見どころ:『無言歌』『三姉妹 雲南の子』などのワン・ビン監督が、中国南西部・雲南省の隔離された精神病院に収容されている患者たちの生活を捉えたドキュメンタリー。殺人、政治的陳情や一人っ子政策違反など、異常なふるまいを理由に収容されている患者たちの知られざる日常を映し出していく。鉄柵に覆われた閉鎖的な空間の中で、自分たちなりの世界と自由を作り出している患者たちの姿が、人間にとって正常と狂気の境は何かと問い掛けてくる。
あらすじ:中国の南西部に位置する雲南省の隔離された精神病院には、200人以上の男女の患者が生活している。人を殺し法的に精神異常と見なされた者、薬物中毒やアルコール中毒、政治的陳情を行った者や 一人っ子政策違反者などが、常軌を逸した振る舞いを理由に収容されている。そんな彼らの生活ぶりをカメラは丹念に映し出していく。
9時間の『鉄西区』に挑戦した人なら、4時間の上映時間にも涼しい顔をしていられるワン・ビン最新作。題材は精神病院だが、『チチカット・フォーリーズ』や『精神』と何が違うのか。それは「ダイレクトシネマ」や「観察映画」が撮る者/撮られる者の関係を意識させるのに対し、こちらはフレームが消滅するような臨場感があること。
実は『ゼロ・グラビティ』の宇宙空間に放り出される感覚にも近い。極めてシンプルな初期映画のやり方で「体感型」を実現させている。
「体感」だから観客の反応は様々になるはず。患者に共感するか、ゴロッとした異物感を噛みしめるか。その受容の多様性こそが幾多もの人生=物語が乱立する映画の力だろう。
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