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真田広之、ブレない日本人俳優としての誇り

日本人俳優の未来を見据えて……。
日本人俳優の未来を見据えて……。 - 写真:日吉永遠

 未知の宇宙生命体に遭遇した飛行士たちの恐怖を描くハリウッド製SFホラー『ライフ』に、ジェイク・ギレンホールらとともに出演し、ハリウッドの日本人俳優として存在感を示している真田広之が、アメリカでの俳優業について語った。

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 ロサンゼルスに拠点を移して以来10年以上にわたり、ハリウッドで勝負し続けている真田。彼のもとには多くの出演依頼が舞い込むが、食指が動く作品は多くないという。「 『これ誰が観たいんだろう?』と思うような映画もあるし、自分が参加する意味がまったく感じられないものもあります」とリアリティーのない企画も多く存在するという。中には、日本人の描かれ方が時代錯誤的だったり、誤解されていたりすることもあるようで、「極端にひどい場合は、さすがにお断りします。脚本を読み、そこに可能性を感じても、それがどういうビジョンで描かれるのか? ということも重要です」と確固たる信念を持って、作品選びをしていると語った。

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 そういう意味では、本作は幸運な出会いだったと言える。企画に興味を抱いた彼は、ダニエル・エスピノーサ監督と面会し、その場で握手を交わし、出演を決めたという。「監督とは最初にSkypeで話をして、その後に監督のいるロンドンに飛んで話をうかがいました。彼のオフィスに貼られていた絵コンテやデザイン画、セットの模型を見せてもらいました。その確かなビジョンやリアリティーへのこだわりに、質的な勝算が見えました」と出演を決めた経緯を明かした。普通は一旦時間をおいてから、エージェントを通して出演契約を結ぶものだというが、本作に関しては、「監督にも熱意があり、僕にもやる気があったので、面倒な手続きは取っ払ってしまえ! とその場で決めた」という、非常に珍しいケースだったと明かした。

 ハリウッドでは多様性が重んじられているが、実際に作られている映画は白人を主人公にしたものが圧倒的に多い。日本人俳優の居場所も決して多くはないが、それでも状況は好転しつつある。「ハリウッドに飛びこんだとき、そこは日本人にとって狭き門でした。僕としては、日本人が当たり前のように現場にいる環境を作りたいという願いがありますが、少しずつそうなっている気がしています」とハリウッドの現状を語った。というのも、昔は日本人キャラクターが登場するなら大雑把なくくりでアジア人の役者が採用されたが、最近ではきちんと日本人の役者を採用すべきだと考える製作側の人間が増えてきたという。事実、本作でも真田演じるショウ・ムラカミ役は日本人で、宇宙服にはしっかりと日本の国旗が付いている。そんな環境になりつつあるからこそ、「仕事を受けたときは応えないといけないし、応えることによって枠が広がれば後輩が出てきやすくなる。そういう意味でも一作一作が大事」だと言い、それがハリウッドの日本人俳優の未来につながるという彼の言葉には、日本が誇るハリウッド俳優の熱い想いが感じられた。(取材・文:相馬学)

映画『ライフ』は全国公開中

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