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木村拓哉、役者として圧倒的な存在感 『無限の住人』で自ら課した条件

木村拓哉、役者として圧倒的な存在感 『無限の住人』で自ら課した条件
不老不死の肉体を持つ片目の侍・万次 - (C) 沙村広明/講談社 (C) 2017映画「無限の住人」製作委員会

 沙村広明の人気コミックを実写化する『無限の住人』(三池崇史監督、2017年4月29日公開)で、『武士の一分(いちぶん)』以来、約10年ぶりに時代劇映画の主演を務める木村拓哉。日本映画のみならず、『2046』(香港、ウォン・カーウァイ監督)や『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』(フランス、トラン・アン・ユン監督)と海外作品にも出演し、役者としてのキャリアを20年以上積んできた。そんな木村が新たに挑んだのは、不老不死の肉体を持つ片目の侍・万次という難役。今年1月8、9日に報道陣に公開された撮影現場には、豊富な経験を存分に発揮し、圧倒的な存在感を放つ木村の姿があった。

 同名原作コミックの全30巻を濃縮した本作は、不死身の剣士・万次が自分の妹に似た少女・凜(杉咲花)の復讐(ふくしゅう)を手伝い、激闘に身を投じていく姿が描かれる。当日撮影されたのは、凜の仇討ちの相手・天津影久(福士蒼汰)との最終決戦で物語のクライマックスシーン。顔から首、大きな傷のある胸、手などが血で染められている木村。いざ演技に入ると目をカッと見開き、セリフの語尾を強めてすごむ。剣を振り上げ風格を漂わせながら、歯を食いしばり、激しく刃を交わしていった。撮影の合間には福士と二人で確認しながら殺陣の動作を作っていき、気になることがあればスタッフに提案もしていく。木村の考えが三池監督に受け入れられ、実際にセリフが変わったところもあった。

無限の住人
木村と話しながら動きを作っていった天津影久役の福士蒼汰と、三池監督

 木村は真冬の寒空の下でも、素肌に着物、裸足に草履だけという姿で、防寒着を着ることもなく現場に居続けた。照明などのセッティングの際には通常、俳優の代理を務めるスタンドインを活用するが、それさえも自分で行った。その裏には、木村が自らに課した条件がある。「原作に描かれている彼が隻眼なので、まずは特殊メイクで片目をふさいで刀傷をつけて、白黒の着流しを着て素足に草履。それが今回の万次として、木村として三池組の現場に居られる条件」と身を律する。

 片目で芝居をするのは、普段とは感覚的な違いなどから難しい面もありそうだが、「変に自分として考えたり、何かを打破しようとすると、それが全部キャラクターに対する必要のない負荷になっちゃう」と意に介さない。殺めた相手の武器を自分の物にしていく万次の細かな心情にも気を配り、「物によって戦い方や使い方が違うので、それぞれの物を使っている意味をちゃんと持たないと。映像では2秒以内の動きかもしれないけど、生意気ながら『やっておいてもいいですか?』と提案していろいろやらせてもらっています」とこだわり抜く。「現場で感じたことを形にして、生み出していく作業が一番面白い」と醍醐味を明かす木村の目は輝いていた。

無限の住人
万次に復讐を手伝ってもらう凜役の杉咲花

 不安が全くなかったかと言えば、そうではない。「原作の世界観がひとつの正解として確立しているので、それを立体化させるというか、音や速度をつけて、原作の中には存在していない時間の流れを僕らが作る。ここ最近は漫画原作というのが正当なルールになってきていますが、舞台も時代背景も全く違うときにどんなふうになるかなって」。過去にアニメの実写化を経験した木村でも抱く不安。解消したのは、ほかでもない三池監督だ。

 1回で終わることの多い衣装合わせが、本作では3、4回繰り返された。原作者・沙村の作画集や劇中で使う武器などがずらっと並べられた会場で、「どうぞ、手に取って」と三池監督が促す。その日は着物に袖を通すことはなく終了し、実際に着物を着たときには特殊メイクの担当者も同席。その後も衣装合わせは繰り返された。その積み重ねが「『もう、何もないっすよね』というところまで監督が持って行ってくれた。僕はそう受け取っている」と木村にさらなる自信をもたらした。

 三池監督は言う。「何度かやっているうちに、極端に言うと『あ、本当にやるんだな』っていうふうに思えてくる。特にこの作品はすごくいい原作だし、いいキャラクターたちなので、作るのがちょっと怖いですよね。これはいけるなっていう確信をつかんでいくために具体でコミュニケーションを取って進めていきました。武器の重さとかはテキメンですよね。鉄で作るとこんなに重たいんだって。そういうところから固めていったということですね」

無限の住人
三池監督とコミュニケーションを取る杉咲

 衣装合わせの回数に対して、殺陣のけいこは実に1回。結果、けいこの必要がなかったと思うほど、アクションスタッフを相手に切れた動きで応じることが出来たという木村。テレビドラマ「宮本武蔵」や映画『武士の一分(いちぶん)』での時代劇経験が生かされているのだろう。初タッグとなる三池監督との仕事については「京都太秦という土俵でやらせていただいているんですけど、なんか三池組自体が海外の組に参加させてもらっているような。日本人の感覚の枠じゃない、ちょっとはみ出している感じが要所要所にある」と大いに楽しんでいる様子。世界スケールの作品で、木村がどう羽ばたくのか。封切りまで待ちきれないファンも多いことだろう。(編集部・小松芙未)


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