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写真家シンディ・シャーマンの私生活とアート界の裏表を元カレ監督が暴く!

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「復讐(ふくしゅう)じゃないよ」ポール・ハセガワ・オーバーアッカー監督
「復讐(ふくしゅう)じゃないよ」ポール・ハセガワ・オーバーアッカー監督 - 写真:Nobuhiro Hosoki

 写真家のシンディ・シャーマンの私生活とその活動に迫った映画『ゲスト・オブ・シンディ・シャーマン』(原題)の監督であり、元カレであるポール・ハセガワ・オーバーアッカーと共同監督のトム・ドナヒューに話を聞いた。シンディは現代社会の持つさまざまな出来事や問題を写真で浮き彫りにし、アメリカ現代アート界を代表する新鋭だ。

 本作は、あまり知られていない彼女の仕事ぶりとプライベートな生活を描いたドキュメンタリー作品。アメリカのケーブル局でアート番組の司会を務めていたポールが彼女と出会い、恋に落ちた5年間を描いたものだが、完成直前に2人は破局。シンディを描きながらも、シンディ自身が本作との関連を否定するというややこしい状況になっている。

‐まず製作の過程を教えていただけますか?

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(ポール・ハセガワ・オーバーアッカー)僕が1993年に友人とともに始めたテレビ番組「ギャラリー・ビート」(原題)で使われていた映像を基に、一度企画していた映画を共同監督のトムと組んで再び製作することになった。僕はそのころシンディと付き合っていて、よくアーティストはテレビを観ないという人たちが多いんだけど、シンディはこの番組を観ていて、気に入ってくれていた。

‐これほどまでに落札額などを含め、現代アートが流行になると思っていましたか?

(トム・ドナヒュー)現代アートには興味があったけど、映画を中心に製作してきた自分にとって、それがどれほどの集客力を持っているのかはっきり理解していなかった。だから、わたしにとって本作の中核にあるのはシンディとポールの普遍的な恋愛だと考えている。劇中には「ギャラリー・ビート」の映像と2人の恋愛、そして彼らが陥った精神的危機を描いた3部構成になっていて、その結果彼らの関係に影響を及ぼし、アートの世界に秘密がバレてしまう形になるんだ。

‐この映画を製作したことで、恐らくあなたは二度とシンディと話す機会がなくなる可能性があったわけで、なぜそのようなリスクを背負ってまで完成させたのでしょう?

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(ポール・ハセガワ・オーバーアッカー)それが芸術だからさ! もちろん、僕の映画が芸術だと言っているわけじゃなく、やり方のことだよ。極端な手段を取らねば人は興味を示さないだろう? 実際、ほとんどの人はアート世界がどういうものなのか理解していないし、アートの世界もその中身を公表したりはしないんだ。現実に信じられないほどの金額がこのアートの世界に注ぎ込まれていて、「なぜこの作品にこんな値段が!?」って思うときがあるだろ? この映画では、そういった疑問点について説明もしているんだ。

(トム・ドナヒュー)この映画の製作を始めた2003年に彼女の作品の一つが2,000万円の価値になった。1993年の落札額は200万円だったのに。そして2007年には彼女の作品の一つが約2億円で落札された。その4年間に一体何があったのか? 知りたくなるのは当然だ。

(ポール・ハセガワ・オーバーアッカー)もともと僕のテレビ番組は、そういったアート・ビジネスを展開することに対して問題提起をするというスタンスの番組だったんだ。法的には価格の提示をしなければいけないはずなのに、あくまで作品が値段を証明しているとういうことで、具体的に明かされることはないんだよ。一般の人たちはアートディーラーの連中が金額の半分以上を持っていっているとか、誰が購入しているのかなんて知らないだろう? こんなビジネスほかにあるかい?

 ポールにインタビューしながら、彼はシンディが与えてくれた素晴らし過ぎる環境下に嫌気が差したのではないかと感じられた。本作は人の価値の対象を十分気付かせてくれる作品になることは間違いないだろうが、少なくとも元カレの復讐(ふくしゅう)映画ではないことは確かだ。(取材・文:細木信宏)

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