見どころ:西岸良平による人気漫画「鎌倉ものがたり」を、西岸が原作者である『ALWAYS』シリーズなどの山崎貴監督が実写映画化。人間だけでなく幽霊や魔物も住むという設定の鎌倉を舞台に、心霊捜査にも詳しいミステリー作家が新婚の愛妻と一緒に、怪事件を解決していくさまを描く。和装に身を包み多趣味なミステリー作家を堺雅人、年の離れた妻を高畑充希が演じる。そのほか堤真一、安藤サクラ、田中泯、國村隼、薬師丸ひろ子、三浦友和、中村玉緒らが出演。
あらすじ:鎌倉に住むミステリー作家・一色正和(堺雅人)のもとに亜紀子(高畑充希)が嫁いでくるが、さまざまな怪奇現象が起こる日常に彼女は戸惑ってしまう。犯罪研究や心霊捜査にも通じている正和は、迷宮入りが予想される事件の折には、鎌倉警察に協力する名探偵でもあった。ある日、資産家が殺害され……。
メインの舞台となる鎌倉から黄泉の国まで、徹底的にビジュアルをつくりこむ、いつもながらの山崎監督らしさ。ファンタジーの世界をビジュアル的に構築するうえで、これほど心強い才能はない。
原作のやわらかなユーモアを活かし、とげとげしさを排除したつくりは、堺雅人、高畑充希をはじめとする“ふんわり”したキャスティングにもうかがえる。安藤サクラによる軽いノリの死神には、とりわけ味があり、見惚れてしまった。
“前世からの運命”以外に惹かれ合う理由が語られないのでラブストーリーとしての重厚さに欠け、正直、薄味感は否めない。それでもロマンティックなムードを醸し出すのは、世界観の作りこみがなせる技。巧い。
ブログなどをご利用の方は以下のURLをトラックバックURLとして指定してください。