見どころ:『わたしは、ダニエル・ブレイク』などでイギリスの名匠ケン・ローチ監督と組んできた脚本家、ポール・ラヴァーティ脚本による人間ドラマ。売却された祖父の大切なオリーブの樹を取り返そうと、スペインからドイツまで旅する孫娘の姿を追う。『ゴースト・スクール』などのアンナ・カスティーリョ、『マーシュランド』などのハビエル・グティエレスらが出演。1本のオリーブの樹を通して描かれる物語が胸に染みる。
あらすじ:気難しい20歳のアルマ(アンナ・カスティーリョ)は、オリーブ農園を営む祖父(マヌエル・クカラ)にだけは心を開いていた。だが、父が樹齢2,000年のオリーブの樹を売ってしまった日から、祖父は一切しゃべらなくなった。アルマは最愛の祖父のためにその樹を取り戻そうとするが……。
祖父が愛したオリーブの樹を取り返そうとヒネた孫娘が頑張る。シンプルな物語のなかにスペイン農業の状況や不況にあえぐ人々の苦悩、ある出来事がきっかけで心が通じ会えなくなった父娘の関係といった人間ドラマを盛り込んだ構成がうまい。登場人物の描き方も丹念で、各人の気持ちもしっかり伝わる。環境保護を謳う企業の負の部分やSNSでつながる若者パワーが差し込まれるのでファンアタジックな締めになるかと思ったら、早とちり。製作陣の心意気はハードコア。好感度大! オリーブ農園を営んでいた設定なので美しい林が登場するが、それらはローマ人が植えたものという説明に心動かされた。2000年も生きるオリーブってすごい!
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