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橋本愛、東京が大好きになった 心境の変化を語る

昔は「東京は嫌いだった」という橋本
昔は「東京は嫌いだった」という橋本

 映画『バースデーカード』で天国にいる母の思いを受け止めながら、少女から大人の女性へと成長していく主人公を等身大で演じた橋本愛(20)。『告白』で鮮烈な印象を残してから早6年、さまざまな作品で活躍し続ける橋本が、本作への思いやデビュー当時の葛藤を語った。

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 本作は、『江ノ島プリズム』などの吉田康弘監督が自ら書き下ろしたオリジナル脚本を映画化した感動の人間ドラマ。橋本演じる紀子が10歳のとき、自身の余命を悟った母・芳恵(宮崎あおい)は、子供たちが20歳になるまで毎年、誕生日に手紙を送ることを約束し、この世を去る。そして、その言葉通り紀子のもとに母から届けられるバースデーカードには、紀子を大人の女性へと導く“人生のヒント”が記されていた。

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 これまで個性的な役が多かった橋本は、「王道をいくど真ん中の作品をやったことがなかったのでとても新鮮でした。ごく普通の人たちの人生に“輝き”を見いだしていくところに愛おしさを感じた」と笑顔を見せる。さらに「前向きなエネルギーをすごく感じたし、母親という存在が一人の人間として娘の目に映る瞬間も好きですね。わたし自身も、母を一人の女性として認識する時期があったのでとても共感できた」とかなり手応えを感じているようだ。

橋本愛
(C) 2016「バースデーカード」製作委員会

 ただ一点だけ、自身の経験から、紀子が自立していく過程を描く中で不安要素があったという橋本。当時、まだ出演は決まっていなかったが、脚本に心酔していたことから、吉田監督と積極的にディスカッションを行ったという。「もともとの脚本は、20歳までお母さんからのメッセージを素直に受け止めて、そのまま順調に自立して結婚、という流れだった」そうで、「わたしの経験上、反抗期もないまま20歳になった紀子ちゃんが、自分の足で立っている姿が想像できなくて。すごく足腰が弱そうで怖いです」と思いを伝えたという。

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 これに共感した吉田監督は、すぐに脚本を修正。多感な時期に差し掛かった紀子が自我に目覚め、母親からのメッセージを素直に受け入れられない、という描写が加えられ、紀子の成長過程がよりリアルで健全なものに生まれ変わった。「理解と共感がないと紀子ちゃんになれないので、彼女と同じ頃の自分の気持ちを引っ張り出してきた」という橋本。その思いが、本作の隅々に生きている。

 さかのぼれば『告白』(2010)に出演していたころはまだデビューから間もなく、演技が高く評価されていたものの、女優になるという意思が固まる前の中学生。「当時はまだ子供で、人と話すのが苦手でしたね。故郷(熊本県)が恋しくて、東京は嫌いだった」と振り返る。そうした多感な時期を乗り越えて、近年は舞台にも挑戦し、女優としてさらに進化した姿を見せている。「今では東京が大好きになりましたね。それもわたしにとっては劇的な変化かな」と笑顔を見せる橋本。紀子同様、健全な成長過程があったからこそ、橋本は今しっかりと自分の足で立っている。

 本作は漫画や小説の映画化ではなく完全オリジナル脚本。それだけに付加価値に頼らず、純粋に内容勝負となるが、橋本は「何も色の付いていないまっさらなところから、ここまで繊細に丁寧に、感動できる作品を作り上げたという充実感はありますね。物語はとても王道ですが、本物(リアル)にこだわったとても豊かな作品になった」と自信をのぞかせる。「今、女優として映画で勝負する、という気持ちが高まっている」という橋本の目に、自立した紀子の姿が重なった。(取材・文・写真:坂田正樹)

映画『バースデーカード』は10月22日より全国公開

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