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鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督を直撃!フロイトとユングのアブナい関係とは?映画『ザ・フライ』の続編は頓挫

鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督を直撃!フロイトとユングのアブナい関係とは?映画『ザ・フライ』の続編は頓挫
デヴィッド・クローネンバーグ監督

 映画『ヒストリー・オブ・バイオレンス』や『イースタン・プロミス』などを手掛けたカナダの鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督が、現在開かれているニューヨーク映画祭(N.Y.F.F 49th)に出展している話題作『ア・デンジャラス・メソッド(原題) / A Dangerous Method』についてインタビューで語ってくれた。

 同作は、駆け出しのスイスの心理学者カール・ユング(マイケル・ファスベンダー)と、彼の恩師であるオーストリアの精神分析学者ジークムント・フロイト(ヴィゴ・モーテンセン)は、ロシアの女性患者サビーナ・シュピールライン(キーラ・ナイトレイ)を通して分析心理学の研究を進めていくが、ユングと彼女の関係が深まるにつれ、変化が生じていくというドラマ作品。

 カール・ユングとジークムント・フロイトとの関係をリサーチした際に驚いた点について「いろいろな意味で驚かされたよ。ある部分は知っていたが、二人の関係がこれだけ複雑な関係であるとは知らなかった。この二人は手紙交換をしていた仲で、その内容がこれほど現代的な感覚を持ち合わせているとは思わなかったんだ。彼らは、どんなことでもお互い話し合っていて、その中には体の部分を含めたセクシャルなこと、そして夢のことなどを臨床的に、時にはユーモアを織り交ぜながら文通をしていて、そこが現代的だと感じたんだ」と語った。その手紙の中でも特に驚かされた内容とは「当時の心理学者は、オーガズムのことについては語ることはなかったが、彼らは語るだけでなく、自分の体験談にも触れ、さらに家族の生活についても詳細に親密に記述しているんだよ。だから現代の心理学は、彼ら二人の影響によるものだと、改めて気付かされたんだ」と明かした。

 ジークムント・フロイト役に、映画『イングロリアス・バスターズ』のクリストフ・ヴァルツを最初に考慮に入れていたらしいが、最終的にヴィゴ・モーテンセンをキャスティングしている理由とは「ヴィゴのすべてにおいてだ。俳優としてでだけでなく、セットで働く人としてもだ。彼は熱心で忠誠的、さらに堅実な片腕となる仕事仲間としても素晴らしい人間なんだ。彼の下準備は伝説的だが、(厄介な)メソッド演技法(役柄の内面を通して、感情を追体験すること)を使用する俳優ではない。だから、セットでも彼が変なことをすることはないし、お互いがジョークを言い合って笑っていることも多く、ユーモアのあるセットになっている。どんなダークでシリアスな撮影でも、ユーモアがあってバランスを保たなければいけないと(お互いが)思っているんだ。でも、いくら僕が好きな俳優だからっといって、ミスキャストをしたりはしないよ! だから、僕の次回作『コスモポリス(原題) / Cosmopolis』には、彼は出演していないんだよ……」と3度目のコラボレーションとなるヴィゴをこのように評価している。

 ジークムント・フロイトが、この映画内の設定よりも以前にコカインを使用していたことあったことについて「彼は一時期だけ、コカインの使用が(精神分析上での治療法の)解答だと勘違いしていた時期があった。もちろん、多くのコカインの常用者はずっとそう思っているかもしれないが……。その時のフロイトは(コカインを)体験し、効果的なドラッグと思っていたようだが、彼の友人がかなりひどい中毒者になり、廃人になってしまったため、危険なドラッグと判断したようだ」とフロイトの意外な情報を教えてくれた。

 映画は、心理学や精神分析に偉大な功績を残したフロイトとユング、さらにその狭間で生きた女性シュピールラインの情熱が、時代を超えて伝わってくる傑作に仕上がっている。

 最後に新作とは話がそれるが、以前に彼がメガホンを取った映画『ザ・フライ』の続編を執筆している話を聞いたところ、「今のところは、“死んだハエ”(企画倒れ)だね(笑)。ある人たちは最近の僕の作品を観て、もっとシリアスな監督で、もうホラー作品などは制作しないと思われがちだが、どんなジャンルでも手掛けたいと思っているんだ。確かに、『ザ・フライ』の続編としての設定で脚本を書いたが、オリジナルのキャラクターとの繋がりはないんだ。ただ、続編の映画化権を持っている配給会社20世紀フォックスが、この企画を進めるつもりが今のところないんだよ……。僕自身はやる気があるけれどね」と少し残念な話を聞かせてくれた。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)


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