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『モータルコンバット』壮大な世界観の裏に日本人アーティストの貢献 『国宝』美術監督も務めた種田陽平の挑戦

画像は『モータルコンバット/ネクストラウンド』より
画像は『モータルコンバット/ネクストラウンド』より - (C) 2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved

 世界的人気を誇る格闘ゲームを映画化した『モータルコンバット/ネクストラウンド』に登場する壮大な世界観をデザインしたのは、国際的に活躍するプロダクション・デザイナーの種田陽平だ。クエンティン・タランティーノ作品をはじめ、邦画の歴史を塗り替えた『国宝』では美術監督を務めるなど、日本を代表するクリエイターとして知られている。日本公開に合わせてリモートインタビューに応じた種田が、本作における美術のこだわりとデザイン秘話を明かした。

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 2021年公開の『モータルコンバット』1作目でもプロダクション・デザイナーとしてオファーがあった種田だが、新型コロナウイルスのパンデミックと重なり参加は叶わず。『キル・ビル』(2003)をきっかけに親交を深めている製作総指揮のE・ベネット・ウォルシュから、「今回の『モータルコンバット』は絶対に参加してほしい」と再びラブコールを受けた種田は、『国宝』に参加する前に同作の作業に取りかかった。

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 「4つのファンタジー・ワールドを自由に作っていいという誘い文句で、『やります』と引き受けました。ゲームの世界がベースになっていますが、シャオ・カーンの養女キタナの物語の舞台であるエデニア、後半に登場する地獄のような冥界(ネザーレルム)などは、オリジナルな世界観で考えました」

種田が描いた「エデニア」のスケッチ - Yohei Taneda

 メガホンを取ったサイモン・マッコイド監督とは、各世界観の手描きスケッチを見せながら作業をしていったという。「デザインをきちんと見てくれる監督でしたね。美術的なことも細かく理解しているので、私の画を修正しながら監督とデザインを固めていき、最終稿となったものをコンセプトアーティストに渡しました。そして、デザイン画から3Dのコンセプトアートや模型を作ったり、図面を描いたりして、実際に具現化していきました」

 冒頭に登場するエデニアは、撮影地オーストラリアにセットを建てて撮影された。「通常はオープンセットで外に作ることが多いのですが、100メートル以上ある巨大な格納庫みたいなスタジオの中にエデニアの街並みを作りました。CGも少ないので、建物の存在感も出ています。アジアっぽい、またヨーロッパ風にも感じられるエデニアの街を作れたのは大きなことだったと思います」

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ハンゾウが登場する日本庭園 - Yohei Taneda

 真田広之が演じるハンゾウ/スコーピオンの登場シーンでは、オーストラリアの山の中で日本庭園を再現したという。真田さんは『SHOGUN 将軍』の撮影が終わってから合流したのですが、その時に(日本庭園にある)枯山水は『SHOGUN 将軍』のとは異なり、三途の川を意識したつもりなんですと説明しました」

 ハンゾウは「三途の川の番人」と表現した種田は、「『古事記』の中に、黄泉の国の入口に桃の木が1本生えていて、(イザナギが)桃の実をもいで敵を追い払ったという記述があり、『モータルコンバット』でも桃の木を植えました」と明かす。「監督もその背景をうまく使ってくれて、桃の実を食べたり、桃の木が腐って冥界に変わるみたいなイメージになりました」

スコーピオンとサブ・ゼロの戦場となる冥界(ネザーレルム) - Yohei Taneda

 スコーピオンが宿敵サブ・ゼロ(ジョー・タスリム)と死闘を繰り広げる冥界は、種田も「上手くいったなと思います」と手ごたえを感じていた。「セットで作っているのですが、果てしなく続くので、VFXも多いんです。私たちが作ったセットも上手くマッチしていて、どこまでがセットなのか、どこからがCGなのか分からないくらいに空間設定がうまくできたなと気に入ってます」

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 「また、冥界の赤色とエデニアで戦っているキタナの青色がカットバックして映るんですよね。サイモン監督の映像的なセンスもうまいなと思いました。いくつかの世界がコラージュしながら進んでいくさまは、ぜひみなさんにも観ていただきたいです」

プロダクション・デザインを担当した種田陽平 - Photo by Mitsuyuki Nakajima

 日本に先駆けて世界公開された本作は、往年のゲームファンを中心に男性客が多く足を運んでいるが、種田は「今回の美術は、どちらかというと女性に観てもらいたいと思って作りました」とゲームシリーズに触れていない女性をターゲットにデザインしたことを明かした。

 「ゲームを知らない人、『モータルコンバット』1作目を観ていない人に向けて、『モータルコンバット/ネクストラウンド』という1本の映画として勝負したいと思ってやりました。ゲームの世界を知らなくても楽しめる物語になっていますし、アクションも世界観も楽しめるはずです。特に昨今は、口コミがSNSで拡散されるので、映画を観た方が「これは観たほうがいい』と拡散してくれることを期待しています」(取材・文:編集部・倉本拓弥)

映画『モータルコンバット/ネクストラウンド』は全国公開中

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