見どころ:テレビアニメ化や舞台化もされた夜宵草のコミックを実写化した青春ラブストーリー。27歳のニート青年が容姿を若くして社会復帰する実験に参加し、17歳の高校生となって恋と青春を謳歌(おうか)する姿を捉える。メガホンを取るのは、『ルームメイト』『クローバー』などの古澤健。主演は『青鬼 ver.2.0』『四月は君の嘘』などの中川大志と『青空エール』『キセキ −あの日のソビト−』などの平祐奈。映画オリジナルの結末に注目。
あらすじ:ある事件が原因で新卒で入社した会社を3か月で辞め、ニートになってしまった海崎新太(中川大志)。ある日、彼はリライフ研究所の夜明了と出会い、1年限定で研究所が行う社会復帰実験の被験者になる。それは容姿を若返らせて学園生活を送るというもので、再び高校生になった彼はさまざまな仲間との出会いを経て人生に前向きになり、コミュニケーションが苦手な日代千鶴(平祐奈)に惹(ひ)かれる。しかし、実験が終了すると周囲の者たちの記憶から、彼の存在が消えるというつらい現実が待ち構えていた。
社会人生活に挫折した無職の27歳ニート男性が、新薬の実験で17歳に若返って高校生活をやり直すことで人生に目的を見出していく。ティーン向けのラブコメばっかな日本映画界ってのもどうなのよ…と思う昨今、これはちょっと変化球的な面白さのある作品だ。
同級生との関わりで忘れかけていた夢や希望を取り戻しつつ、人生の先輩として彼らの悩みや迷いと向き合っていく主人公の物語は意外にも深みがある。青春の眩しい煌めきを大人目線で捉えた瑞々しいタッチも悪くない。
まあ、新薬の開発目的がいまいち分かんねえよとか、元会社員とはいえ20代でそんな広いマンションに住めるわけねえだろとか、突っ込みどころは多々あるけど。
さすがは今、引っ張りダコの元子役! 18歳の中川大志が27歳のニートを演じる本作最大の課題は軽くクリアしている。流行りのタイムリープモノの変化球にして、1年後は記憶が失われる難病モノ的要素、さらに『25年目のキス』に代表される“バック・トゥ・スクール”要素も入っているが、基本描かれるのは恋と友情の高校生活。そのため、夏祭りや学園祭など、1年の行事的を追う意味では、もはや新鮮味はない。とはいえ『PとJK』に続き、助演としての高杉真宙の巧さも光っており、映画オリジナルの着地点も悪くない。バンプの「天体観測」がスタンダードになってない現代社会はどうかと思うが、それにしても、どれだけ出るんだ千葉雄大!