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ホロコースト生還者が語る映画『サウルの息子』

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ヤーノシュ・ツェグレディさん
ヤーノシュ・ツェグレディさん

 アウシュビッツ収容所で同胞のユダヤ人の死体処理に従事した特殊部隊“ゾンダーコマンド”を扱い、第88回アカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされている映画『サウルの息子』について、ホロコースト経験者のヤーノシュ・ツェグレディさんがインタビューで語った。

【写真】銃を突きつけられる『サウルの息子』主人公

 ヤーノシュさんは1937年ハンガリー・ブタペスト生まれ。7歳の時にゲットー(ユダヤ人の強制居住区)に身を潜めて暮らし、迫害を生き延びた。強制収容所に送られ離ればなれになった両親は奇跡的に生還したが、ほとんどの親類は虐殺されたという。戦後、ピアニストとして成功し1967年に来日。音楽大学で教鞭をとるなどし、退職後の現在も指導にあたっている。

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 本作を「ドキュメンタリーのようにリアルに、ナチスに虐げられたユダヤ人を描いている」と評す一方で、「この映画が意味することを日本人が本当に理解するのは難しい」と話し始めたヤーノシュさん。本作はユダヤの人々を巡る歴史の「本当に一点だけ」を捉えたものだと強調し、紀元前に始まったユダヤの人々への迫害から、現代の中東問題まで話は及んだ。それだけユダヤの歴史を知るヤーノシュさんと、日本人では「この映画から感じることは違う。この作品がユダヤ人の歴史を知るきっかけになってほしい」と続けた。

 ホロコーストの体験は辛く、話すことを避けてきたというヤーノシュさんだが、「忘れてはいけない出来事でもあるし、この話を後世に伝えることで、もしかしたらあんな事は二度と起きないかもしれない」という思いから自身の経験を語るようになったそうだ。「戦争が無ければ祖国ハンガリーで育ち、学び、日本に来ることはなかっただろう」と話すヤーノシュさん。その瞳からは、悲劇を乗り越え、未来へ希望を託そうとする強い思いが溢れていた。(編集部・海江田宗)

映画『サウルの息子』は新宿シネマカリテほかにて公開中

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