見どころ:『アレックス』『エンター・ザ・ボイド』などの鬼才ギャスパー・ノエがメガホンを取り、恋人たちの狂おしいまでの愛を紡ぐラブストーリー。ある男女の出会いから別れに至る2年間の記憶を、性描写も交えて焼き付ける。大胆な役柄に挑戦したのはカール・グルスマン、アオミ・ムヨック、クララ・クリスタンら。カップルの親密な時間やセックスをのぞき見るような映像が見どころ。
あらすじ:年若い妻オミ(クララ・クリスタン)とベッドに横たわっていたマーフィー(カール・グルスマン)は、1月1日の早朝に電話の音で起こされる。メッセージを聞くと、かつての恋人エレクトラ(アオミ・ムヨック)の母親の切実な伝言が残っていた。彼女は音信が途絶えた娘の行方を心配しており……。
激しくも情熱的な男女の恋愛を、その別れから出会いまでを遡るようにしながら3Dで描いていく。しかも、そのものズバリの本番セックス満載で。
なにかと映像表現が保守的になりがちな昨今。かつてのポルノ・ブームがまるでウソのよう。でもみんなヤってるんでしょ!?ってな具合に生々しい性をスクリーンにぶちまける。セックスは普遍なる愛の営み。まさしくNO LOVE NO SEX。反逆児ギャスパー・ノエだからこその、大いなる愛の賛歌だ。
とはいえ、悲しいがな日本ではこれでもかとばかりの修正入り。飛び出す射精シーンがボカシの向こうで泣いている。これじゃあまるで不発弾じゃねえか、と言わんばかりに。
前作『エンター・ザ・ボイド』の頃から“次は3Dでポルノを撮りたい”と明言していた奇才ギャスパー・ノエ。その言葉どおり、冒頭から激しい性描写が繰り出される。
とはいえそこはノエ作品、フィジカルだけでなくメンタルもマッパ状態で、見る者の内面に鋭く切り込んでくる。全編を貫く主人公の男の独白によってあらわになるのは、終わった恋への強烈な未練。セックス描写が続くほど最初な感じた過激さは薄れ、彼の内なる熱情が際立ってくる。
ぶっちゃけ、この主人公は身勝手で好人物とは言い難いが、過去から脱却できないそのダメっぷりの痛々しさが切なくも写る。ひたすら激しい愛と性の記憶、それは彼の煉獄でもあるのだ。
※数量や販売期間が限定されていたり、劇場によっては取扱が無い場合があります。
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