黒澤明監督フランス語通訳が明かす秘話 『乱』に密着したドキュメンタリー上映

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2人の巨匠との思い出を振り返ったカトリーヌ・カドゥー - 写真:中山治美

 開催中の第13回山形国際ドキュメンタリー映画祭では今年、昨年7月に亡くなったフランスのクリス・マルケル監督の特集上映が行われている。12日には、黒澤明監督を追ったドキュメンタリー映画『ドキュメント黒澤明 A・K』(日仏合作、1985)が上映され、黒澤監督とマルケル監督の橋渡しをした翻訳家のカトリーヌ・カドゥーが当時の秘話を語った。

 1984年11月、黒澤監督『』(1985)の御殿場ロケに密着した同作品。マルケル監督ならではの視点で、驚きの手法で美しい映像を生み出していく黒澤監督の指揮官ぶりや、その要求に見事に応えるベテランスタッフたちの仕事ぶりを映していく。さらにこの日上映されたのは、東京大学元総長で映画評論家の蓮實重彦ナレーション・バージョンだ。

 長年、黒澤監督の仏語通訳を務めていたカドゥー。当時フランスからの密着依頼に黒澤監督が「カトリーヌと一緒じゃなければマルケル監督に会わない」と条件を出したことから、両者の間に入ることになったという。カドゥーは「黒澤監督はシャイな方でしたからマルケル監督との初対面の席にわたしを呼んだのでしょう。そうして完成した作品は、通常のメイキング映像とは異なるユニークなものになりましたが、マルケル監督は黒澤監督の映画の作り方や哲学を捉えたかったのだと思います」と説明した。

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 河瀬直美北野武ら300本以上の日本映画の仏語字幕翻訳を手掛けているカドゥーだが、実は本作が字幕翻訳家デビュー作になる。その際、マルケル監督から「字幕の神髄」を教えてもらったそうで、個人的にも思い出深い作品なのだという。その教えとは、1.字幕は映像の邪魔をしてはいけない。そのために字幕は一行で収めること。2.日本は「秀虎、止まれ」のように固有名詞が先に来るが、英・仏語は本来なら逆になる。しかし字幕では逆に表記してはいけない。3.セリフにはリズムがある。そのリズムやトーンも同じように字幕で表すこと。

 カドゥーは「この教えを守ったからこそ、今の字幕翻訳家としてのわたしがいます」と語り、天国にいる2人の巨匠に感謝の言葉を捧げた。(取材・文:中山治美)

山形国際ドキュメンタリー映画祭2013は10月17日まで開催

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