見どころ:『傷だらけのアイドル』などのピーター・ワトキンズ監督がメガホンを取り、国家によるすさまじいまでの暴力をフェイクドキュメンタリースタイルで描いた衝撃作。1970年にケント大学で実際に起きたベトナム反戦デモ学生射殺事件を基に、国家の暗部をえぐり出す。『“アイデンティティー”』などのカーメン・アルジェンツィアノらが出演。アメリカでダブー視され、お蔵入り状態だった問題作に衝撃を受ける。
あらすじ:1970年、アメリカ国内でベトナム反戦運動が盛り上がりを見せる中、アメリカ政府はマッカラン国内治安維持法のもと、反政府的危険人物と判断した人々を次々と捕らえる。彼らは、カリフォルニア州にある“ベアーマウンテン国立お仕置公園”に送られ、人間狩りのターゲットにされた揚げ句処刑される。
アメリカンニューシネマの時代に、こんな凄まじいフェイク・ドキュメンタリーが作られていたとは嬉しい……というか、衝撃的な発見。
反体制活動家を送り込む“懲罰公園”は実質的には、横暴な権力が生み出した死刑執行の場。殺気立った警官や軍人に追われるそこでのサバイバルに加え、受刑者たちの訴えはひと言ひと言がとにかく重く、社会を成立させる“暴力”について考えずにいられない。
ベトナム戦争や人種問題など、当時のアメリカンニューシネマで描かれていたすべてを内包し、それを生々しくぶちまけた快作。米国で封印されてきたのも納得。ヌルいフェイク・ドキュメンタリーが乱造される現代にも十分に訴えるものがある。