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2018年 第75回ベネチア国際映画祭コンペティション部門21作品紹介

第75回ベネチア国際映画祭

 8月29日~9月8日(現地時間)に開催される第75回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門21作品を紹介(コンペティション外を除く)。今年の審査委員長は、昨年『シェイプ・オブ・ウォーター』で金獅子賞を受賞し、その後アカデミー賞でも作品賞を獲得したギレルモ・デル・トロ監督。日本からは、池松壮亮蒼井優共演、塚本晋也監督が初めて時代劇に挑んだ『斬、』が出品。その他、『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督がライアン・ゴズリングと再タッグを組んだ新作や、ジョエル&イーサン・コーエン兄弟の最新作、ナタリー・ポートマンが新境地に挑んだ注目作など、豪華ラインナップが揃い踏み。その後の賞レースにも影響を及ぼす金獅子賞、今年は誰の手に!(文:岩永めぐみ/平野敦子/本間綾香/編集部 浅野麗)

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<金獅子賞(最優秀作品賞)>『ローマ(原題) / Roma』

製作国:メキシコ
監督:アルフォンソ・キュアロン
キャスト:ヤリーツァ・アパリシオマリナ・デ・タヴィラ

【ストーリー】 1970年代のメキシコ。先住民の血を引く若い女性クレオと同僚のアデラは、メキシコシティー・ローマ地区の中流家庭でメイドとして働いていた。四人の子供の母親と留守がちな夫が暮らす家で、クレオは次第に四人を自分の子供のように思うようになり、必要以上に彼らを守る気持ちが強くなっていく。

【ここに注目】ゼロ・グラビティ』でアカデミー賞監督賞、編集賞など7部門を制したアルフォンソ・キュアロン監督が手がけた半自伝的人間ドラマ。ハリウッドで活躍する実力派監督が祖国に戻り、1970年代のメキシコを舞台にごく普通の家族の日常をとらえる。メキシコのテレビを中心に活躍するベテラン女優マリナ・デ・タヴィラをはじめ、新人俳優も幅広く起用。原点回帰した監督の意欲作が、審査委員長を務める同胞のデル・トロ監督の心を動かす可能性は高い。

<銀獅子賞(最優秀監督賞)>ジャック・オーディアール監督『ザ・シスターズ・ブラザーズ(原題) / The Sisters Brothers』

製作国:フランス、ベルギー、ルーマニア、スペイン
監督:ジャック・オーディアール
キャスト:ホアキン・フェニックスジョン・C・ライリー

【ストーリー】 イーライ&チャーリー兄弟にとって殺しは単なる職業であり、特に弟のチャーリーはそのために生まれてきたような人間だった。提督に雇われ、ある人物の殺しを命じられた彼らは、オレゴンからカリフォルニアへ、容赦ない追跡を開始する。

【ここに注目】 カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した『ディーパンの闘い』などのジャック・オーディアール監督が、初の英語作品、初の西部劇に挑戦。ゴールドラッシュに沸くアメリカを舞台に、残忍な殺し屋兄弟を暴力とユーモアを交えて描いたパトリック・デウィットの同名小説を映画化した。原作とは兄弟の設定が反対で、粗野なチャーリーが弟、内気だがキレると豹変するイーライが兄となり、それぞれをホアキン・フェニックスとジョン・C・ライリーが演じる。

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<審査員大賞><最優秀女優賞>オリヴィア・コールマン『ザ・フェイヴァリット(原題) / The Favourite』

製作国:イギリス、アイルランド、アメリカ
監督:ヨルゴス・ランティモス
キャスト:オリヴィア・コールマンエマ・ストーン

【ストーリー】 18世紀初頭、イングランドでは病弱な女王アンに代わり、世話係を務める幼馴染みのレディ・サラが実権を握っていた。そこへ、新しい召使いのアビゲイルがやってくる。サラは彼女の魅力に好印象を抱いていたが……。

【ここに注目】ロブスター』でカンヌ国際映画祭審査員賞、『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』で同映画祭脚本賞を受賞した鬼才ヨルゴス・ランティモス監督。新作は、『ロブスター』で組んだオリヴィア・コールマンとレイチェル・ワイズがそれぞれアンとサラを、さらにエマ・ストーンがアビゲイル役で加わり、実力派女優3人の豪華競演が実現した。ランティモス監督らしい笑いすれすれの狂気が漂う異色時代劇は、ベネチアでも話題を集めること必至。

<最優秀男優賞>ウィレム・デフォー『アット・エターニティーズ・ゲイト(原題) / At Eternity’s Gate』

製作国:アメリカ、フランス
監督:ジュリアン・シュナーベル
キャスト:ウィレム・デフォールパート・フレンド

【ストーリー】 19世紀のフランス。芸術家として世に出ようとオランダからパリに移り、前衛芸術家たちに出会ったゴッホだったが、周囲の人々からの無理解や拒絶に打ちのめされてしまう。ゴッホは人生を立て直そうとアルルへ向かうが、認められたいと願うあまり病と抑うつ状態の中で錯乱していく。

【ここに注目】 監督デビュー作『バスキア』でベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品、自身も画家でもあるジュリアン・シュナーベル監督が、オランダ出身の画家ゴッホを描く伝記ドラマ。タイトルはゴッホが精神病棟で描いた作品の名から取っており、アルル、サン=レミ時代のゴッホの苦悩を描いている。ゴッホにはウィレム・デフォーが、共同生活を送ったゴーギャンにはオスカー・アイザックが扮している。

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<最優秀脚本賞>イーサン・コーエン&ジョエル・コーエン『ザ・バラード・オブ・バスター・スクラッグス(原題) / The Ballad of Buster Scruggs』

The Ballad of Buster Scruggs

製作国:アメリカ
監督:イーサン・コーエン、ジョエル・コーエン
キャスト:ティム・ブレイク・ネルソンジェームズ・フランコ

【ストーリー】 アメリカ開拓時代を舞台に、6本の短編で構成されている西部劇。タイトルにあるバスター・スクラッグスとは、1本目の短編で主人公として描かれるカウボーイの名前。

【ここに注目】 コーエン兄弟監督・脚本の最新作。全6話のテレビシリーズになるはずが一転、6つの短編で構成された長編映画(132分)として公開が決まった。主役バスターをティム・ブレイク・ネルソンが演じるほか、ジェームズ・フランコ、ゾーイ・カザンリーアム・ニーソンらが出演。2010年に手掛けた『トゥルー・グリット』では、アカデミー賞で10部門ノミネートされるなど西部劇も定評のある彼らだけに、今後オスカーレースにも食い込んでくる可能性が非常に高い注目作。

<審査員特別賞><マルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞)>バイカリ・ガナンバール『ザ・ナイチンゲール(原題) / The Nightingale』

The Nightingale
(C) Kasia Ladczuk

製作国:オーストラリア
監督:ジェニファー・ケント
キャスト:アシュリン・フランシオーシサム・クラフリン

【ストーリー】 1825年のオーストラリア・タスマニア州。有罪判決を受けた若いアイルランド人女性クレアは、自分の家族を痛めつけたイギリス人将校ホーキンスに復讐するため、同じくトラウマを抱えるアボリジニのビリーに協力を求める。

【ここに注目】 今回のベネチア国際映画祭コンペティション部門で、唯一の女性監督となるジェニファー・ケント監督。長編デビュー作となったホラー映画『ババドック ~暗闇の魔物~』に次ぐ第2作は、タスマニアの荒野を舞台に、絶望にあえぐヒロインの緊迫したドラマを描く。主人公クレアを『ゲーム・オブ・スローンズ』のアシュリン・フランシオーシが、イギリス人将校ホーキンスを『ハンガー・ゲーム』シリーズのサム・クラフリンが演じる。

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『斬、』

製作国:日本
監督:塚本晋也
キャスト:池松壮亮、蒼井優

【ストーリー】 江戸時代末期。250年の間、続いた平和な時代が、開国をめぐり大きく揺れ動いている。江戸近郊の農村に暮らす一人の若い浪人も、その時代の波に翻弄されようとしていた。

【ここに注目】 前作『野火』に続いてベネチア国際映画祭コンペティション部門に3度目のノミネートを果たした塚本監督の新作は、監督作品としては自身初となる時代劇。江戸末期の激動期、若い浪人と彼に関わる人たちを通して生と死の問題に迫るという。主人公の文武両道の浪人を『万引き家族』『君が君で君だ』など話題作への出演が続く池松壮亮が演じ、昨年『彼女がその名を知らない鳥たち』で多くの賞を獲得した蒼井優が共演する。

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