品は以前から好きだったのですか?

行定監督の作品は、情報が「too much」にならないというか、役者に任せてくれているという感覚がありました。話さなくても目を見つめ合っていれば伝わる……みたいな形が理想だと思うんです。

Q:成田さんもそういう作品が好き?

作品のなかで伝えなければいけないことはあると思うのですが、あまり説明セリフが多いと面白くないと感じてしまいますね。

映画とドラマの違い

成田凌

Q:行間を読むような作品が好きなんでしょうか?

そうですね。でも自粛中、結構家で映画を観ていたのですが『ワイルド・スピード』とかめちゃくちゃはまって……(笑)。観るのは、情報があふれていたり、スピード感があったりするようなエンタメ作品も好きです。でも自分が演じるとなると、『窮鼠はチーズの夢を見る』のように、繊細な心情の変化を丁寧に描いていく作品は好きですね。

Q:確かに成田さんが出演する作品は、そういった映画が多いですね。

意識しているわけではないです。いまは映画ではなくドラマの「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋」と朝ドラ(「おちょやん」)の撮影が入っています。ドラマをやると「難しい」と思うことが多いです。

Q:どういった部分が難しいのでしょうか?

2019年に「磯野家の人々~20年後のサザエさん~」というドラマの現場に行かせていただきました。そのとき情報を短時間に詰めて表現する方法が難しくて、かなり年下の桜田ひよりちゃんに「どうやって芝居している?」と相談しました。そのあと彼女にお芝居の先生を紹介してもらいました。

Q:ドラマと映画はやっぱり違いますか?

やっていることは一緒だと思うんですけれど、やっぱり違うなと感じます。とにかくドラマだと流れについていくことで精いっぱい(笑)。一発でOKが出ちゃうと「本当に大丈夫かな」って不安になるんです。地方ロケで映画を撮っているというのが一番落ち着きますね。作品に集中できるという意味で。

井浦新とまた対峙したい!

成田凌

Q:ドラマ、映画と作品が続いていますが、いまはどんどん経験していくことが大切だという考えですか?

それはありますね。いましっかり働かないと、いつか僕は働かなくなってしまいそうです(笑)。いまドラマの現場で田中圭さんと一緒なのですが、圭さんを見ていると「忙しい」なんて言っていられないなと思うんです。出たい作品も、一緒に仕事をしたい人もたくさんいますし。その意味では、結構焦っているかもしれません。

Q:その焦りとは?

出会いたい人が多すぎます。急にいなくなってしまう人もいるし、出会えないかも……と思うと焦ってしまいます。

Q:たくさんいる成田さんの出会いたい人のなかで「最後にこの人と……」という方はいますか?

もう一度ちゃんと対峙したいと思っているのは(映画『ニワトリ★スター』で共演した)井浦新さんです。ない技術に頼って、小手先だけで器用にやってしまうとバレちゃう……ということをテレビ電話で話したりしたのですが、そういうことを言ってくださる人がいてくれて良かったと思うし、いつかまたちゃんと対峙したいと思っています。


成田凌

成田は「どう演じるか考えたら負け」ということを意識し、とにかく大倉との現場でのセッションを大切にしたという。そんななか、唯一心がけたのが「目の潤い」。成田の言葉通り、劇中で今ヶ瀬がアップで映るたびに、その目の潤いに心が奪われる。本人は「物理的に頼る部分が大きかった」と話していたが、その潤いは確実に大倉演じる恭一に対する “愛情”が内からにじみ出たもののように感じた。現在26歳の成田だが、内面からあふれ出る感情表現は圧倒的。本作を観ていると、作品が途切れることなく続く理由が分かるような気がする。

映画『窮鼠はチーズの夢を見る』は9月11日より全国公開

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