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巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督を直撃!ピーター・ジャクソン監督とタッグを組んだ『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』とは?

巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督を直撃!ピーター・ジャクソン監督とタッグを組んだ『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』とは?
巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督を直撃!(右はピーター・ジャクソン監督) - Jon Kopaloff / FilmMagic / Getty Images

 映画『E.T』、『ジュラシック・パーク』などの娯楽作品から、映画『シンドラーのリスト』、『プライベート・ライアン』というシリアスな秀作まで手掛けてきた巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督が、映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのピーター・ジャクソン監督とタッグを組んで製作した映画『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』について語った。

 同作は、少年記者タンタン(ジェイミー・ベル)と彼の愛犬スノーウィは、ある日ノミの市で17世紀にこつ然と消息を絶った帆船“ユニコーン号”の模型を手に入れる。だがその直後、見知らぬ人から追いかけ回されることになってしまい、その理由が“ユニコーン号”の模型には暗号が記された巻物が隠されていたからと知ることになる。そして、その暗号を解くために、タンタンとスノーウィは大冒険の旅に出て行くというアクション/ドラマのアニメ作品。ベルギーの漫画家エルジュの代表作「タンタンの冒険旅行」の「なぞのユニコーン号」を映画化している。

 ノーマン・ロックウェル(アメリカの画家、イラストレーター)の収集家であるスピルバーグ監督は、この新作『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』にもロックウェル作品が反映しているように見えた点について「ノーマン・ロックウェルは僕の好きなアーティストの一人で、僕は新聞に掲載されていた彼のイラストを見て育ったんだ。“百聞は一見にしかず”と言うとありふれているかもしれないが、彼のイラストはまさにそうで、彼はイラストを通してアメリカの家族やコミュニティを語っているんだ。なぜ、この新作の映像がノーマン・ロックウェルを彷彿させるかと言うと、それはカラーの染色にあると思う。この映画でははっきりとした明るい色を使っていて、ノーマン・ロックウェルも鮮明な色を使って描いていたからだと思うんだ」と述べたスピルバーグ監督は、同じくノーマン・ロックウェルの収集家であるジョージ・ルーカスとノーマン・ロックウェル作品の展示会を開いたこともあったそうだ。

 毎作ごとに世界中から期待されているプレッシャーには、どのように対応しているのだろうか。「プレッシャーを感じるのはあくまで製作過程だけなんだ。公開後、(観客の間で)何が起きようと僕には関係のないことだと思っている。なぜなら、僕の映画が人々の人生に影響を与えようが、与えまいが、すべては映画の公開後に起きたことなんだ。つまり、あえて僕が映画製作という内側のドアを開けてまで、外側にある(人々からの)プレッシャーを受けることはないということだ」と製作自体に全力を注ぎ、あとは観客にその解釈を委ねているようだ。

 スピルバーグ作品の主役を通してのストーリー構成は、娯楽性があるだけでなく、人生のレッスンとしても学べるため、そのような映画を製作するコツとはなんだろうか。「映画自体がいろいろなコラボレーションを必要とする芸術なんだ。だから、何か一つが欠けていても駄目だ。さらに、すべての分野でそれぞれ適任の人物を雇っても、上手くいかないこともあるんだ……。つまり僕は、このコラボレーションということをいつも再確認しながら撮影している。そんな僕の周りには、いつもクリエイティブな人たちが、一つ一つの枝(えだ)として僕を支えてくれているんだよ」とコラボレーション無しには制作はありえないことを明かした後、さらに「その中でも、ずっと僕の制作のパートナーであるキャスリーン・ケネディは重要な人物で、1983年に彼女とともに漫画家エルジュが描いた原作の著作権を得たんだ。あれから20年以上経つが、その間は彼女から、いつかきっとこの映画を作ることを忘れないでねと、ずっと言われてきていたんだ……(笑)。そのほかにも、映画『アバター』などを手掛けたWETAのスペシャル・エフェクト・スーパーバイザー、ジョー・レッテリの助けが無ければ(この映画は)成り立たなかったし、製作を共にしたピーター・ジャクソンは、落ち着いた態度でいつも僕を笑わせてくれ、僕が持っていた製作へのプレッシャーも取り除いてくれたんだ。そのうえ、ピーターがこの映画の主役タンタンには、ジェイミー・ベルがふさわしいとキャスティングを勧めてくれたんだ」と常に素晴らしい人材が揃っている環境下で仕事をしているようだ。

 この映画の主役タンタンとスピルバーグの共通点については「主役タンタンは決してボールを落としたりする(失敗する)ようなことはないんだ。カミソリのような繊細なビジョンで、シャーロック・ホームズのように問題を解決していく。さらにタンタンは、世界中を駆け回って良いストーリーを探しているジャーナリストで、それは僕の映画へのアプローチの仕方に似ていると思うんだ。なぜなら、僕も世界中を駆け回って、人々の伝えたいストーリーを探している。それに僕も一度このストーリーと決めたら、そのストーリーにどんどん没頭していくため、その点もタンタンに似ているかもしれない」と明かした。

 映画『インディ・ジョーンズ』シリーズで共に仕事をしたジョージ・ルーカスと、今作で共に仕事をしたピーター・ジャクソンとの仕事を比較してみて「まずジョージとの製作は、彼がコンセプトを思い浮かべ、それから彼が脚本を執筆して、その一度完成した脚本を、再び僕らが見返す作業をするんだ。ただ、いったん僕が監督し始めたら、ジョージはその撮影期間から編集作業をするまでのおよそ6、7か月間は、僕と全く会わないんだよ。一方、ピーター・ジャクソンは、ニュージーランドの朝4時に、僕がロサンゼルスから送った映像をモニターで確認しながら観てくれていた。およそ31日間掛かったモーション・キャプチャーの撮影では、レンズなどについてアドバイスもしてくれたんだ。だから、彼のもとで共同制作できるのなら、(3Dの撮影やモーション・キャプチャーに関して)安心だと思っていたんだ」と監督によってコラボレーションのアプローチの仕方が変わることも教えてくれた。

 映画内で主役のタンタンが、モロッコで空中を飛び回るシークエンスがワンショットで撮られた素晴らしいシーンがあるが、今後ワンショットで映画を撮影することはあるのだろうか。「ヒッチコックが映画『ロープ』で随分長いワンショットで撮影していたよね。アナログの時代では、フィルムを交換しなければならなかった。だいぶ、デジタルの時代になってから変わってきているが、僕が最も好きなワンショットで撮影された映画は『エルミタージュ幻想』で、およそ96分もワンショットで撮影している。彼らは全部で3度撮影を行ったらしいが、最初の2テイクは、カメラを回してから20分くらいで止めてしまったらしい。それに、ステディカムを回していた撮影監督は、何度も危険な目に遭いながら撮影していたそうだ。あの作品は完成度が高いが、僕が将来映画をワンショットで撮ることはないと思う。なぜなら、カットとクローズアップを使うことで、もっとより明確なストーリーを伝えられるからでもあるんだ」と彼独自の手法を極めていくつもりでいるようだ。

 最後に『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』の続編について「今、脚本が執筆されている状態だ。次回作は、ピーター・ジャクソンが監督することになっている。ただ、ピーターが今制作している映画『ホビット』を撮影した後になる予定だ。僕もプロデューサーとして参加するつもりだ。また、ピーターと仕事をするのが待ち遠しいよ!」と報告してくれた。

 映画は、モーション・キャプチャーと3Dの魅力を余すことなく映像として映し出していて、大人から子どもまで楽しめるスピルバーグ特有の娯楽作品になっている。スピルバーグ監督の思慮深さ、気遣い、そして映画への愛情につくづく感心させられる取材だった。  (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)


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