見どころ:2009年に福井県の高校チアリーダー部が、アメリカのチアダンスの大会で優勝した実話をベースにした青春ムービー。軽い気持ちでチアダンス部に入部した女子高生が、厳しい顧問や個性豊かな部員たちと一緒に全米大会制覇を目指す。監督は『俺物語!!』などの河合勇人。『ちはやふる』シリーズなどの広瀬すず、『劇場版 零~ゼロ~』などの中条あやみ、『MARS~ただ、君を愛してる~』などの山崎紘菜らがキャストに名を連ねる。およそ半年にわたる特訓を経た、広瀬や中条らが繰り出すダンスに圧倒される。
あらすじ:友永ひかり(広瀬すず)は、県立福井中央高校に入学する。中学からの同級生である山下孝介(真剣佑)を応援したいと思った彼女は、チアダンス部に入る。だが彼女を待ち構えていたのは、アメリカの大会制覇に燃える顧問の女教師・早乙女薫の厳しい指導と練習だった。先輩たちが次々と辞めていく中、同級生のチームメート玉置彩乃(中条あやみ)と切磋(せっさ)琢磨しながらチアダンスに打ち込むひかり。チームは一丸となってトップを目指していくが……。
弱小チームが特訓の末、奇跡の勝利を収める達成劇。『がんばれ!ベアーズ』を引き合いに出すまでもなく鉄板のフォーマット。なのに、快作になり得なかったのは何故か。まず演出タッチが人間ドラマとキャラクタードラマの中庸にあって、感動へ導く軸足が定まらず展開がもたつく。肝心のダンスの見せ方にフラストレーションが募る。練習を重ねて実際に上達した、広瀬すずら女優たちのドキュメンタリー的要素に欠けている。致命的なのは決勝戦。長回しで描写しないせいもあって、米国制覇の説得性は脆弱だ。結果的に、“ブラック部活”なる概念さえ生まれた今、個よりも集団を尊重する古き良きスポ根的ドラマの美徳を甦らせることはできなかった。
『俺物語!!』でコミックの映画化を成功させた河合勇人監督が、実話をどう料理するのか? そんな興味に引かれて見たが、いやはや、コレも快作だ。
福井県のチアダンス部が世界の頂点に立つ実話の痛快さをベースにして、女の子たちをとにかくチャーミングに見せる。広瀬すずら女優陣が輝いているのは、撮り方はもちろん、孤独や不安といったそれぞれの胸の内がしっかり見えるから。思春期ドラマはかくあるべし、だ。
リアルなだけでなく、笑わせるところは笑わせる。風見鶏の教頭や高飛車な同級生など、憎めない小悪役、憎むべき悪役の配置も絶妙。そんなキャラクターのデフォルメにも河合監督のコミック・センスが光る。
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