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「女性向けセックス観光」 ヨーロッパの影描くコンペ作品がカンヌで初お披露目

第65回カンヌ国際映画祭

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ヨーロッパの現状をカリブを舞台に映し出した、ウルリヒ・ザイドル監督(右)とマーガレット・ティエセル
ヨーロッパの現状をカリブを舞台に映し出した、ウルリヒ・ザイドル監督(右)とマーガレット・ティエセル - 写真:高松美由紀

 現地時間5月18日、第65回カンヌ国際映画祭のコンペティション作品で、オーストリア、ドイツ、フランス製作による衝撃作『パラダイス:ラブ(英題) / PARADISE: Love』が公式上映され、ウルリヒ・ザイドル監督ほか、マーガレット・ティエセル、ピーター・カズング、インゲ・マックスらが作品について語った。

 ケニアを舞台に「ヨーロッパの女性向けセックス観光」がテーマとなる本作。何故アフリカを舞台に本作を撮ろうとしたのか、という問いに対して、ザイドル監督は「最初カリブ諸島を舞台にリサーチしていたが、最近のアフリカ諸国の高い存在感、またヨーロッパにより近く、実際に“シュガーママ”(富裕女性)がアフリカのリゾート地に多く存在することを知って、ケニアを舞台にしようと決めた」と述べた。

 そんなシュガーママの一人を演じているインゲ・マックスは「この映画に関わることになってから、ある一人のヨーロッパ女性に実際の話を聞いた。彼女から、夫を亡くしたばかりのときにアフリカで“ビーチボーイ”(リゾート地の情夫)に出会い、悲しみを癒やしてもらったという経験談を聞いて、この映画のテーマに対し、リアリティーを感じながら演じられるようになった」と告白。

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 またザイドル監督は、ビーチボーイたちのシビアな現状も説明。ケニアをはじめとするアフリカ諸国では、経済状況の不安定性から、一般男性が終身雇用を得ることが難しい。そんな状況の中、多くの若い男性はビーチボーイという職業をとても冷静に見ており、シュガーママに気に入られ、どれだけ長い雇用を得られるか、必死に努力している」と言及。このコメントに対してインゲは「何が良くて、何が悪いかは言及しないが、多くのシュガーママは、かこっているビーチボーイたちに家、教育、家族への経済支援など、とんでもなく大きな役割を果たしている」と説明した。

 変動するヨーロッパの社会性を如実に表した映画が、コンペティション部門から毎年世界に発信されることが、カンヌ国際映画祭の最大の魅力。ヨーロッパとアフリカの裏の関係性をはっきりと描いた本作は、ショーレース前半戦のダークホースとして注目されている。(記者:高松美由紀)

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