見どころ:2011年に発表し話題となった乾緑郎の「完全なる首長竜の日」を、『アカルイミライ』などの黒沢清監督が映画化した異色作。自殺未遂で昏睡(こんすい)状態になった恋人を救うため、最新医療技術を通じて彼女の意識下に潜入した青年が、現実と仮想が入り乱れる意識の中に潜り続け、やがて衝撃的な真実にたどり着くさまを活写する。主演は、日本を代表する若手実力派の佐藤健と綾瀬はるか。共演には中谷美紀、オダギリジョー、染谷将太など多彩なメンバーが顔をそろえた。
あらすじ:自殺未遂が原因で1年も眠り続ける幼なじみである恋人・淳美(綾瀬はるか)を救い出すため、浩市(佐藤健)は昏睡(こんすい)状態の患者と意思の疎通が可能となる先端医療・センシングを受けることに。センシングを繰り返し淳美の潜在意識に接触していくうちに、浩市は不思議な光景を見始めることになる。現実と仮想の境界が崩壊していく中、浩市は淳美と幼少時代を過ごした島へと足を運ぶ。
原作と全く異なり驚いた。いや、厳密には、主人公の名前や職業、“センシング“という昏睡状態にいる患者の意識下に入る医療行為を使ったミステリーという設定は同じ。だが姉弟の関係を恋人に変えてラブストーリーをメーンに、仮想現実の世界を大胆に変更。主人公淳美をホラー漫画作家にしたことから惨殺死体の幻覚が見えたり、首長竜が大暴れしたり、無駄に怖いのなんの。でも、いいのだ。本作はセンシングの世界が中心。何を創造して映像化しようが自由じゃないか! 漫画や小説原作の映画化が当たり前となった昨今、そんな映画人の矜持を見せつけられたよう。世界のクロサワの仕事ぶりにアッパレ!
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